サラリーマンがアパート経営を始めるメリット・デメリットは?リスク対策も

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アパート経営をサラリーマンが始めるのは、投資額も大きくなり手間もかかるため、ハードルが高いと考え、投資に迷う方も多いのではないでしょうか。

サラリーマンの方がアパート経営をおこなうと、数多くのメリットもあります。しかし、どのようなリスクや作業が発生するのかを確認し、本業と並行して行うことは可能であるか、慎重に検討することが重要と言えます。

この記事では、サラリーマンの方がアパート経営を始める際のメリットとデメリットを解説します。アパート経営を始めるかどうか悩んでいた方は、ご参考下さい。

目次

  1. サラリーマンがアパート経営を始めるメリット
    1-1.融資を受ける際にサラリーマンの属性を活用できる
    1-2.運営・管理業務は委託することができる
    1-3.一定規模の資産性収入を得ることができる
    1-4.団体信用生命保険に加入することが可能
    1-5.土地の資産割合が高く、リスクを軽減できる
    1-6.税金の軽減ができる場合がある
  2. サラリーマンがアパート経営を始めるデメリット
    2-1.購入時に資産性、収益性などの調査が必要である
    2-2.修繕費リスクが大きくなる傾向がある
    2-3.空室リスク、金利上昇リスクなどを背負う必要がある
    2-4.アパートの運用には収支管理、運営コストや手間がかかる
    2-5.出口戦略を検討する必要がある
    2-6.勤務に影響を及ぼすおそれがある
  3. まとめ

1.サラリーマンがアパート経営を始めるメリット

サラリーマンがアパート経営を始めるメリットとして、融資付けの際、給与収入があることが有利に働く点や、家賃収入が給与収入のリスクヘッジになるというメリットなどがあります。

また、アパート経営は、土地の資産割合が高いためリスク軽減にも役立ちます。それぞれのメリットを詳しく見て行きましょう。

1-1.融資を受ける際にサラリーマンの属性を活用できる

アパート経営では、投資金額が大きくなるため、多くのケースで融資を受けて物件の購入をすることになります。金融機関の融資審査においては、アパートの収益性や資産性のほか、購入者の属性も審査対象です。

この融資審査では、家賃収入と給与収入を併せて、返済原資の評価がなされます。一定額以上の給与収入があるサラリーマンであると、融資審査で有利になる可能性があります。

金融機関の融資審査の評価によって融資の条件も大きく異なります。金利や融資年数などの条件はアパート経営の収益性にも大きく関わるため、サラリーマンの属性を活かすことはアパート経営を有利に進めるための要因となり得ます。

1-2.運営・管理業務は委託することができる

アパート経営では、運用していく過程で、入居者の募集、入居者対応・集金管理、物件の修繕・原状回復などの運営業務が発生します。

しかし、これらの業務は不動産管理会社などの外部業者に委託することができます。委託手数料はかかりますが、オーナーはほとんど手間をかけることなく運用することが可能です。

なお、委託業者に頼らず自主管理も可能ですが、管理状態が悪化すると、空室が増加したり、入居者対応が遅れてクレームに発展したりする可能性もあります。外部業者に委託する方が効率的な運営ができることもあります。

これらの委託業者を活用することで、本業の忙しいサラリーマンの方であっても、並行してアパート経営を行っているケースは少なくありません。ただし、物件の大規模修繕や売却などの大きな意思決定は行う必要がある点に注意しましょう。

1-3.一定規模の資産性収入を得ることができる

サラリーマンの給与収入は、人が労務を提供することの対価である勤労性の収入です。人の労働することができる時間や体力には限度があります。人には病気や怪我、老化などで労働できなくなるリスクもあります。

これに対して、不動産収入は、資産を運用することによって得られる資産性の収入です。アパート経営は勤労性収入のリスクを補い、複数の収入源を確保することに役立つといえるでしょう。

1-4.団体信用生命保険に加入することが可能

収益アパートを購入するために金融機関で融資を受ける際、団体信用生命保険に加入することが可能です。

団体信用生命保険とは、金融機関等から融資を受けている債務者が、死亡したり高度障害状態になったりしたときに、生命保険会社が債務残高相当分の保険金を金融機関等に支払い、保険金を債務の弁済に充てる制度です。

団体信用生命保険に加入することで、アパート投資で融資を受けていて、本人が死亡等の状態になったとしても、遺族に借入のない状態で収益アパートを残すことができる可能性があります。

1-5.土地の資産割合が高く、リスクを軽減できる

アパート経営は、不動産投資のなかでは、全体の価格における土地の資産割合が高くなります。経年劣化や陳腐化によって大きく下落する建物の価格に比べて、土地の価格は下落しにくく、資産価値の下落リスクを軽減することができます。

また、土地の所有権があるため、将来的に建物を壊して土地として売却することも可能です。家賃収入を得られなくなった後の選択肢が多いことも、アパート経営のメリットといえます。

