不動産投資、年収が低くても始めるための戦略やコツは?必要な自己資金も

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不動産投資はアパートやマンションなどを購入して運用する必要があるため、ある程度の年収がないと不動産投資ローンの融資審査を通過できず、資金調達のハードルが高くなってしまうデメリットがあります。

しかし、年収が低くても不動産投資を始めるために検討できる戦略やコツがあります。これらの工夫をすることで、年収が低い方でも不動産取得に成功した事例は少なくありません。

そこで今回のコラムでは、低年収の人が不動産投資を始めるための戦略やコツについて紹介していきます。また物件を購入する際に必要な自己資金についても解説します。

目次

  1. 不動産投資で必要な自己資金の目安
  2. 低年収でも不動産投資を始める方法
    2-1.自己資金を蓄えて少額の不動産を探す
    2-2.収益性や積算評価の高い物件を購入する
    2-3.保証人をつける、担保を提供する
    2-4.信用金庫や信用組合を利用する
    2-5.日本政策金融公庫を利用する
    2-6.ノンバンクのローンを利用する
    2-7.不動産投資型クラウドファンディングで少額投資する
  3. まとめ

1 不動産投資で必要な自己資金の目安

不動産投資を始めるには、ワンルームマンションやアパートなどの不動産を取得する必要があります。このときに必要なのが自己資金です。この自己資金は、物件を購入するための頭金だけではなく、その際に必要な諸費用の支払いに当てることになります。

自己資金の額は物件の担保性や融資を依頼する金融機関によっても異なりますが、目安となるのが物件価格の2~3割程度です。なお、不動産を購入する際に頭金以外に必要な諸費用として、主には下記のものが挙げられます。

  • 登記に必要な費用(登録免許税や司法書士報酬、印紙代)
  • ローンを借りる際の必要な費用(事務手数料や保証料)
  • 中古物件を購入する際の仲介手数料
  • 火災保険料と地震保険料(任意)

不動産投資を目的として金融機関から融資を受ける際は、対象の物件に抵当権が設定されます。そのため賃貸用物件としての評価が高ければ、審査に通りやすくなります。

融資審査の際にはオーナーとなる人の属性なども審査の対象になります。年収が低かったり、転職して間もない場合などは、審査は通りにくくなることが考えられます。

ただし、年収が低い人でも不動産投資を始める方法はいくつかあります。次から見ていきましょう。

2 低年収でも不動産投資を始める方法

不動産投資を低年収の方が始める際に工夫したい戦略やコツについて、次から代表的な7つの方法を紹介します。

2-1 自己資金を蓄えて少額の不動産を探す

「低収入だからローンが組めない、だから不動産投資ができない」と考えている人も少なくありませんが、このような場合にはできるだけ自己資金を蓄え、返済比率を下げることで融資審査に通過しやすくなります。

通常、不動産投資ローンの頭金は物件価格の2~3割程度が必要になりますが、この割合を増やすことによって融資審査に通りやすくなります。例えば、自己資金が500~1,000万円程度あれば、2,000万円規模の少額のワンルームマンションを購入できる可能性は高いと言えるでしょう。

こうした物件を見つけることができれば、収入が低くても不動産投資を始めることができます。

2-2 収益性や積算評価の高い物件を購入する

不動産投資ローンの融資審査では、借りる人の属性評価だけでなく物件の収益性や担保性も評価対象となります。できるだけ評価を受けやすい物件を投資対象とすることで、借りる人の属性の弱さを補い、融資審査に通過できる可能性が高まります。

不動産投資ローンの返済原資は収益不動産から得られる家賃収入となるため、収益性が高いほど返済できる可能性が高くなります。年収がネックとなる場合は、金融機関から評価を得やすい物件を探してみると良いでしょう。

2-3 保証人をつける、担保を提供する

融資の審査は、賃貸用物件としての評価の他に、オーナーとなる人の属性を審査します。この属性とは、下記の項目などです。

  • 年収
  • 年齢
  • 勤務先
  • 勤務年数
  • 雇用形態
  • 資産の状況
  • 借入金の状況、など

オーナーの年収が低ければ、ローンの返済が滞る可能性があるため金融機関の審査は厳しくなります。

そこで、返済に困らないことを証明するために、身元の固い保証人をつけたり、担保を提供することで、融資審査に通過しやすくなります。属性の良い親族に保証人になってもらったり、資産を担保として提供できないか、相談してみるといいでしょう。

ただし、第三者へ保証人の相談をする際は元本棄損の投資リスクがあることを十分に解説したうえで、納得してもらうことが重要です。必ず成功する、などのように誇張した説明をせず、無理強いしないように注意しましょう。

