公認会計士の方は金融機関から高属性とされて、アパートローンの融資審査において高い評価を受けやすい傾向があります。また、公認会計士の方の持つ、会計や税務の知識がアパート経営に生きることも多いでしょう。
ただし、物件選びや融資審査では注意すべき点もあります。この記事では、公認会計士がアパート経営を始めるメリット・デメリットを整理し、融資審査の際の注意点についても触れていきます。
目次
- 公認会計士がアパート経営を始めるメリット
1-1.アパートローンの融資条件で優遇されやすい
1-2.運営を管理会社に委託でき本業への支障が少ない
1-3.会計や税金面など本業の知識を生かすことができる - 公認会計士がアパート経営を始めるデメリット
2-1.融資を受けやすいため収支計画や物件選びに注意する必要がある
2-2.仕事や家計に影響が生じるリスクもある - 融資審査の注意点
3-1.勤務先の雇用形態・勤続年数等に注意する
3-2.物件の担保評価に注意する - まとめ
1.公認会計士がアパート経営を始めるメリット
公認会計士がアパート経営を始めるメリットとして、次のような点が挙げられます。
- 融資条件で優遇されやすい
- 運営を管理会社に委託でき本業への支障が少ない
- 会計や税金面など本業の知識を生かすことができる
以下で、それぞれについて詳しく説明していきます。
1-1.アパートローンの融資条件で優遇されやすい
不動産投資では、金融機関のローンを受けて収益不動産を購入していきます。このローンを受ける際の金融機関の審査では、収益物件の担保評価に加えて借りる人の属性が重視されます。
公認会計士は、属性面からの金融機関の評価が高く、不動産投資ローンを通常よりも優遇された条件で受けやすいといえます。
融資条件が良いと、得られるキャッシュフローに余裕が生まれ、投資効率を高めることができます。キャッシュに余裕があれば、大きな修繕に対応する場合など、予期しないリスクにも対応できます。
また、余裕のあるキャッシュを再投資したり、リスクは高いが高利回りの収益物件に投資したりすることで、さらに投資効率を高めることができます。
1-2.運営を管理会社に委託でき本業への支障が少ない
公認会計士の場合、本業の職務がハードで拘束時間も長くなる方も多いでしょう。
不動産投資では、運営の大部分を管理会社に委託することができ、できるだけ手間のかからないよう、工夫することができます。管理会社との契約時に、管理内容を確認するようにしてみましょう。
ただし、物件の大規模修繕や入退去時の精算、賃料の見直し、売却判断など、投資の収支に大きな影響を与えるような事柄については、オーナーが判断する必要があります。それらの判断に伴うリスクはオーナーが負うことになるので注意しましょう。
1-3.会計や税金面など本業の知識を生かすことができる
公認会計士の方は、本業において会計監査や税務監査をおこなうことがあり、一般の方と比較すると会計や税務の知識があります。
アパート経営の投資費用に対する収益率は数%~十数%であり、細かい利回り計算や収支計算に基づき綿密に計画を立てて運営していくことが重要になります。また、このように、僅かな運用収入から利益を積み上げていくことが基本となるため、その収益にかかる税金を把握しておくことも大切です。
会計や税務の専門家である公認会計士の方は、本業の知識やノウハウを生かすことができる場面も少なくありません。アパート経営をおこなう上で、本業の知識やノウハウを生かすことができるという点は、大きなメリットといえるでしょう。
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2.公認会計士がアパート経営を始めるデメリット
公認会計士がアパート経営を始めるデメリットとして、次のような点が挙げられます。
- 融資を受けやすいため収支計画や物件選びに注意する必要がある
- 仕事などに影響が出る可能性がある
以下で、それぞれについて詳しく説明していきます。
2-1.融資を受けやすいため収支計画や物件選びに注意する必要がある
公認会計士は好条件で融資を受けやすいため、期待利回りの低い物件に多額の融資を受けて購入したり、リスクの高い物件に融資を受けて購入したりすることが可能になる場合があります。
このような場合、家賃収入に比べてローンの返済額が大きくなってしまったり、多額の修繕支出が発生したりなどして、キャッシュフローが厳しくなることもあります。
余裕のある収支計画を立て、リスクの低い物件を選ぶ、というように自ら注意をしてアパート経営をおこなうようにしてみましょう。
2-2.仕事や家計に影響が生じるリスクもある
アパート経営は不動産賃貸事業であり、入居者の募集、入居者対応・集金管理、物件の修繕・原状回復などの運営管理業務が日常的に発生します。これらの業務は不動産管理会社に委託することが可能ですが、重要な判断はオーナー自身がおこなう必要があり、仕事や生活に影響が出る可能性があります。
また、収益物件の老朽化に伴って修繕の必要が生じることがあり、大規模な修繕をしなければならないことになると、その費用を家計の資金から捻出するような事態が生じる可能性もあります。このように、手間や金銭面から、仕事や家計に影響が生じるリスクもあるといえます。
3.公認会計士のアパートローン融資審査の注意点
公認会計士の方がアパートローンの融資審査を受ける際に注意しておきたいポイントについて確認しておきましょう。
3-1.勤務先の雇用形態・勤続年数等に注意する
公認会計士の方は、高度専門職であるため、長期間一つの企業や事務所等に勤務するのではなく、比較的短期間のうちに転職するケースもあるでしょう。融資審査では勤続年数が考慮されることがあり、短期間の転職は低評価につながることもあるので注意しましょう。
また、会計士は正社員という雇用形態に拘らず、敢えて業務委託などの雇用形態を選ぶ方も多い職業です。融資審査においては、公認会計士の有資格者という点だけで属性面で高い評価を受けることができますが、雇用形態という側面からは業務委託などの個人事業主であることがマイナスに評価されることもあります。
3-2.物件の担保評価に注意する
アパートローンは、収益アパートの賃貸事業が生み出すキャッシュフローを返済原資とすることが原則です。そのため、融資審査では、収益アパートの収益性や資産性などの担保評価が重要な要素となります。
アパートローンの融資を受ける際は、収益アパートの利回りが周辺相場と比較して十分といえるか、土地及び建物の積算価格が購入額に見合っているか、などに注意するようにしましょう。
まとめ
公認会計士は、不動産投資ローンを良い条件で受けられる可能性が高く、余裕を持った投資や、効率の良い投資が検討しやすい職業です。また、職務がハードで時間的に余裕がなくても、アパート経営の運営について管理業務の大部分を外注することができるため、本業への支障は少ないでしょう。
他方、不動産投資ローンが借りやすい分、収支計画や物件選びに注意する必要があります。また、公認会計士という高属性であっても、融資審査では他の要素も考慮されるため注意するようにしましょう。
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佐藤 永一郎
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