東京都心と郊外のマンション投資、どちらが得?メリット・デメリットを比較

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マンション投資をする際に、都心と郊外どちらのエリアで投資しようかと迷われる方もいるでしょう。都心は賃貸需要が高く長期的に収益が発生する可能性が高いものの、価格帯は高くなります。

逆に郊外は価格帯が低く始めやすいのですが、数十年後の入居率がどれくらいあるのかが気になります。マンション投資をするならどちらが得なのでしょうか。

この記事では東京都心と郊外でマンション投資をする際の、メリットとデメリットを確認した上で目的にあった投資方法をご紹介します。

目次

  1. 東京都心でマンション投資をするメリット
    1-1.職住近接で賃貸ニーズが高まっている
    1-2.転入者数が多い
    1-3.資産性が高い
  2. 東京都心でマンション投資をする際に考えられるデメリット
    2-1.価格が高く利回りが悪い
    2-2.固定資産税などが高くなる
  3. 郊外でマンション投資をするメリット
    3-1.物件価格帯が低い
    3-2.郊外は利回りが高い
  4. 郊外でマンション投資をする際のデメリット
    4-1.将来的な賃貸ニーズの不安がある
    4-2.出口戦略の不安
  5. 目的別のマンション投資法
    5-1.キャッシュを多くストックしたい場合
    5-2.高い価格で売却したい場合
    5-3.老後に年金代わりの収入を得たい場合
    5-4.運用を手放しでしたい
  6. まとめ

1.東京都心でマンション投資をするメリット

東京都心でマンション投資をする場合、どのような点がメリットになるのかを見てみましょう。

1-1.職住近接で賃貸ニーズが高まっている

近年は国が職住近接の施策を推進していたこともあり、都心の会社の近くに住みたいという社会人が増え、都心回帰の状態にあります。企業やそこに勤めている人が多ければ、近隣に住んでいる人が多くなる傾向にあります。

では東京都心の事業所数や従業員数は、全国市町村の中ではどれくらいの位置にあるのでしょうか。以下の表は平成28年における全国の事業所数と、従業員が多く在籍している市町村のランキングです。


*総務省発表「平成28年経済センサス‐活動調査(確報)」から引用

こちらの表から東京都23区は、事業所数で2位の大阪市と比較して約35万件も多いことが確認できます。従業員数も最も多く、2位の大阪市と比較して530万人以上の差があることが確認できます。このことから東京都心は職住近接に伴い、非常に賃貸ニーズが高いことが考えられます。

1-2.転入者数が多い

上記のように東京都心に住みたいという社会人が増えていることが想定できますが、他の都市との関係はどのようになっているのでしょうか。以下のグラフは、2018年中の都道府県別転入者超過数を表したものです。

*総務省発表「住民基本台帳人口移動報告平成30年(2018年)結果」から引用

こちらのグラフから東京都が2017年、2018年ともに都道府県の中で最も転入超過数が多いことが確認できます。また多くの都道府県では転出人口の方が多いことから、そのような都市から東京などに転入しているということが想定できます。

また、以下の表では各市町村の転入超過数が確認できます。

*総務省発表「住民基本台帳人口移動報告平成30年(2018年)結果」から引用

こちらの表から、東京都区部が全国の市町村の中で最も転入超過数が多いことが確認できます。このように、東京都の中でも都心(23区)は事業所数や従業員数が多い上に、転入者も全国で最も多いため、人口や人の動きの面から見てマンション投資をする上での賃貸条件が良いことが想定できます。

1-3.資産性が高い

上記のように、東京都心には転入者増加の状況や事業所が集中していることから高い賃貸ニーズが期待できます。賃貸ニーズが高ければそれだけ収益を得られる期待があるため、資産性が高く維持できる可能性も高くなります。そのため売却する際の評価も高くなることが考えられます。

