日本銀行は21日、「ステーブルコインに関するG7議長声明」を公表した。これは、10月17日に米ワシントンDCで開催されたG7(主要7カ国)の会議によるもので、今年6月にフェイスブックが発表したステーブルコイン(価格安定型の暗号資産[仮想通貨])構想である「リブラ」プロジェクトに対する関心が高まるなかで明かされた内容となる。
G7議長声明では、ステーブルコインについて、まず「法的確実性」、「健全なガバナンス」、「マネーロンダリング(資金洗浄)」、「テロ資金供与及びその他の違法な金融活動」、「決済システムの安全性」、「消費者や投資家の保護」などの項目に関する法律上・規制上・監督上の課題とリスクを引き起こすことを指摘している。
もしステーブルコインが国際的に受け入れられるとすると、こうしたリスクが増幅し、また新たなリスクが起こる可能性もあると述べている。さらには、通貨代替を含む国際通貨システムへの影響を持つ可能性もあり、通貨主権に対する課題を引き起こし得るとして、こうした課題やリスクに十分な対応がなされるまでは、「いかなるグローバル・ステーブルコインもサービスを開始すべきではないということに合意した」としている。
また、「金融安定理事会(FSB)や金融活動作業部会(FATF)によって進められている取り組みは、グローバル・ステーブルコインがもたらすリスクに対する理解を研ぎ澄ます助けとなるだろう」として、G20における協力を歓迎すると述べている。G7は「自ら範を示す形で、新興のステーブルコインに関するものを含め、新技術に関わるFATF基準の迅速かつ効果的な実施を導いていく」という。
最後に、今後について「政府や中央銀行、国際決済銀行などの基準設定主体に対し、関連する国際機関や、民間の決済や技術提供主体と協力し、引き続きクロスボーダー決済の改善や金融包摂の推進、同局間の協力改善に向けた取り組みを支援することを求める」とまとめている。
これに対してフェイスブックの最高経営責任者(CEO)であるザッカバーグ氏は22日、米国当局の承認なくリブラ計画を実行することはないと述べている。
【記事提供】 株式会社フィスコ
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