相続によって不動産を取得したものの既に不動産を所有している場合は、売却するという方法以外に賃貸経営を行うという方法が挙げられます。
相続した不動産で賃貸経営を始める際は、どんな手順で始めるのか分からない人もいれば、知っておくべき注意点がないか気になっている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、相続した不動産で賃貸経営を始める際の手順やスケジュール、注意点を解説します。
目次
- 賃貸経営を始める手順とスケジュール
1-1.周辺エリアの市場調査をしっかりと行う
1-2.不動産会社に相談する
1-3.金融機関にリフォームローンの融資相談をする
1-4.管理会社を介して入居者の募集を行う - 相続した不動産で賃貸経営する際の注意点
2-1.賃貸経営後の資金計画をしっかり立てる
2-2.無理に相続不動産で賃貸経営を行わない
2-3.賃貸経営後の出口戦略を立てておく - まとめ
1.賃貸経営を始める手順とスケジュール
不動産を相続した人の中には、相続した不動産の対応に困っている人もいると思います。
そのまま放置しても、固定資産税や都市計画税などのコストが生じるため、無駄なコストを生じさせないためには、不動産を売却したり、不動産を有効活用するなどの方法を選択する必要があります。
相続した不動産で賃貸経営を始める場合は、不動産取得にかかる初期投資を抑えることが可能です。しかし、初期投資を抑えることができると言ってもリフォームや日々のメンテナンスによる費用が発生するため、運用前に慎重に検討することが大切です。
相続した不動産を賃貸に転用する手順とスケジュール、注意点を理解した上で賃貸経営を始めましょう。賃貸経営を始める際は、以下のような手順とスケジュールで行います。
- 周辺エリアの市場調査をしっかりと行う
- 不動産会社に相談する
- 金融機関にリフォームローンの融資相談をする
- 管理会社を介して入居者の募集を行う
それぞれの手順とスケジュールについて詳しく見ていきましょう。
1-1.周辺エリアの市場調査をしっかりと行う
賃貸経営を始める際は、周辺エリアの市場調査をしっかりと行うことが重要です。相続した不動産が賃貸需要の少ない立地条件の場合、賃貸経営を行っても空室リスクが高いので注意が必要です。
相続したのがマンションや戸建住宅の場合は、最寄り駅やターミナル駅から近いかどうか、商業施設や医療施設が充実しているかどうか、日当たりや風通し、治安が良いかもしっかり確認します。
他にも、利用者層がどの年代なのか確認し、所有している物件の間取りと需要が合っているのかを調査します。また、相続したのが更地でこれから建物を新築する場合は、需要と間取りを合わせることが可能です。
1-2.不動産会社に相談する
相続で取得したのがマンションや戸建住宅の場合は、賃貸管理を行っている不動産会社に相談してみましょう。相続不動産で賃貸経営を始めた場合に需要が期待できるのか、どのくらいの初期投資がかかるのか、家賃相場はいくらなのかを問い合わせてみましょう。
不動産売却の場合はリフォームを行うかどうかは買主が決めるため、売主はリフォームを行わなくても問題ありません。
しかし、賃貸経営の場合は入居者が快適に暮らせる状態を整えなければならないため、最低限のリフォームが必要になる可能性があります。周辺エリアで賃貸物件を運営するにはどのような設備が必要なのかを確認し、リフォーム費用がいくら必要なのかを確認しておきましょう。
1-3.金融機関にリフォームローンの融資相談をする
相続不動産のリフォーム費用が不足して自己資金から捻出できない場合、金融機関へ融資の相談をしましょう。
その他、住宅セーフティネット制度を活用することで、登録住宅(住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅)は最長20年の全期間固定金利でのリフォーム融資を受けることが可能です。(*住宅金融支援機構「賃貸住宅リフォーム融資」を参照)
リフォーム費用の融資を受ける際は、想定の家賃収入と返済金とのバランスを取りながら、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