都心のマンションは郊外のマンションと比較して賃貸ニーズが高く、その影響で物件の資産性も高くなるメリットがあると言えます。

2.東京都心でマンション投資をする際に考えられるデメリット

都心は人口が多く、賃貸ニーズの面でメリットがありますが、逆にデメリットはどのような点になるのでしょうか。確認してみましょう。

2-1.価格が高く利回りが悪い

都心のマンションは資産価値が高いぶん、価格帯も高くなります。そのため利回りが低く、運用においてキャッシュがストックされるスピードが遅くなります。

キャッシュのストックが少ない場合、空室リスクや家賃滞納リスクへの対応が難しくなる場合もあります。月々のキャッシュフローを良くするにはローンの頭金を多く入れたり、繰上返済をしたりするなどの工夫が必要になってきます。

2-2.固定資産税などが高くなる

都心の物件は価格帯が高いだけでなく、固定資産税や都市計画税も高くなるので注意が必要です。マンション投資の収支が悪く、毎月手元に残る資金が少ない場合、固定資産税を支払ったことで手元資金が少なくなったり、無くなったりすることも考えられます。

そうならないためには、日頃から将来発生する経費をあらかじめ把握した上で、収支を良くする工夫が必要になります。資金計画を慎重に検討して取り組むことが大切だと言えます。

3.郊外でマンション投資をするメリット

では次に、郊外でマンション投資をする場合にはどのような点がメリットになるのかを見てみましょう。

3-1.物件価格帯が低い

郊外は都心と比較して物件価格が低い傾向にあります。以下は2019年7月~9月期における一都三県の主要都市別区分マンションの平均価格です。
 

エリア 平均価格
東京23区 2,164万円
川崎市 1,352万円
東京市部 1,281万円
埼玉主要都市 1,254万円
横浜市 1,164万円
千葉主要都市 1,102万円

*不動産投資と収益物件の情報サイト健美家「四半期レポート2019年7月~9月期」の資料をもとに筆者作成

こちらの表から東京市部の区分マンションの平均価格は1,281万円で、東京23区の2,164万円の約2分の1の価格帯であることが確認できます。また同様に、その他郊外エリアの物件価格はいずれも東京23区に比べて大幅に低い価格帯となっています。

3-2.郊外は利回りが高い

郊外は都心と比較してマンションの価格帯が低いことが確認できました。次に利回りを確認してみましょう。
  

エリア 平均利回り
千葉主要都市 10.27%
埼玉主要都市 8.19%
東京市部 8.08%
横浜市 8.03%
川崎市 7.32%
東京23区 5.80%

*不動産投資と収益物件の情報サイト健美家「四半期レポート2019年7月~9月期」の資料をもとに筆者作成

こちらの表から、東京23区の平均利回り5.80%という数値に比べ、その他地域のほうが総じて利回りが高い傾向にあることが確認できます。

例えば2,000万円の物件を満室で運用できた場合、利回り8.08%と5.80%では年間の収益がどれくらい違うか試算してみましょう。試算した結果は以下のようになります。
    

利回り 年間収入
8.08% 161万6,000円
5.8% 116万円

同じ価格の物件の場合、23区と東京市部における満室時の年間家賃収入は、東京市部の方が約45万円も多いことが確認できます。1ヵ月当たり3万8,000円も差があり、とても大きな違いになることが考えられます。

このことから、郊外でのマンション投資は都心と比較して低予算でスタートでき、満室を実現・維持できれば高い利回りとなり、キャッシュもストックしやすいことが考えられます。投資額を抑えて、効率的に運用できる可能性があるという点が大きなメリットと言えるでしょう。

しかし、マンション投資は物件個別に条件が異なり、利回りもこの通りになるとは限りませんので、個別に収支をシミュレーションして取り組むようにしましょう。

4.郊外でマンション投資をする際のデメリット

郊外でマンション投資をする場合、価格帯が低く利回りが良いため、キャッシュフローを活かした運用がしやすいことが考えられますが、逆にデメリットはどのような点になるのか確認してみましょう。

