賃貸に向いている戸建てとは?判断基準やポイントを投資家が解説

本業の忙しい方や主婦の方でも検討しやすく、副業で行える戸建て投資が話題になっています。

戸建てというと、庭つきの広い敷地に4DKなどのファミリー向けの広い間取りというイメージがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、土地の広すぎる戸建ては土地代がかさんで利回りが低くなるうえ、間取りが広いと入居需要も少なくなってしまい、投資として考えると賃貸向けとは言えません。

この記事では、築古戸建てを延べ数十件行っている投資家である筆者が、賃貸に向いている戸建てとはどんな戸建てなのか、投資の判断基準やポイントを解説します。

目次

  1. 戸建て賃貸のデメリットとメリット
    1-1.戸建て賃貸のデメリット
    1-2.戸建て賃貸のメリット
  2. 戸建て賃貸に向いている立地と土地形状
    2-1.戸建投資に向いている立地とは
    2-2.土地値や土地形状から、建て替え需要を見極める
  3. 戸建て賃貸に向いている間取り
  4. 戸建て投資のポイントは収支計画
  5. まとめ

1.戸建て賃貸のデメリットとメリット

戸建ての中には、郊外のバス便の立地で、庭付き、駐車場付きの広い土地に、オーナーの個別事情を反映したオーダーメイドの間取りの家が建っているケースがあります。

しかし、このような広い土地の戸建ては投資金も多くかかり、需要も限られてしまうため賃貸経営に向いているとは言えません。

このように、戸建て賃貸投資では、戸建て賃貸のメリットとデメリットを分析したうえで、デメリットを最低限に抑えてメリットを最大限生かせる物件を選ぶことが大切です。

戸建て賃貸のメリット・デメリットをそれぞれ詳しくみていきましょう。

1-1.戸建て賃貸のデメリット

戸建て賃貸のデメリットは、主に投資費用面と入居需要面の2つに分けることができます。

投資費用面のデメリット

投資費用面からは、中古であっても初期の購入費用が高いことがデメリットと言えます。購入額が高くなる理由としては、主に下記の3つポイントです。

  • 土地が広いため土地代が高い
  • 建物の間取りが広く、オーナーがこだわって建てたため、建築費が高かった
  • 1棟につき1戸のみの入居者となり、効率が悪い

入居需要面

入居需要面においても、次のような理由から、あまり需要が見込めない場合が多いと言えます。

  • 立地がバス便であるなど、駅から遠くて不便である
  • 人口減少が著しく賃貸需要がそもそも少ない地域である
  • 内装、間取りがオーナーのこだわりが強く、一般的に使いやすいとは言えない
  • 内装、間取りが古めかしく使いにくい

戸建投資を検討する際は、これらのデメリットを踏まえながら慎重に物件を選ぶことが重要になります。

1-2.戸建て賃貸のメリット

反対に、戸建て賃貸のメリットにはどのようなものがあるでしょうか。主には下記の3つが挙げられます。

  • 賃貸市場に戸建ての供給はあまりなく、競合が少ない
  • 入居期間が比較的長く、空室や原状回復費の発生頻度が少ない
  • 出口戦略として実需向け売却が見込める

それぞれ詳しく見て行きましょう。

賃貸市場に戸建ての供給はあまりなく、競合が少ない

2019年に東急住宅リースが行った調査では、賃貸市場における戸建て賃貸の供給割合は、全国平均で3.4%とマンションやアパートに比べて圧倒的に少ない状況です。

これは、新築の建築数が少ないため、競合が少ないということを意味し、戸建投資の大きなメリットと言えます。

入居期間が比較的長く、空室や原状回復費の発生頻度が少ない

また、戸建て賃貸はファミリー世帯が入居することを想定したものが多く、入居期間が比較的長いと言えます。

公益社団法人日本住宅管理協会「賃貸住宅市場景況感調査(2019年4月~2019年9月)」の調査によると、2019年上期の一般ファミリーの入居期間は4~6年が62.9%を占めており、一般単身者のボリュームゾーンは2~4年が60.9%となっています。

