農地を所有している人や相続によって取得した人の中には、農地を耕作せず放置している人もいるのではないでしょうか?農地を放置することには、多くのデメリットを伴うため、活用・転用、売却のいずれかを行うことを検討してみましょう。
この記事では、農地を放置すると起こる3つのデメリット、活用・転用方法、売却する際の手順を解説します。
目次
- 農地を放置する3つのデメリット
1-1.固定資産税が高くなる
1-2.活用・転用が難しくなる
1-3.周囲に迷惑がかかる - 農地の活用・転用方法
2-1.農地として活用する
2-2.転用して運用する - 農地の売却手順
3-1.売却方法を検討する
3-2.不動産会社に相談する - まとめ
1.農地を放置する3つのデメリット
農地の中には、耕作者の年齢的な問題や後継者問題などの理由で、耕作せず遊休農地として放置されている土地もあります。
「農地をそのまま放置していても耕作していた時と同様、固定資産税を払っていれば特に問題はない」と考える方も少なくありませんが、遊休農地として放置することには、以下の3つのデメリットを伴います。
- 固定資産税が高くなる
- 活用・転用が難しくなる
- 周囲に迷惑がかかる
それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。
1-1.固定資産税が高くなる
農地に適用される固定資産税は、以下の計算式で算出した金額のうち少ない方となります。
- 評価額(売買価格×0.55)×税率
- 前年度の課税標準額(前年度の売買価格×0.55)×負担調整率×税率
しかし、遊休農地となってしまった場合、0.55を乗じてもらえなくなります。固定資産税が1.8倍となり、税負担が大きくなるという点に注意が必要です。
将来的に利用する予定がないにもかかわらず、利益を生み出さない遊休農地を多額の固定資産税を支払いながら持ち続けていると、税制上のデメリットが大きいと言えます。
1-2.活用・転用が難しくなる
農地を利用している間は、定期的に農薬の散布や草むしりなどが行われるため、管理が行き届いています。しかし、遊休農地として放置されている土地は、雑草だらけになる、ゴミや廃棄物の不法投棄によって荒れ果てていることも少なくありません。
このような荒廃した農地を貸し出すまたは売り出そうとしても、なかなか借り手や買い手が見つからず、長期化してしまう可能性が高まります。荒廃した農地を活用・転用するためには、荒廃した状況を改善する手間がかかることになります。
1-3.周囲に迷惑がかかる
農地が荒廃した場合の問題点は活用・転用、売却に不利になるという点だけではありません。仮に荒廃した土地に害虫や害獣が住み着いた場合、影響が近隣に拡がる可能性があります。
具体例としては、害虫や害獣が近隣の作物に被害を与えた、死骸や糞尿の匂いのトラブルなどが想定されます。これらのトラブルが大きくなると、近隣住民に訴えられて損害賠償を請求される可能性もあります。
2.農地の活用・転用方法
農地を将来的に利用する予定がないのであれば、遊休農地として放置するより農地を活用・転用することも検討してみましょう。
農地を活用・転用すると言っても、宅地等の通常の土地活用・転用とは異なる部分が多いため、農地特有の活用・転用方法を事前に把握しておくことが重要です。農地の活用・転用方法を見ていきましょう。
2-1.農地として活用する
農地の活用方法として、農業に興味がある人や近隣の農家に農地を貸し出すという方法が挙げられます。農地として活用すれば、毎月定期的な賃料収入が得られる、土地が荒廃する心配がなくなるのが大きなメリットです。
他にも、行政や業者と契約して市民農園を運用する、行政や旅行会社と連携して体験農業を導入するといった活用方法も挙げられます。収益性の高さや活用にかかる費用はそれぞれ異なるため、自分に合った活用方法がどれなのかをよく考えてから選びましょう。
2-2.転用して運用する
農地は使用用途が限定されているため、転用するには転用の許可が必要です。転用が許可された場合、駐車場経営やアパート経営、太陽光発電といった土地活用を行えるようになります。
しかし、農地があるのは、住宅街から離れており、利便性の優れていない地域であるケースが多いでしょう。賃貸需要が少ない地域で、駐車場経営やアパート経営を始めても、一定の需要を確保することは容易ではありません。
また、更地とは異なり、土地の造成に費用がかかるという点にも注意が必要です。そのため、土地活用を選択する場合、農地がどのような立地にあるのか、どのような土地活用であれば需要が期待できるのか、調査することが重要と言えます。
【関連記事】田舎でも検討できる土地活用は?5つの活用事例や注意点を解説
3.農地の売却手順
農地を売却する際の手順は以下の通りです。
- 売却方法を検討する
- 不動産会社に相談する
それぞれの売却手順について詳しく見ていきましょう。
3-1.売却方法を検討する
農地を自由に売買できた場合、農地が減少することで自給率が低下する恐れがあることから、農業委員会は農地の売買を制限しています。そのため、農地を宅地として売却することは原則的にできないことになっています。
しかし、農地を農地として売却する場合は、上記のような制限を受けません。自分で近隣の農家で買い手を探す、地域の農業関連機関の斡旋で買い手を探すといういずれかの方法で売却を進めます。
一方、宅地として売却したい場合は農業委員会や都道府県などの許可を得る必要があります。転用の許可を得るための手続きには手間と時間がかかることから、不動産会社への相談も検討してみましょう。
3-2.不動産会社に相談する
農地を宅地として売却することに決めた場合、まず不動産会社に相談します。不動産会社と一口に言っても、不動産会社によって得意とする分野は異なります。
丁寧なサポートを受けるには、農地転用に強いかどうか、売却を得意としているかどうかを事前に確認しておくことが重要です。しかし、農地転用を伴う売却を取り扱う不動産会社は多くないため、1社ずつ問い合わせていると、手間と時間がかかります。
このような状況であれば、複数の不動産会社へ一括で査定依頼ができる不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトであれば、不動産情報を一度入力するだけで、仲介に対応している不動産会社を素早く見つけられる、複数の不動産会社から査定を受けられます。
不動産一括査定サイトでの物件登録時には、詳細が書ける備考欄が用意されています。「農地から転用して売却したい」「まずはどのような方法があるか知りたい」など、それぞれの要望に合わせて、条件を記載してみましょう。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
仲介を依頼する不動産会社を決めた後、不動産会社が主体になって売却を進めてくれます。不動産会社によって売却価格や売却完了までの時間に差が生じることも多いため、仲介を依頼する不動産会社選びにもしっかりこだわりましょう。
4.まとめ
農地を所有している、相続で取得した人の中には、耕作せずに遊休農地として放置している人も少なくありません。遊休農地として放置している場合、固定資産税の負担が大きくなる、近隣住民とのトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。
農地を耕作せずに遊休農地として放置しているのであれば、活用・転用もしくは売却を検討してみましょう。
ただし、。農地は耕作目的以外の使用を禁止されているため、勝手に転用や売却を行うことはできません。トラブルを未然に防ぐためにも、農地の転用や売却をする場合は不動産会社への相談も検討してみましょう。
矢野翔一
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