マンション投資初心者が知っておきたい、投資判断に役立つ利回りや立地の見方

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マンション投資をする際には利回りが良いとか、立地が良いなどと言います。しかし、新築と中古では物件価格や利回りが違いますし、エリアによって入居率が違います。初心者にとっては何が良くて、何が悪いのかがわかりにくいのではないでしょうか。

この記事では初心者の方がマンション投資をする際に、利回りや立地をどのように見て投資判断をすれば良いかについて解説します。

目次

  1. 利回りを見るときの判断の仕方
    1-1.利回りには表面利回りと実質利回りがある
    1-2.新築か中古かで利回りを見る基準が違う
    1-3.利回りは物件価格とのバランスで見る
    1-4.都心と郊外では利回りが違う
    1-5.実際の収支は実質利回りだけでなく金額も注意して見る
  2. マンション投資をする際のローン金利の見方
    2-1.契約者の信用情報だけでなく物件の評価でも金利が変わる
    2-2.利回りより金利の方が低いことが最低条件
    2-3.投資用不動産のローン金利は居住用の金利より高い
    2-4.2019年6月1日時点の住宅ローン金利
  3. 立地による条件の違い
    3-1.23区内と23区外の利回りの違い
    3-2.立地によって異なる物件価格
    3-3.駅から徒歩10分圏内であれば無難
  4. 資産価値が高いマンションの条件
    4-1.マンションの管理体制は資産価値に大きく影響する
    4-2.日当たりや部屋からの眺望が良いこと
    4-3.マンションの周辺にコンビニやスーパー、ATMなどがある
  5. 入居率の判断の仕方
    5-1.新築と中古は入居率が違う
    5-2.不動産会社の管理で入居率を上げる
    5-3.長期の収支で検討する
  6. 物件価格はいくらくらいなら安全か
    6-1.賃料は家賃10万円くらいまでを目安に
    6-2.10万円以下の支払額になる物件価格
  7. まとめ

1.利回りを見るときの判断の仕方

不動産投資をする際は、利回りが投資判断をする一つの基準になります。マンション投資の場合、利回りはどのように見ればよいのでしょうか。

1-1.利回りには表面利回りと実質利回りがある

マンション投資の場合、利回りは「物件価格に対する年間の家賃収入の割合」のことを言います。計算式で表した場合以下のようになります。

利回り(%)=年間の家賃収入÷物件価格×100

この試算法で算出した利回りを表面利回りと言います。実際にマンション投資をする際は、管理費や修理費などを支払うため、実際の利回りはこの通りにはなりません。経費を含めて計算した利回りのことを実質利回りと言います。実質利回りは収入から経費を引いて算出しますので以下の計算式になります。

実質利回り(%)=(年間の家賃収入-年間の経費)÷物件価格×100

経費を算入した場合としない場合とでは、実際に手元に残る試算の金額が違います。そのため投資をする際の収支シミュレーションを作成する場合は、実質利回りを使用します。

しかし、最初に投資をしても良さそうな物件かどうかを判断する場合は、個別の経費がわからないことが多いため、まずは表面利回りで見ます。この記事では表面利回りで条件面を考えてみたいと思います。

1-2.新築か中古かで利回りを見る基準が違う

新築は物件価格に建築会社や販売会社の利益が含まれますので、物件価格が家賃収入に対して割高になり、一般的に利回りが悪くなります。中古は仲介手数料が不動産会社の利益になるため、物件価格に販売利益などが含まれません。

また築年が経過しているぶん、修繕や賃貸需要が落ちるリスクも新築より高くなるため、それに応じて価格も下がります。そのため新築と中古の利回りを比較すると多くの場合、中古の方が利回りは良くなるのが一般的です。

新築を所有する場合の目的は、利回り(月々の家賃収入)だけではなく、老後に年金代わりの収入を得るためであったり、資産価値を保ち売却をしてキャピタルゲインを得るためであったりします。そのため利回りの比較を中古とまったく同じ基準で考えるのは避けた方が良いでしょう。

1-3.利回りは物件価格とのバランスで見る

利回りは物件価格とのバランスで見ることも大切です。利回りは家賃収入が高い場合か、物件価格が低い場合に良くなります。利回りが良くても物件価格が低すぎると、家賃収入が少ないために手元に残る資金が少なくなります。そうなると空室になったり修繕費用を支払ったりした場合に、すぐに資金が底をつく可能性もあります。