4-1.将来的な賃貸ニーズの不安がある

都心のマンション投資のメリットで見たように、都心に転入者が集中しているぶん、郊外に行くほど賃貸ニーズの面では不安があると言えます。そのため、郊外でも賃貸ニーズが高いエリアを探して投資を考える必要があります。

4-2.出口戦略の不安

郊外のマンションを購入し運用する場合、出口戦略に不安が残ることが考えられます。賃貸ニーズが低い物件は収益が見込みづらく、また築年数が経過すればさらに賃貸ニーズは下落すると考えられるため、郊外には購入時から値崩れしやすいマンションが多い傾向にあるからです。

また、郊外は将来にわたって賃貸ニーズが低下していくリスクが高いエリアも多いため、なるべく賃貸ニーズが落ちないであろうエリアの物件を選んだり、早めに出口戦略を立てて行動したりすることが必要だと言えます。

5.目的別のマンション投資法

都心と郊外ではマンションの価格や利回り、賃貸ニーズ面で違いがあることが確認できました。このような特徴を活かすためにはどのような形で投資をすれば良いのでしょうか。投資を行う目的別に、どちらのエリアでマンション投資をしたらメリットが大きいのかを考えてみましょう。

5-1.キャッシュを多くストックしたい場合

キャッシュを多くストックするには、収支が良いことが条件になります。満室時の利回りを試算した際に、キャッシュは郊外マンションの方がストックしやすい傾向にあることが確認できました。

ただし、都心のマンションでも工夫の仕方によってはキャッシュを多くストックすることも可能です。例えば頭金を多く入れたり、借り換えや繰上返済をしたりしてローンの返済負担を減らすという方法です。ただし、それらを行うと先に出ていく資金が多くなりますので、都心と郊外ではどちらがメリットは大きくなるのかは、自己資金も考慮しながら物件単位で慎重にシミュレーションして取り組むことが大切です。

5-2.高い価格で売却したい場合

高い価格で売却したい場合は、都心のマンションの方がメリットはあると考えられます。都心は上記で確認したように人口が多く、長期的に見ても賃貸ニーズが高いことが考えられます。賃貸ニーズが高い物件は収益が多く、売却時の査定価格も高くなります。売却をより良い条件で行いたい場合は、都心のマンションの方がメリットの方が大きいと言えるでしょう。

5-3.老後に年金代わりの収入を得たい場合

今後、老後の生活費は自分で作っていかなければならず、年金だけでは足りないとも言われています。マンション投資を検討している方の中にも、老後の年金作りを意識する方は多いのではないでしょうか。

不動産投資では、ローンを完済したあとの家賃収入はほとんどそのまま自分の蓄えにすることができます。そのため老後に少しでも多く収入を得たいということであれば、家賃が高めの都心のマンションの方がメリットは大きくなるでしょう。

しかし、都心のマンションは価格帯が高く、運用時の収支が悪い可能性も高くなります。収支を良くするには、繰り上げ返済の必要経費などの投資が必要になりますので、あらかじめそのリスクは考えておく必要があります。

一方、郊外のマンションでも月数万円の家賃収入は見込めますので、老後に必要な金額によっては、低予算でスタートできる郊外のマンションでもメリットはあると考えられます。

5-4.運用を手放しでしたい

マンション投資は、管理会社に管理業務を委託することで、ほぼ手放しで運用できる点が魅力の一つです。都心・郊外問わず、管理業務を委託することは可能です。ただ、管理会社の管理体制によって以後の入居率や管理状態が違ってきますので、管理会社を選択する際は、実績などをよく見て委託するようにしましょう。

まとめ

マンション投資をする際、都心と郊外ではどちらがメリットが大きいのかを見てみました。都心と郊外では賃貸ニーズや価格帯、利回りに違いはありますが、必ずしもどちらか一方が良いというわけではないと言えます。

マンション投資にかけられる時間や費用、目的などの違いによって、都心と郊外のマンションのどちらに投資するかを検討することが大切です。マンション投資に取り組む際は、候補物件の収支を慎重にシミュレーションした上で判断するようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。