1-4.管理会社を介して入居者の募集を行う
賃貸物件のリフォームが完了してからすぐに賃貸経営を始められるよう、入居者募集を並行して進めます。
不動産管理会社に委託している場合は、建物の清掃や家賃の集金などの作業に加え、入居者の募集や賃貸契約を委託することが可能です。しかし、これら自主管理を行う場合は、入居者募集の手続きを全て自分で行わなくてはなりません。
不動産の管理は賃貸契約や退去時の清算など、法律に関わる作業も多く含まれます。これまでに賃貸経営の経験がない場合は、できるだけ管理会社への委託を検討しましょう。
2.相続した不動産で賃貸経営する際の注意点
相続した不動産で賃貸経営を行う場合には、土地や建物を購入せずに済むため、初期投資を抑えることができます。そのため、賃貸物件を購入して賃貸経営を始めるケースよりも賃貸経営を始めやすいと言えます。
しかし、賃貸経営を始めやすいからと言って安易に賃貸経営を始めると、空室リスクや他のリスクの影響を受けて賃貸経営の継続が困難になる可能性もあるので注意が必要です。
相続した不動産で賃貸経営する際の注意点として、以下の3つが挙げられます。
- 資金計画をしっかり立てる
- 無理に賃貸経営を行わない
- 出口戦略をしっかり立てる
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
2-1.賃貸経営後の資金計画をしっかり立てる
相続でマンションや戸建住宅を取得した場合はリフォーム費用、土地の場合は賃貸物件を建築するための費用がかかります。
これらの費用を自己資金から拠出する場合は、生活に支障が生じないかをよく検討しておくことが大切です。返済計画に支障が生じると賃貸経営の継続が困難になるため、無理のない返済計画をしっかり立てる必要があります。
2-2.無理に相続不動産で賃貸経営を行わない
相続したマンションや戸建住宅、土地といった不動産で賃貸経営を始める場合、初期投資を抑えられます。そのため、事前の調査を行わずに不動産の有効活用として賃貸経営を始める人も多くいます。
しかし、立地条件が悪く需要が期待できない場合は、賃貸経営が最善の選択肢とは言えません。需要が期待できない場合は、無理に賃貸経営を行わずに他の戦略に切り替えることも並行して検討しましょう。
例えば、NTTデータグループが提供する「HOME4U」の土地活用サービスでは、マンション経営やアパート経営、駐車場経営、賃貸併用住宅、大規模施設などの収益性の高い土地活用や不動産投資について、最大10社の収益最大化プランを比較することができます。
また、下記の記事では相続不動産の5つの活用事例について解説しています。賃貸経営が難しい場合には、こちらの記事もあわせてご参考下さい。
【関連記事】放置している不動産、売却以外の有効活用方法は?5つの事例を紹介
2-3.賃貸経営後の出口戦略を立てておく
相続した不動産が既に築年数のかなり経過した不動産である場合、長期的に賃貸経営を続けられない可能性があります。
いずれ建て直しを迎える前に売却するのか、建て直してから再度賃貸経営を始めるのか、不動産の出口戦略を考えておくことが大切です。
また、相続不動産の売却を行う場合、複数人の共有名義となっている可能性があります。いずれ売却を検討するのであれば、不動産の権利関係についても整理をしておきましょう。
【関連記事】相続した不動産はいつまでに名義変更すべき?手順や発生する費用を解説
まとめ
賃貸経営を始める際は、賃貸物件を取得する必要があるため、大きな初期投資がかかります。しかし、相続したマンションや戸建住宅、土地といった不動産は初期投資を抑えられるため、1から賃貸経営を始めるよりも金銭的なハードルが低いと言えます。
しかし、賃貸経営には空室リスクや家賃下落リスクなど、様々なリスクを伴うので注意が必要です。相続した不動産で賃貸経営を始める場合は、手順と注意点をしっかり確認し、リスク管理を徹底しながら行いましょう。
矢野翔一
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