マンション投資は物件の購入価格も低く、不動産投資初心者でも比較的ハードルの低い投資方法と言えます。
しかし、空室リスクや金利リスク、修繕リスクなどの気を付けたいリスクもあります。これらマンション投資のリスクは、事前に対処したり、想定されるトラブルに備えることで最小限に抑えることが重要です。
本記事では、不動産投資の初心者の方向けに、マンション投資のリスクとその対処法を解説します。
目次
- マンション投資の6つのリスク
1-1.手元現金が不足し、投資や生計に支障が生じるリスク
1-2.ローンを返済できなくなるリスク
1-3.家賃収入が想定通りに入らない空室リスク
1-4.修繕費など予想外の支出が生じるリスク
1-5.経済環境の変化や被災によって損失を被るリスク
1-6.売却が長期化したり、希望価格での売却ができないリスク - マンション投資のリスクへの対処法
2-1.手元現金を確保し、余裕資金で投資をおこなう
2-2.賃貸需要を見極め、ローン返済率を抑える
2-3.投資計画を立てる際、家賃収入、修繕費を厳しめに見積もる
2-4.保険に加入して災害リスクに備える
2-5.売却まで見据えた投資計画を立てる - まとめ
1.マンション投資の6つのリスク
マンション投資の主な6つのリスクについて、解説していきます。
1-1.手元現金が不足し、投資や生計に支障が生じるリスク
マンション投資では、まとまった現金を手元に用意しないと始めることが難しく、多額の現金を一時期に支出するケースがあります。この場合、その後の生活や人生設計において大きな支出をすることが難しくなるなど、支障が生じる可能性があります。
マンションの管理を続けていくなかでも、修繕費など予想外の大きな支出が生じることがあります。手元現金が一時的に不足し、マンション経営を続けることが難しくなるリスクもあるでしょう。
1-2.ローンを返済できなくなるリスク
マンション投資では、空室の発生や陳腐化などにより家賃収入が減少したり、無くなったりした場合、家賃収入からローンの返済をできなくなるリスクが生じます。
その場合、他の収入を返済に充てたり、それでも返済できずに滞った場合は、担保にしているマンションを差し押さえられたりする可能性もあります。
1-3.家賃収入が想定通りに入らない空室リスク
マンション投資では、空室の発生や陳腐化などにより、家賃収入が想定通りに入らないことがあります。資産運用の計画通りに家賃収入が入らないと、場合によっては運用の収支がマイナスになるリスクがあります。
マンション維持管理するには費用がかかるため、一時的に他収入からその費用を補填する必要があるからです。融資を受けている場合は、ローンの返済分も赤字になります。
1-4.修繕費など予想外の支出が生じるリスク
建物の築年数が経過するにつれ老朽化したり、設備や内装が陳腐化したりすることがあります。
区分マンションでは、共用部の老朽化に備えて修繕積立金を積み立てているものの、室内の設備や内装の修繕はオーナーの負担になります。
たとえば、室内の水回り設備は生活に必需の設備であり、壊れやすい部分でもあります。老朽化による故障があれば、修繕や場合によっては入れ替えが必要になることもあります。
また、一棟マンションの場合は、外壁塗装や共用の給排水設備などの修繕費用のすべてをオーナーが負担する必要があり、特に修繕費が大きくなるリスクが高いといえます。
1-5.経済環境の変化や被災によって損失を被るリスク
マンションの立地する地域で競合物件が増加したり、景気が悪化したりして賃貸需要に変化が生じることがあります。また、借入金利が上昇する可能性もあります。このような場合、マンション経営のキャッシュフローが悪化するリスクがあります。
さらに、火災・地震・水災・風災・雪災などの災害によって、建物が損壊もしくは破損し、入居者が居住できないような状態になるおそれもあります。
大型台風や集中豪雨による風水災のような災害が生じると、家賃収入が入らなくなるだけでなく、入居者が居住できるように建物を修繕しなければならない可能性もあります。
1-6.売却が長期化したり、希望価格での売却ができないリスク
収益マンションにローンの抵当権が設定されている場合、通常、抵当権を解除しなければ売却できません。抵当権を解除するには、ローンの残債以上の金額で売却するか、不足分を現金で充当する必要があります。