これらの数値を比較すると、ファミリー世帯は単身者世帯に比べて2倍~3倍の期間入居する可能性が高いことになります。

入居者が一度退去すると、次の入居者が決まるまでタイムラグが生じ、どうしても空室期間が発生してしまいます。また、退去の際、原状回復工事が必要となり、その費用をすべて入居者に請求するのは難しいため、その分オーナーのコストが増加することになります。

ファミリー世帯をターゲットにしている戸建は入居期間が長くなる傾向があり、退去回数や退去時のコストが比較的少なくなるメリットがあると言えるでしょう。

出口戦略として実需向け売却が見込める

不動産投資では、家賃収入による「インカムゲイン」と売却による「キャピタルゲイン」という二つのトータルリターンが重視されます。そのため、戸建を最終的にどのように運用するのか検討しておく「出口戦略」も重要になります。

アパートやマンションなどの一棟物は、売却先は同じような投資家がメインとなり、更地にして建て替えニーズを狙うにしても価格が高くなるため、売り先が限られてきます。

その点、戸建て投資であれば物件価格も比較的安価になり、建て替えニーズも十分に考えられ、出口戦略の間口が広がります。

また、出口戦略に実需向けニーズを見込めると、欲しいという人が出てくれば相場より高く売れる可能性も考えられ、売却益を得られる可能性も生じてきます。

2.戸建て賃貸に向いている立地と土地形状

戸建て賃貸のメリットとデメリットを踏まえたうえで、デメリットを抑えてメリットを生かすことができる立地と土地形状について考えてみます。

2-1.戸建投資に向いている立地とは

まず、不動産投資で重視すべき要素の一つに「立地」が挙げられます。賃貸需要のない立地に投資しても、家賃収入がなくては投資として利益を見込むのは難しいためです。

賃貸需要のある地域に投資する必要がありますが、立地を検討する際は以下のような点が目安になります。

  • 人口が増えている地域
  • 空室率が20%程度以下の地域(ヒートマップが高い地域)
  • 主要駅から徒歩15分以内
  • 近隣に生活基盤施設があること

全国的に人口が減少している時代ですので、人口が増加しているだけでも、賃貸需要は高い地域と言えます。また、ライフルホームズの賃貸需要というサイトでは、地域別の空室率やヒートマップを見ることができます。賃貸需要の多い東京でも空室率は14.5%であるため、20%を下回っていれば空室率は低い方と言えます。

また、賃貸需要の多い物件を探すには、主要駅から徒歩圏にある物件を選ぶと良いでしょう。徒歩15分を目安に、できれば10分以内で探しつつ、近隣にスーパーや病院などの生活基盤施設があるかどうかも確認しましょう。

2-2.土地値や土地形状から、建て替え需要を見極める

次に、メリットの一つである出口戦略としての実需売却を見込めるようにするため、土地価値が一定程度以上ある立地を選ぶことも重要です。

最低限の基準は、更地で売れる可能性があることです。更地で売るためには、建築基準法の接道義務を満たしている土地であるかどうかが重要なポイントとなります。

それに加えて、実需売却で重要なポイントとなるのが建て替え需要です。建て替えにおいては住宅ローンを組む人が多く、住宅ローンを組める土地であるかということが条件になります。

住宅ローンは、延床面積50平米というのが基準となることが多く、建蔽率50%、容積率100%を基準にすれば、50平米の広さというのが目安になります。建蔽率、容積率は都心部では最も高い地域もありますので、35平米程度でも50平米の床面積の家を建てられる地域もあります。

建て替え需要を考えるうえでは、買い手の予算面も考慮する必要があります。2,000万円~3,000万円程度で購入し、6割程度を土地代に充当すると考えると、土地代は1,200万円~1,800万円程度であると言えます。土地価値の相場観としては、1,000万円代であれば、充分に建て替え需要向けの売却がし易いゾーンであると言えます。

土地代が安く家賃収入を見込める土地とは

戸建て賃貸では、広すぎる土地では土地代が高くなりすぎて家賃収入に見合わない(利回りが低くなってしまう)という傾向があります。このデメリットを克服するには、土地代の割には家賃収入が見込める土地を選ぶ必要があります。

土地価格と家賃収入の相関性にギャップがあるのは、主に土地代が相場よりも安いケースです。相場よりも安くなる傾向があるのは、土地の形状が悪い、道路付けが悪い、土地が狭小である、というケースが考えられます。