2-4 信用金庫や信用組合を利用する

都市銀行や地方銀行などに比べて、信用金庫や信用組合は融資の審査が通りやすい傾向があります。それは審査が甘いという訳ではなく、組織としての目的が違うためです。

大手の都市銀行は株主会社であるために株主の利益を確保する必要があり、取引先は主に大手企業や中小企業などになります。

それに対して信用金庫や信用組合は地域の繁栄を目的に活動している金融機関です。地域の人や地域密着型の企業を会員(組合員)とし、取引先も中小企業や個人が中心になります。利益だけではなく、会員の利益を優先した取引を行うため、銀行では難しいケースでも融資が降りる可能性があるのです。

下表は信用金庫、信用組合、銀行の違いをまとめたものです。

区分 信用金庫 信用組合 銀行
根拠法 信用金庫法 中小企業等協同組合法協同組合による金融事業に関する法律(協金法) 銀行法
設立目的 国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資する 組合員の相互扶助を目的とし、組合員の経済的地位の向上を図る 国民経済の健全な発展に資する
組織 会員の出資による協同組織の非営利法人 組合員の出資による協同組織の非営利法人 株式会社組織の営利法人
業務範囲(預金・貸出金) 預金は制限なし。
融資は原則として会員を対象とするが、制限つきで会員外貸出もできる(卒業生金融あり)
預金は原則として組合員を対象とするが、総預金額の20%まで員外預金が認められる。
融資は原則として組合員を対象とするが、制限つきで組合員でないものに貸出ができる(卒業生金融なし)
制限なし

(※引用:一般社団法人全国信用金庫協会「信用金庫と銀行・信用組合との違い」)

2-5 日本政策金融公庫を利用する

不動産投資は「不動産賃貸業」とも言われ、事業性の高い投資方法です。そのため、新しい事業を始めるという観点から、日本政策金融公庫で資金の調達を検討する方法もあります。

日本政策金融公庫とは、民間の金融機関の取り組みを補完する政策金融機関で、新しく事業を始める人が利用できる創業融資制度などを提供しています。この創業融資制度を活用して資金を得ることができれば、年収が低くても不動産投資を始められる可能性があります。

個人事業主として新規開業資金の融資を得る場合は下記が主な条件になります。

  • 利用できる人:新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
  • 資金の使い道:新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金
  • 融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
  • 返済期間:設備資金20年以内(うち措置期間2年以内)、運転資金7年以内(うち措置期間2年以内)

(※引用:日本政策金融公庫「新規開業資金」)

2-6 ノンバンクのローンを利用する

ノンバンクとは貸付業務を行っている銀行以外の金融機関を指します。具体的には消費者金融、信販会社、リース会社、クレジットカード会社などです。預金や為替業務を行っておらず、融資業務を専門としています。

銀行などの金融機関とは違い、独自の審査基準を設けて融資を行っています。そのため銀行では難しい案件でも、融資が降りることがあります。

ただし、金利が高めに設定される傾向があります。購入する賃貸物件の利回りが将来にわたって確保できなければ、月々の返済金額の方が収入よりも多くなることもあるため慎重に利用検討しましょう。ノンバンクのローンについて知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。

【関連記事】不動産投資ローン、都市銀行・地銀・公庫・ノンバンクの特徴を比較

2-7 不動産投資型クラウドファンディングで少額投資する

自分で不動産を所有しなくても、不動産投資型クラウドファンディングを活用して関節的に不動産投資を行う方法もあります。

不動産投資型クラウドファンディングは、複数の出資者が出資金を支払い、賃貸物件を運営して得られた利益が収支割合に応じて配分される仕組みです。高額な初期費用がなくても、1万円~10万円程度の少額資金で不動産投資を始めることができます。

例えば、インカムゲイン型とキャピタルゲイン型の二つの収益タイプを選ぶことができ想定利回りも2%~20%と幅広い「COZUCHI」や、ホテルなどの宿泊施設や保育施設などに加えて、区分マンション案件や一棟マンション案件も扱っている「CREAL」など、サービスサイトごとに特色が分かれ、個人投資家では投資ハードルが高い物件にも気軽に分散投資が検討できるメリットがあります。

実物不動産投資と比較した時の主なデメリットは、不動産投資ローンを活用できないため資金効率が下がることや、不動産を所有しないために様々な税制上のメリットを受けられないなどが挙げられます。不動産投資型クラウドファンディングを利用する際は、これらのデメリットにも注意して検討してみましょう。

【関連記事】不動産投資型クラウドファンディングを選ぶポイントは?注目の6社を紹介
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まとめ

不動産投資の大きなメリットの一つに、金融機関の不動産投資ローンを活用することで自己資金以上の物件を運用できる点があります。しかし、年収が低いと金融機関の融資審査を通過できず、ローンを活用できないことがあります。

このような場合は、自己資金をできるだけ貯めて少額の物件を探してみたり、利用する金融機関を変えてみるなどの工夫をするなどの対策を検討してみると良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。