2-6.税金の軽減ができる場合がある

アパートの家賃収入は不動産所得として毎年確定申告を行い、その収入にかかる所得税と住民税を納めます。

このとき、不動産所得は「不動産収入―必要経費」によって算出されますが、アパート経営では、木造アパートの耐用年数が22年と比較的短く、毎年の建物の減価償却費が大きくなる傾向があります。

不動産所得がマイナスになると、給与所得と損益通算をおこなって所得税のかかる課税所得が減る場合もあります。このようなケースでは、給与収入のみのサラリーマンと比べて、税金が軽減できることになります。

2.サラリーマンがアパート経営を始めるデメリット

サラリーマンがアパート経営をおこなうデメリットとしては、オーナーは、購入判断や収支管理、運用や売却の判断をおこなう必要がある点です。突発的なトラブルの対応などで、本業に影響が生じる可能性もあります。

また、不動産投資に付随するリスクのうち、特に修繕リスクが大きいのがデメリットといえます。これらのデメリットについても詳しく見て行きましょう。

2-1.購入時に資産性、収益性などの調査が必要である

アパート経営では、投資金額が比較的大きく、万一投資がうまくいかなかったときの損失も大きくなります。

そのため、購入時には資産性や収益性について慎重な調査が必要といえます。資産性については、主に土地の路線価と建物の建築価格から判断します。収益性については、周辺地域の賃貸需要と利回り相場から判断してみましょう。

融資を受けて購入する場合は、融資審査の際に金融機関がこのような調査を行いますが、最終的な投資の成否を保証するものではありません。オーナー自身も経営者として、キャッシュフローがいくらぐらいになるか、慎重にシミュレーションをして購入判断を行いましょう。

2-2.修繕費リスクが大きくなる傾向がある

アパート経営では修繕費リスクが大きくなる傾向があります。この理由として、修繕そのものが多額になる傾向があるためです。

アパート経営では、建物一棟を所有するため、外壁塗装や共用の給排水設備などの修繕費用のすべてをオーナーが負担する必要があります。

なお、区分マンション投資ではこれらの修繕費を修繕積立金として事前に徴収し、修繕費の平準化を図っています。しかし、アパート経営では修繕の必要性が生じたときにその修繕費用が支出されるため、突発的にキャッシュフローが悪化するリスクが高くなります。

2-3.空室リスク、金利上昇リスクなどを背負う必要がある

アパート経営では、空室リスクや陳腐化による家賃下落リスクがあります。家賃収入は新築時から築20年程度までに20%下落することもあり、事前のシミュレーションが甘いと将来的に大きな損失を被る可能性があります。

融資を受けて購入する場合は、金利上昇によってキャッシュフローが圧迫されるリスクや、災害が生じたときに建物が損壊したり、家賃収入がなくなったりするリスクもあります。

アパート経営ではこのような付随するリスクを受け入れ、期待するリターンとのバランスを取った投資判断が重要なポイントとなります。

2-4.アパートの運用には収支管理、運営コストや手間がかかる

アパート経営のオーナーの業務として、収支がマイナスになっていないかどうかや、想定通りの運用ができているかどうかを定期的に確認する必要があります。

運用実績が想定を下回っている場合はその原因を分析し、投資の収支を改善するために、何らかの対策や意思決定、対策に必要な手続きを行っていくことになります。

また、アパート経営の運営業務は外部に委託することが可能ですが、管理コストを抑えるためオーナー自身が行う場合には、相当な手間がかかることになります。

2-5.出口戦略を検討する必要がある

アパート経営では、不動産投資の利益を確定するために、出口戦略を検討しておくことも重要なポイントです。

売却するのであれば、全体的にリノベーション工事をする方法や、更地にして売却する方法が考えられます。また、アパートや戸建てを再建築して再投資したり、民泊などに転用したりする方法もあります。

出口戦略の選択肢が多いことはメリットともいえますが、難易度も高いポイントです。あまり不動産投資に手間をかけたくない方にとっては、選択肢の多さがデメリットとなることもあります。

2-6.勤務に影響を及ぼすおそれがある

サラリーマンがアパート経営をおこなう場合、本業の勤務にも、手間や社内規程などの観点から影響が生じるおそれがあります。

運用における重要な意思決定や手続きには、オーナー自身が関わる必要があります。区分マンション投資と比較して投資規模が大きく、修繕リスクも大きいアパート経営では、意思決定にオーナーが関わる場面が比較的多いといえるでしょう。

他にも、勤務先の会社の副業禁止規定に触れる可能性もあります。勤務先の雇用契約を確認し、副業規定が定められていないか、事前に確認しておきましょう。

まとめ

サラリーマンがアパート経営をおこなうのは、融資付けに属性を生かすことができ、家賃収入や土地の資産がリスクヘッジになるというメリットがあります。

他方で、オーナーは運用・投資判断に関する業務を行う必要があり、手間がかかります。修繕リスクのほか、不動産投資には様々なリスクがあることにも念頭に置いておきたいといえます。

投資の収支には定期的に注意を払い、特に修繕リスクには気を付けて手元資金を充分に確保して投資を行うようにしましょう。いざという時に備えて、出口戦略も検討しておくことも大切です。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。