また、老朽化が激しかったり、賃貸需要が少ない地域になっていたりする場合、すぐに買い手が見付からない可能性もあります。
2.マンション投資のリスクへの対処法
上述したマンション投資のそれぞれのリスクに対処する方法として、次のようなものが考えられます。
- 手元現金を確保し、余裕資金で投資をおこなう
- 賃貸需要を見極め、ローン返済率を抑える
- 投資計画を立てる際、家賃収入、修繕費を厳しめに見積もる
- 保険に加入して災害リスクに備える
- 売却まで見据えた投資計画を立てる
それぞれ見て行きましょう。
2-1.手元現金を確保し、余裕資金で投資をおこなう
マンションの経営を継続し、生活をしていくにあたっては、予想しない出来事が生じて多額の資金が必要になることがあります。また、人生設計の重要な行動を選択する場面において、資金不足であることが行動の選択肢を狭めてしまうことも考えられます。
万一の事態に備えて、マンション投資は余裕資金で行うことが大切です。また、初期投資費用を支出する際は、手元現金を充分に残しておくようにしましょう。
2-2.賃貸需要を見極め、ローン返済率を抑える
家賃収入からローンの返済ができなくなるリスクを防ぐには、家賃収入を確保するために購入前に賃貸需要を見極めることと、ローンの返済額を予め家賃収入の一定割合以下に抑えておくことが大切です。
賃貸需要の維持には、立地が重要なポイントになります。大都市圏であることや、公共交通機関や主要駅へのアクセスが良いことなども評価できるポイントです。また、現地や室内を実際に見て、入居者が住みたいと感じるような物件かどうか、確かめることも大切です。
ローン返済率を抑えるため、融資は家賃収入が得られる期間の範囲内でなるべく有利な条件で組むようにしましょう。資金に余裕があれば、頭金を多めに入れることも考慮しましょう。
2-3.投資計画を立てる際、家賃収入、修繕費を厳しめに見積もる
マンション投資の投資計画を立てる際、家賃収入は空室リスク、家賃下落リスクを加味して試算するようにしましょう。
総務省統計局では、「平成 30 年住宅・土地統計調査」において都道府県単位の空室率を調査して公表しています。このような統計の数値も参考にし、投資エリアの検討に役立ててみましょう。
また修繕の発生頻度や修繕費の上昇リスクなども厳しく見積もっておき、シミュレーションより悪化しても収益を得られるかどうかを確認しておくことも大切です。
これらのリスクを加味したうえで、家賃収入から無理なくローン返済ができるような投資契約を立てるようにしましょう。
2-4.保険に加入して災害リスクに備える
自然災害によって、建物が損壊もしくは破損し、入居者が居住できないような状態になる災害リスクに備えるため、保険の加入を検討してみましょう。
火災・水災・風災・雪災など大半の自然災害には、火災保険に加入することである程度備えることができます。地震には、別途地震保険に加入して対処するようにしましょう。また、家賃保証特約を付けることで、災害時の家賃収入を補償する保険もあります。
2-5.売却まで見据えた投資計画を立てる
投資計画を立てる際には、売却まで見据えたシミュレーションをおこなうようにしましょう。家賃収入による運用益に、売却収入と初期費用を加味し、トータルの収益を考慮することも大切です。
売却時にローンの残債が残っているようなら、売却収入で残債を一括返済できるのか、不足するようならその分の資金をどのように工面するのか、についても念頭に入れておきましょう。
まとめ
マンション投資には、手元資金が不足したり、ローンの返済が厳しくなったりするリスクのほか、家賃収入や修繕などの支出が想定より悪化するリスクがあります。経済環境の変化・災害などによるリスク、売却リスクもあります。
これらマンション投資のリスクは事前に想定しておき、準備しておくことで損失を最小限に備えることが大切です。投資判断をする際は、リターンだけでなくリスクについても確認し、バランスをとった投資を検討してみましょう。
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佐藤 永一郎
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