キャッシュフローを適度にストックするためには、利回りだけではなく物件価格も見て家賃収入がいくらになるのかを注意して確認しましょう。

1-4.都心と郊外では利回りが違う

郊外の方が都心部より利回りは良いと言われますが、実際にはどれくらい違うのでしょうか。以下の表は、一都三県の2018年時点での区分マンションの利回りの平均値を示したものです。
 

エリア 利回り
千葉主要 11.28%
東京市部 9.35%
埼玉主要 9.02%
横浜市 8.22%
川崎市 7.52%
東京23区 5.87%

*健美家「収益物件市場動向年間レポート2018年」をもとに筆者作成

こちらの資料から、一都三県における区分マンションの利回りでは東京23区が5.87%と最も低いことが確認できます。東京市部では9.35%と、23区の倍近くの利回りがあります。

このことから23区内の物件に投資をする場合は、キャッシュフローが少なくなることも考えられます。借入額が大きくなり、家賃収入に対する返済額の割合が大きくなるためです。そのため、空室になったり突発的な修理が発生したりして支出が必要な場合は、ストックされているキャッシュフローでは足りなくなる可能性も考えられます。

そのようなことから23区内の物件を購入する場合は、予防策として繰上返済をしたり、借り換えをしたりするなどでキャッシュフローの改善をしながら取り組む必要があることが想定されます。

1-5.実際の収支は実質利回りだけでなく金額も注意して見る

エリアや物件を探す初期段階では表面利回りで投資判断をするのが一般的ですが、実際にシミュレーションを作成する場合には実質利回りを使って判断をします。しかし、実質利回りが良くても、先に触れたように物件価格が低すぎる場合には手元に残るお金の額が少なくなります。

空室や修理が発生してもすぐに資金が底をついたり、支払いに足りなくなったりする状況を避けるために、年間でいくらストックできるかといった点も注意して見るようにしましょう。

2.マンション投資をする際のローン金利の見方

マンション投資をする際には金融機関でローンを組むことになりますが、その際の金利は何%くらいになるのでしょうか。また、審査はどのように進むのでしょうか。

2-1.金利は契約者の信用情報だけでなく物件の評価で変わる

金融機関はローン審査をする際に、契約者の収入や仕事内容、既存の借り入れなどの情報を確認します。それだけではなく、同時に物件の担保評価も行います。その評価によっては金利が高くなったり融資額が減額されたりもします。

金融機関は、契約者が返済不能になった際に物件を競売にかけるなどして現金化しますので、購入予定の物件に融資額に見合った担保力があるのかを見て融資額や金利を決めます。そのため、契約者の収入が多かったり信用力があったりしても、物件の評価が低い場合は、融資額が減額されたり金利が高くなったりするのです。

2-2.利回りより金利の方が低いことが最低条件

融資の金利を見る上で、物件の運用利回りよりどれだけ金利が低いのかが一つの目安となります。この表面金利と融資金利の差のことを「イールドギャップ」と言い、投資判断の指標として使われています。

基本的にイールドギャップが大きいほどキャッシュフローは大きくなります。ただ、イールドギャップがあっても管理費や修理費などの支出によってマイナス収支となる場合もありますので、支出全体を考慮しつつ注意してシミュレーションすることが大切です。

2-3.投資用不動産のローン金利は居住用の金利より高い

投資用不動産のローン金利は一般的に居住用(自宅用)のローン金利より高くなります。これは原資の違いによるところが大きな要因です。居住用のローンは給与から支払うことを前提としますので、仕事を辞めない限り返済はできると考えられます。

しかし、投資用不動産の場合は家賃収入からローンの返済を行うことになります。空室になり家賃収入がない場合、勤務していても他に住宅ローンや家賃の支払いがあると返済できなくなる可能性もあります。そのため投資用不動産のローン金利は、居住用の住宅ローン金利より高くなります。

