相続した不動産はいつまでに名義変更すべき?手順や発生する費用を解説

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相続によって不動産を取得した場合、不動産の持ち主が変わるため、名義変更を行う必要があります。

しかし、相続した不動産の名義変更をいつまでにすべきなのか、手順やどのくらいの費用が発生するのか分からないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか?

この記事では、相続した不動産の名義変更をいつまでにすべきなのか、手順や費用について解説します。

目次

  1. 相続した不動産の名義変更は必須ではない
  2. 名義変更しなかった場合のデメリット
  3. 名義変更の手順
  4. 名義変更に必要なもの
    4-1.名義変更に必要な書類
    4-2.名義変更にかかる費用
  5. まとめ

1.相続した不動産の名義変更は必須ではない

相続によって不動産を取得した場合、名義変更を行わなくてはならないと思っている人も多いのではないでしょうか?

名義は不動産の所有者が誰なのかを第三者に分かるように明示するためのものであるため、所有者が変わった場合には名義を変更するのが一般的です。

しかし、必ず名義を変更しなくてはならないというルールはありません。そのため、名義が亡くなった被相続人のままでも何らかの罰則が適用されることはなく、いつまでに名義を変更しなければならないという期限も設けられていないのが現状です。

そのため、被相続人が亡くなってしばらく時間が経ってから名義変更の手続きを行っても問題ありません。

2.相続不動産を名義変更しなかった場合のデメリット

いくら罰則が適用されることはないと言っても、名義変更しなかった場合は以下のようなデメリットを伴うので注意が必要です。

  • 相続人が増えて話がまとまりにくくなる
  • 必要な書類が手入りにくくなる
  • 差し押さえといったトラブルが生じる可能性がある

例えば、被相続人Aに対してBとCとDという3人の相続人がいたとします。この時に遺産相続について話し合えば3人の話し合いで済みますが、Cが亡くなってCの相続人のEとFとGが加わった場合、話し合いの人数が増えてまとまりにくくなります。

名義変更手続きは不動産の住所地を管轄する法務局で行いますが、事前に書類を用意しておかなくてはなりません。死亡した人の住民票の除票といった書類が必要ですが、住民票の除票は5年間しか保管されていないといったように、時間が経過するほど必要書類が手に入らなくなるので注意が必要です。

名義変更手続きを放置しておくとこれらのデメリットを伴うため、相続によって不動産を取得した場合は名義変更手続きを行った方が良いと言えるでしょう。

また、相続した不動産を売却する際にも名義変更は必須になります。相続不動産の売却については、下記の記事も併せてご参考下さい。

【関連記事】相続不動産を売却する手続きは?売却前に知っておきたい流れと注意点まとめ

3.相続不動産の名義変更の手順

名義変更は以下の6つの手順で行います。

  1. 物件調査
  2. 相続人調査
  3. 書類収集
  4. 遺産分割協議書の作成
  5. 遺産分割協議書への署名押印
  6. 法務局への申請

名義変更を行う際は、まずは対象の土地の権利関係を調べる必要があります。その理由は、不動産の名義が必ずしも被相続人(故人)の名義とは限らないためです。

被相続人の名義ではなく、被相続人の親族と分筆していたり、建物は被相続人の名義であるものの土地はまた別の方である可能性もあります。相続した不動産の登記事項証明書を取得して権利関係を明確にしておきましょう。

その後、被相続人の本籍地の市区町村で戸籍謄本を取得して誰が相続人なのかを調べます。相続人となるべき人を確認しないまま遺産分割協議を行うと、後から法定相続人が現れて遺産分割協議が無効になる可能性もあるのでしっかり確認しましょう。

必要書類の詳細は後述しますが、名義変更に必要な書類を準備できていなかった場合には揃えてからでないと手続きを進めることができないので事前に用意する必要があります。

書類を揃えた後は、法定相続人全員でどのように不動産の遺産分割を行うのかを決定する遺産分割協議を行います。不動産の相続方法を決めた後は、遺産分割協議の内容をまとめた遺産分割協議書を作成して、法定相続人全員の署名押印を行わなくてはなりません。

遺産分割協議の手順については下記の記事もご参考下さい。

【関連記事】不動産を相続した際の遺産分割の手順は?必要な書類や手続も解説

最後に集めた書類と遺産分割協議書を持って不動産の所在地を管轄する法務局に行き、登記申請書を作成して手続きを進めます。ただし、法務局の受付時間は平日8時15分~17時15分までとなっているため、日中働いている人が手続きを行うには少々手間がかかるでしょう。

また、書類に不備があると再提出が求められる可能性もあります。手間と時間がかかるため、専門家である司法書士に任せるのも併せて検討してみましょう。

4.相続不動産の名義変更に必要なもの

相続した不動産の名義変更は、ただ法務局に行って手続きを進めればいいというものではありません。名義変更はいくつか書類が必要になる、手続きには費用もかかるため、事前にどのような書類が必要なのか、費用がいくらかかるのか確認しておくことが重要です。

名義変更に必要な書類とかかる費用について詳しく見ていきましょう。

4-1.名義変更に必要な書類

相続した不動産の名義変更を行う際は、以下のような書類が必要です。

  • 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 法定相続人全員の戸籍謄本
  • 新しく名義人になる人の住民票
  • 名義変更を行う年度の固定資産評価証明書
  • 相続関係説明図

事案によって遺産分割協議書、印鑑証明書、遺言書や検認調書、必要書類が不足していれば不在席証明書や不在住証明書、登記済権利証などが必要になります。

どのような書類が必要か分からない場合は、相続した不動産を管轄する法務局に問い合わせたり、司法書士に相談しながら揃えて行きましょう。

4-2.名義変更にかかる費用

相続した不動産の名義変更を行う際は、「不動産の固定資産評価額×0.4%」の登録免許税を納めなくてはなりません。例えば、固定資産評価額が3,000万円だった場合は、12万円の登録免許税を納めることになります。(*国税庁「登録免許税の税額表(2020年6月時点)」を参照)

また、平成30年度の税制改正により、相続による土地の症雄健の移転登記に対する登録免許税については免税措置が設けられています。(*国税庁「相続による土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置について」を参照)

その他、必要書類の取得時に、戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円の発行費用がかかります。

司法書士に名義変更を依頼した場合にはこれらに加えて10万円程度の報酬がかかるため、自分で手続きを行うか、司法書士に依頼するかをよく考えてから決めましょう。

5.まとめ

不動産を相続した場合、いつまでに名義変更しなければならないのか気になっている人も多いと思います。しかし、名義変更は必ずしなければならないというものではなく、期日も設けられていないため、名義変更をしなくてもペナルティが科されることはありません。

名義変更をしなくてもペナルティは科されませんが、相続人が増えて話がまとまりにくい、不動産が売却できないといったデメリットがあるため、不動産を相続した場合はできるだけ名義変更を早めに行いましょう。

相続不動産の名義変更では、手続きや書類の準備などの手間、書類作成や司法書士への報酬費用の準備なども必要になります。

不備があった場合には、スムーズに名義変更を行うことができないため、事前に準備してから手続きを行い、状況に合わせて名義変更の登記を司法書士に依頼するなど、対策を練っておきましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。