「不動産投資をはじめたいけど、どんな物件からはじめれば良いだろう?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。しかし、どんな物件が適しているかは、その方の投資における投資の目的や属性によって大きく変わります。
例えば、1棟(1戸)だけほしい方と、月間100万円のキャッシュフロー獲得を目指している方では進め方が異なります。また、年収が400万円の方と年収1,000万円の方でも、資金調達の難易度が異なるため、戦略が変わってくるでしょう。
設定した投資のゴールから逆算した戦略に基づき、不動産投資の初心者が1棟目(1戸目)にどんな物件を選択するかはとても重要です。個別の事情や投資目的に合致した物件を検討することが大切なため、今回は4つの目的別に初心者向けの物件をご紹介していきます。
目次
- 不動産投資の初心者向けの物件タイプ
- 不動産投資の目的別に4つの物件タイプを比較
2-1.目的①「高利回り物件がほしい」
2-2.目的②「できるだけ不動産投資の手間をかけたくない」
2-3.目的③「不動産投資ローンの借り入れをおさえたい」
2-4.目的④「DIYをしたい」 - まとめ
1.不動産投資の初心者向けの物件タイプ
まず、不動産投資の初心者向けの物件にはどんなタイプがあるのか、簡単におさらいしておきましょう。
- 戸建て:戸建ての1戸所有
- 区分マンション:RCマンションの1区間の区分所有
- 1棟アパート:木造や軽量鉄骨等のアパートの1棟所有
- 1棟マンション:RCや重量鉄骨等のマンションの1棟所有
※上記、それぞれのタイプの中で、新築と築古に分かれます。
2.不動産投資の目的別に4つの物件タイプを比較
今回、これから不動産投資を検討している知人2名に実際の投資の目的をヒアリングし、不動産投資の事例として以下の4つを取りあげました。そして、各目的に合致すると考えるカテゴリーを○、△、×で仕分けをしています。
物件種別 | 築年数 | 高利回り物件がほしい | 手間をかけたくない | 借り入れをおさえたい | DIYしたい |
---|---|---|---|---|---|
戸建て | 新築 築古 |
× ○ |
○ × |
× ○ |
× ○ |
区分マンション | 新築 築古 |
× × |
○ △ |
× △ |
× × |
1棟アパート | 新築 築古 |
△ ○ |
○ × |
× △ |
× ○ |
1棟マンション | 新築 築古 |
× △ |
○ × |
× × |
× △ |
※仕分けはあくまで傾向であり、投資家によってその意見はわかれるため、参考程度にご参照ください。
それでは目的ごとにひとつずつ見ていきましょう。
2-1.目的①「高利回り物件がほしい」
「投資をするからには高利回り物件で多くのリターンを期待したい」、という目的を持っている方も多いのではないでしょうか。
高利回り物件を狙う場合、築古の戸建て、もしくは築古のアパートなどが検討できると思います。ただし、戸建てやアパートなら、何でも高利回りというわけではなく、あくまで、他のカテゴリーと比較すると、高めのものが狙いやすい、という意味でとらえてください。
また、リスクとリターン(利回り)はシーソーの関係にありますので、高利回りであればあるほど、立地が悪い、空室が多い、滞納者がいる、建物に傾きがあるなど、何かしらの理由がある場合がほとんどです。
高利回りになっている要因の見極めも必要であり、高利回りであれば、買い付けも激化します。築古物件を購入し、手をかけて再生して高利回りに仕上げる猛者も数多くいます。高利回りイコール安く買う、ことなので、そのための大きな努力が必要です。
築古戸建ての特徴
2019年頃から徐々に融資が厳しくなり、築古のアパートが買えない投資家が戸建てに流れ、その結果、参入者が増えました。そのため以前と比較すると、価格が上がり、利回りも減少傾向にあります。
賃貸ニーズの見込みが難しい地方でないと高利回りにならないケースも散見されます。購入する場合は、客付が問題ないか、賃貸ニーズがあるかなど、しっかりと調査した上で購入しましょう。
築古のアパートの特徴
融資が厳格になるにつれて価格が下がると思いきや、2022年6月時点の不動産価格には高止まりが見られます。つまり、アパートの価格は高いままに資金調達の難易度が高く、取得することが難しい状況が続いているということです。