2-4.2019年6月1日時点の住宅ローン金利

金融機関はリスクヘッジのために、投資用不動産のローン金利を住居用の住宅ローン金利より高めに設定しているのです。2019年6月1日時点の住宅ローンは基準金利が2.475%、優遇措置▲1.85%で、適用金利最低0.625%で組める可能性があります。しかし投資用不動産の場合は、一般的にこの金利より高くなることを認識しておきましょう。

3.立地による条件の違い

立地はマンション投資において成功するかどうかのカギを握るとても重要な要素になります。立地の違いによって何が違ってくるのかを見てみましょう。

3-1.23区内と23区外の利回りの違い

マンション投資をするエリアを東京都で考える場合、立地は大きく23区内と23区外に分けることができます。利回りの項目で触れたように、一般的に23区外の方が利回りは高くなります。そのため、利回りを優先する場合は23区外、資産価値や入居率といったことを優先する場合は23区内を狙う傾向が強くなります。

3-2.立地によって異なる物件価格

立地が違うと物件価格も異なります。都心は土地代が高額になるため新築でも都心のマンションの方が割高になります。以下は2018年の一都三県の区分マンションの平均価格をまとめたものです。

エリア 平均価格
東京23区 2,067万円
川崎市 1,233万円
埼玉主要 1,198万円
横浜市 1,195万円
東京市部 1,038万円
千葉主要 1,003万円

*健美家「収益物件市場動向年間レポート2018年」をもとに筆者作成

東京23区は一都三県で最もマンションの価格が高いことが確認できます。利回りを優先したり、あまり初期費用をかけたりしたくない方にとってはデメリットに感じるかもしれませんが、一方でそのぶん需要が高く、高く売却できる可能性もあります。そのためキャピタルゲインを狙いたい場合は、23区内の物件が候補に挙がってきます。

3-3.駅から徒歩10分圏内であれば無難

マンションの場合は駅から徒歩5分以内などのエリアにも多く建てられています。そのような駅近の物件は今後も需要が高いことが考えられます。しかし、そういった好立地の物件は売りに出されていることが少ない上に、売りに出されていても一般的に価格は高くなります。

その場合、駅徒歩10分以内まで範囲を広げて探すのも良いでしょう。徒歩10分以内であれば、じゅうぶん徒歩圏内で、通勤・通学にも無理がないことが考えられます。逆に徒歩20分以上になると、アパートや一軒家が多いエリアになりマンションの需要は低くなる可能性が高くなります。マンションの場合、徒歩10分以内が無難な範囲と言えるでしょう。

4.資産価値が高いマンションの条件

資産価値が高い物件は、高い価格で売却できる可能性が高いことが考えられます。では物件のどのような点から、資産価値が高いかどうかを見分ければ良いのでしょうか。

4-1.マンションの管理体制は資産価値に大きく影響する

マンションの資産価値に大きな影響があるのが管理体制です。管理体制が良ければエントランスやポスト周辺などの清掃が行き届き、綺麗な状態が保たれます。また、設備などもこまめに修繕をして問題なく使用できる状態が整います。清掃の状態や設備の損傷などにより、査定額も違ってきますので、管理体制の確認は必須です。

最初は小さな汚れや損傷だったとしても、マンション投資は数十年にわたる長期の投資になりますので、時間の経過とともに損傷などが大きくなることが考えられ、気付いた時には修復が難しくなることもあります。このように管理体制は資産価値を大きく左右する原因になるものですので、投資をする際は細かな点まで注意して確認することが大切です。

4-2.日当たりや部屋からの眺望が良いこと

日当たりも資産価値に影響してきます。物件を査定する際は部屋の中も見て査定を行いますので、日当たりや部屋からの眺望は価格に影響する条件だと言えます。また角部屋や上階が家賃は少し高くなるように、物件価格も角部屋や上階の方が高くなります。

4-3.マンションの周辺にコンビニやスーパー、ATMなどがある

マンションの周辺に生活に必要なコンビニやスーパーなどがある場合、賃貸ニーズが高くなることが考えられ、入居率を高くできることが期待できます。

賃貸ニーズが高ければ安定した収入が期待できるために資産価値は落ちにくくなりますので、周辺環境にも注意して物件を選ぶことが資産価値の高い物件を選ぶポイントになります。

