不動産投資が検討できる物件にはマンション、アパート、戸建など様々な物件に加え、新築・中古などを条件に加えると、その手段や方法は多岐に渡ります。
団地は、そんな様々な手段が検討できる不動産投資の投資対象となる物件の一つです。しかし、投資用不動産として団地が選ばれている事例は少なく、マンション投資との違いが分からずにお困りの方も少なくないのではないでしょうか?
この記事では、不動産投資の1つである団地投資のメリット・デメリット、マンションとの違いや注意点などを解説します。団地投資を検討されている方はご参考ください。
目次
- 団地投資とは
- 団地投資のメリット
2-1.団地は物件価格が比較的安価である
2-2.単身者用物件と比較して賃貸契約期間が長期化しやすい
2-3.建て替えによる売却益が期待できるケースがある - 団地投資のデメリット
3-1.管理費や修繕積立金が高い
3-2.建て直しが行われず、期待した売却益を得られない可能性がある - 団地投資の注意点
- まとめ
1.団地投資とは
不動産投資には、マンション投資やアパート投資、団地投資などいくつか種類がありますが、どのような違いがあるのか分からないという人は多いと思います。
マンション、アパート、団地の3つの建物は、法律で明確な違いが定められているわけではないため、本記事では以下のように区分しています。
- アパート:2階建以下の木造や軽量鉄骨造の小規模共同住宅
- マンション:3階建以上の鉄筋(鉄骨)コンクリート造の大規模共同住宅
- 団地:敷地内に建設されている共同住宅の集合体
主に団地はマンションやアパートのように建物の構造や規模で区分されるものではなく、同一敷地内に建っている共同住宅の集合体を表しています。都道府県や市区町村が運営する公営住宅、UR賃貸住宅(旧公団住宅)などが該当します。
団地の利便性を高めるために、スーパーや病院、学校、公園といった施設が併設されているケースもあります。
2.団地投資のメリット
団地投資では、団地に建っている共同住宅の1室を購入し、賃貸用として貸し出すことで家賃収入を得ます。
自分に合う運用方法を選ぶためにも、団地投資のメリットをしっかり把握しておくことが重要です。団地投資のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 物件価格が比較的安価である
- 契約期間が長くなりやすい
- 建て替えによる売却益が期待できる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
2-1.団地は物件価格が比較的安価である
中古物件としての団地は40~50年などの築年数が経過しているケースも少なくなく、安価に手に入りやすいのが特徴です。
不動産投資では、金融機関の融資を受けて投資用不動産を購入し、月々の家賃収入で不動産投資ローンを返済できるメリットがあります。しかし、家賃収入に対して物件価格が大きくなれば、金融機関の借入額が増え、月々のキャッシュフローの悪化につながります。
一方、団地投資では比較的安価で物件を購入検討できるため、総借入額を少なくすることが可能です。物件によっては数百万円など現金購入も検討できる価格で売却されていることもあり、大きな借入を避けたい方にとってメリットがあると言えます。
2-2.単身者用物件と比較して賃貸契約期間が長期化しやすい
団地はファミリー向けの間取りになっており、単身者用の物件と比較して一度入居が成立すると、転職や転勤などの理由が生じない限り賃貸契約期間が長期化する傾向にあります。
契約期間が短く頻繁に入退去が生じる物件は、室内のクリーニングがその都度必要になり、ランニングコストが発生します。また、すぐに入居者が見つからなければ家賃収入が得られず、空室リスクが高い物件と言えます。
2-3.建て替えによる売却益が期待できるケースがある
築年数が経過した物件は劣化した部分の修繕が必要ですが、柱や床、天井などの躯体部分は修繕だけでは補い切れません。そのため、築30年以上が経過した団地の中には、建て替えに至るケースもいくつか見られます。
集合住宅の建て替えには大きな費用がかかりますが、団地での建て替え時にはこれまでに積み立てられている修繕積立金が充当されたり、建て替えによって増えた戸数を販売するなどして、建築費用を抑えて再建築される可能性があります。
建て替えには、区分所有者数の5分の4以上の賛成と議決権の5分の4以上の賛成による決議が必要となり、必ず建て替えが成立するというわけではありません。しかし、建て替えが成立した場合は、安く新築物件が手に入るため、建て替えによる売却益が期待できることがあります。
3.団地投資のデメリット
団地投資による失敗を未然に防ぐには、メリットだけでなくデメリットも把握しておくことが重要です。団地投資のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 管理費や修繕積立金が高い
- ルールに従う必要がある
それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。
3-1.管理費や修繕積立金が高い
団地を所有した場合、日常の建物の維持管理にかかる費用を補う管理費、耐用年数に応じて定期的に行う修繕にかかる費用を補う修繕積立金を支払う必要があります。マンションを所有している場合も同様です。
これらの管理費や修繕積立金は、築年数が経過した物件ほど修繕箇所が増えるため、費用が高くなっていきます。そのため、築年数が40~50年程度の団地は、比較的新しいマンションよりも費用負担が大きい可能性があります。
3-2.建て直しが行われず、期待した売却益を得られない可能性がある
建て直しが成立した場合、新しくなった団地を売却することで大きな売却益が期待できます。しかし、建て直しに反対する人が多く建て直しが成立しなかった場合や、建て直しの計画が実施されなかった場合は、期待していた売却益を得られない可能性があります。
そのため、団地投資を検討する際は建て直しによる売却益だけでなく、周辺の賃貸需要や人口推移、家賃相場などを調査し、家賃収入によるインカムゲインで収支が合うかどうか慎重に検討することが大切です。
建て直しによる売却益を投資の検討段階で織り込んでしまうと、建て直しが行われなかった場合に大きな損失を被る可能性があります。売却益によるキャピタルゲインだけでなく、家賃収入によるインカムゲインで収支が合うかどうか、慎重に検討しましょう。
4.団地投資の注意点
現在はエレベーターの設置されている物件が増えていますが、団地は築40~50年を迎える物件が多く、エレベーターが設置されていない物件が多く見られます。
エレベーターが設置されていない団地で3階以上の物件を購入した場合は、階段の利用が困難な方の需要が期待できない可能性があります。
エレベーター未設置による需要の減少から安く売り出されている高層階の団地も多く、物件価格を抑えたい人には魅力的に見えます。しかし、団地を安く取得できても、入居率が低いと想定した家賃収入が得られない可能性が大きくなります。
エレベーターが設置されている物件であれは高層階の方が需要も価格も高くなる傾向にあります。しかし、階段の無い団地の場合は必ずしも高層階の需要が多いというわけではないため、需要に応じた階層を選ぶことが重要と言えるでしょう。
まとめ
団地は同一敷地内に建っている共同住宅の集合体のことで、築40~50年経過した物件が多いという特徴があります。築年数の経過した団地は比較的安価な価格で購入することが可能で、建て替えによる売却益を期待できるメリットがあります。
しかし、建て替えが行われずに期待した売却益が得られなかったり、想定した需要がなく家賃収入が少なくなってしまうケースも少なくありません。
団地投資は他の不動産にはない特有のメリット・デメリット、注意点があります。団地投資を検討している人はこの記事を参考に、慎重に検討してみましょう。
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矢野翔一
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