土地の形状が悪いことが理由で相場よりも安くなる土地の代表例は、旗竿地です。一方道路に面している土地を分譲した際、道路後方の土地の接道要件を確保するために、後方の土地から道路まで旗状に区切ることがよくあります。

また、接道義務は満たしているものの道路付けが悪く、セットバックが生じるためにその分安くなっている土地もあります。セットバック後の土地面積に注意する必要がありますが、このような土地も戸建て賃貸向けです。

狭小土地も、需要の間口が限定されてくるため、平米単価の相場よりも安くなる傾向があります。

このように、建て替え需要が獲得しやすい土地は高額になりやすく、投資として収益が少なくなります。一方、需要が少ない土地では価格が安く高利回りになりますが、出口で売却が難航してしまう可能性があります。

土地の需要と収益性のバランスを考慮しながら、慎重に検討する必要があるでしょう。

3.戸建て賃貸に向いている間取り

戸建て賃貸に向いている間取りは、一般的な戸建てのデメリットをできる限り抑え、入居者が付き易い間取りにすることです。

ボリュームゾーンの情報は、ライフルホームズなどのポータルサイトで確認できます。都心であれば2LDKぐらいまで、もう少し郊外になると、3DKぐらいまでが需要が高いと言えます。この範囲内で、できるだけ利回りを高くするために高い家賃が見込める広さであることも重要です。

また、都心の築古狭小住宅などでは、できるだけ部屋数を取るため、4畳半や3畳程度の部屋がいくつもあるような間取りもあります。

このような間取りは、入居希望者に古めかしい印象を与える可能性もあるため、思い切って2部屋をつなげて1部屋にし、広い部屋の2DKなどにリフォームする方法なども検討できるでしょう。

こだわってリフォームしてもそれが家賃に上乗せできる保証はないため、内装はできるだけシンプルにしておくと良いでしょう。

4.戸建て投資のポイントは収支計画

戸建て賃貸投資でのポイントは、収支計画を綿密に練ることです。購入前から、リフォームと貸し出した際の家賃収入、ローン返済後のキャッシュフローと、何年後にいくらで売却して売却益がどれぐらい出るかをシミュレーションしてみましょう。

実際に筆者が投資用の築古戸建てを購入するときに行っているシミュレーションの仮想的な具体例を示します。

購入1年目 2年~6年目 7年目売却
収入 0円 1,200,000円×5年=6,000,000円 12,000,000円
支出 購入費用
1,000,000円
リフォーム費用2,000,000円
ローン返済
600,000円×5年=3,000,000円
維持費用
100,000円×5年=500,000円
ローン返済
9,000,000円
売却費用
500,000円
利益 △3,000,000円 2,500,000円 2,500,000円

価格10,000,000円の物件を、購入時にフルローンで3.9%、35年ローンを組んで購入し、購入費用が1,000,000円、リフォーム費用が2,000,000円かかったと想定しています。

5年間、家賃10万円で貸し出し、月々のローン返済は5万円、維持費用は毎年10万円かかりました。7年目に12,000,000円で売却し、残債9,000,000円を返済、売却費用500,000円を支払ったというシミュレーションになります。

このように、丸々5年間保有して、購入時より2,000,000円高く売れたとしても、その2,000,000円がようやく手元に残るという厳しい投資計画になります。

戸建て賃貸の収益性は高いとは言えないため、綿密な収支計画を練って購入することが成否を分けるポイントになります。

まとめ

戸建て賃貸投資は入居需要と投資費用面でデメリットもあり、そのデメリットをできる限り抑え、メリットを最大限に生かすことが重要です。

戸建て賃貸に向いている立地は、建て替え需要を見込める土地や、一般的な賃貸需要の高い地域と言えます。ただし、土地代と比べて割高の家賃収入が見込める土地を見極める必要があります。具体的には、土地形状、道路付けがよくない土地や狭小な土地です。

戸建て賃貸に向いている間取りは、ファミリー向けのボリュームゾーンの間取りと言えます。古めかしい物件の場合は、できる限り割高の家賃収入が見込めるよう、リフォームを工夫しましょう。

戸建て賃貸投資では、綿密な収支計画が重要です。購入前から出口戦略を見据え、キャッシュフローのシミュレーションを行いましょう。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。