不動産価格が高止まりしている理由は様々あると思いますが、例えば、新型コロナウイルスの感染拡大が未だ完全には終息していないこと、2022年の春から続く円安などの将来不安から参入者が増え、不動産投資家の裾野が広がったたことが要因の一つではないかと私は考えています。
築古アパートへの融資のハードルが上がったとはいえ、一定の資産を持つ高属性のサラリーマンには融資がでています。それゆえ戸建て同様に、地方に足をのばさないと、想定している高利回りで買えない場合があることも、頭にいれておきましょう。
2-2.目的②「できるだけ不動産投資の手間をかけたくない」
仕事やプライベートの両立をしていきたい方にとっては、購入後できる限り手間をかけたくないニーズも多いと思います。手間をかけたくない場合、新築アパートが検討しやすいと考えます。
新築であるがゆえ、修繕が発生する可能性が低く、キャッシュフローの読みやすさはメリットです。その他、築古アパート等と比較するとストレスが全く異なります。築古物件だと、エアコンが壊れた、雨漏りがする、シロアリが出たなど、相当な負担がかかってきますが、新築ではそういった経年劣化に由来するトラブルのリスクが非常に低くなります。
また、新築で物件を取得すると10年間は契約不適合責任がついており、目的物が契約の趣旨に適合しない場合は修繕にかかる費用を請求することが可能です。
ただし、留意しておきたいのは、ここで言う「手間をかけない」というのは、あくまで入居後の手間という意味になります。購入して入居付けするまでは相応の手間が発生します。
土地から仕込んで新築する場合は土地の仕入れと建築の両方が必要となり、手間がかかるイメージもしやすいと思います。
一方、建て売りの新築でも負担が発生します。例えば、2022年6月時点の状況を鑑みると、円安による原材料価格の高騰や、サプライチェーンの乱れによる部材の納品遅れにより、建築・部材コストの上昇、工期の遅れ等のストレスがかかります。建築コストの上昇により利回り低下を余儀なくされたり、工期の遅れにより、繁忙期を逃す可能性もあります。
しかしながら、利回り面でいうと、最近は築古アパートの利回りも下落傾向にあるため、相対的に、新築はそこまで下落していないように見受けられます。『新築の利回り7%は、築古利回りの10%に相当する』、と言われるベテラン投資家さんもいらっしゃいます。新築プレミアムの下落を加味する必要はありますが、修繕がほぼかからないことを考えると、納得感のある話です。
2-3.目的③「不動産投資ローンの借り入れをおさえたい」
大きな借り入れは怖いから金額をおさえたい、もしくは、借り入れ自体をしたくないと考える人もいると思います。その点、戸建て投資であれば、安いものは100万円を切るものからあり、ローンを組まず現金で購入することも可能です。
また、築古のアパートも1,000万円ほどの小ぶりなものなら、ローン金額をおさえて投資することが可能です。築古戸建てを購入、手をかけて高利回りで売却、売却益の現金で戸建てを購入して売却と、このサイクルを繰り返し、売却益(現金)を積み重ねている方もいます。
借り入れを小さくすれば、リスクを最小限におさえることができます。しかし、不動産投資はレバレッジをきかせて、現金ではできなかったような大きな金額の物件を買うことがメリットの一つです。現金中心の投資は、リスクをおさえることができる分、拡大のスピードは遅くなることは覚えておきましょう。
2-4.目的④「DIYをしたい」
手間をかけたくない目的の真逆になりますが、DIYしたい方も多数いらっしゃると思います。この場合は、築古の戸建てと築古の木造アパートが検討できます。築古の物件を安価で購入して、DIYで手をかけて、高利回り物件に仕上げることができれば、その達成感は格別でしょう。
しかし、物件までの距離があまりに遠いと、億劫になってしまうことも考えられますので、DIYをする場合、自宅からの物件までの距離は重要になると思います。
まとめ
4つの目的別に初心者の方でも検討しやすい物件をご紹介してきました。「不動産投資をはじめたいけど、どんな物件からはじめれば良いですか?」と相談された場合、どのように口頭でアドバイスするか、その内容を文字に起こした、と考えていただければと思います。
冒頭でふれたように、初心者が1棟目に何を買うかはとても大切です。不動産は金額が大きく、一度スタートしてしまうと簡単に起動修正できません。勉強を重ね、しっかりと戦略を練って、物件のタイプを選んでいただきたいと思います。
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