5.入居率の判断の仕方

マンションの入居率は築年の経過に従って年々落ちていく傾向にあります。入居率は新築と中古ではどのように判断すれば良いのでしょうか。

5-1.新築と中古は入居率が違う

新築時は「新築プレミアム」と言って、多少家賃が高くても賃借人は付きやすい傾向がありますが、中古になると物件が古くなるぶん入居率は落ちることが想定されます。しかし、中古でも駅から徒歩10分以内の場所に建てられていたり、管理体制が良かったりする場合には入居率が落ちない物件もあります。

5-2.不動産会社の管理で入居率を上げる

マンションを販売している不動産会社の中には、管理も行っている会社があります。そのような会社ではマンションに特化した管理体制のノウハウが蓄積されていて、中古でも入居率が90%台後半を維持できている場合もあります。

上記で触れたように、管理体制がしっかりしていれば共用部の清掃も行き届き、また設備の不具合によって入居者の生活に支障が出る可能性も低くなるため、入居者が快適に暮らせて退去が少なくなると考えられます。そういった意味でも管理体制の良し悪しはマンション投資の成否を左右する大きな要素の一つだと言えます。

5-3.長期の収支で検討する

入居率のインパクトは、年間の収支で考えるとわかりやすくなります。例として、ローンの返済額が月に6万円あり、家賃収入は7万5,000円だとします。年間で3ヵ月空室があった場合(年間の入居率75%)、どれくらいのリスクがあるかを試算してみましょう。
       

3ヵ月分のローンの支払い 残り9ヵ月間の手残り額 年間のキャッシュフロー
18万円 1万5,000円×9ヵ月=13万5,000円 ▲4万5,000円

年間の入居率が75%の場合、単年で見ると4万5,000円のマイナスになります。入居率がわかりにくい場合は、このように収支で試算してみて、どれくらいの入居率が確保できればキャッシュフローを確保できるのかを把握しリスク管理するようにしましょう。

6.物件価格はいくらくらいなら安全か

中古物件は比較的価格帯が低くなりますが、マンションでも新築の場合は3,000万円を超える物件も多くあります。物件価格はいくらくらいなら安全なのかを見てみましょう。

6-1.賃料は家賃10万円くらいまでを目安に

物件価格を考える場合、想定賃料から試算すると良いでしょう。不動産・住宅サイトSUUMOが行った「賃貸物件に関する実態把握調査」では、「賃貸住宅に出せる家賃」という質問に対し300名のうち160名が「10万円以内」と回答しています。回答者の中には夫婦世帯の家族もあるため、単身者になるとさらに低くなることが想定されます。

仮に10万円以内がニーズの高い家賃だとした場合、マンション投資で組むローンの毎月の支払額は、せめて10万円より低くしなければキャッシュフローがプラスになりません。月々のキャッシュフローをプラスにするには、いくらくらいの価格帯までが投資対象になるのかを、想定賃料をもとに試算してみましょう。

6-2.10万円以下の支払額になる物件価格

仮に金利2%、返済期間35年とした場合、3,000万円の物件での収支は以下のようになります。

毎月の支払額 家賃収入 毎月のキャッシュフロー
9万9,378円 10万円 622円

毎月のローン返済の支払額は9万9,378円となりますので、これ以上高い物件価格になると、毎月のキャッシュフローがマイナスになります。なお、この物件価格と家賃収入で表面利回りは4%(=年間家賃収入120万円/物件価格3,000万円)ですので、都心部の新築・築浅マンションの運用イメージとなります。

また、この試算では管理費や修理代の費用などを含めていませんので、そういった経費を含めると、さらに低い金利のローン(1%前半~1%半ば)か長い返済期間のローン(45年など)でなければプラスにはなりません。頭金がいくら支払えるかによっても月々の返済額は変わりますので、実際に購入する際は個別にシミュレーションするようにしましょう。

まとめ

マンション投資をする際の投資判断について、立地や金利などの見方をご紹介しました。

マンション投資では、全て最良の条件で投資ができるわけではありません。投資をする際は、何を優先したいのかを決めて投資をすることがメリットを享受できるコツになります。

マンション投資では物件ごと個別に条件や状態が違いますので、全てのケースでご紹介したような判断基準になるわけではありません。投資をする際は必ずひとつひとつ収支や賃貸ニーズなどをシミュレーションして取り組むようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。