自己破産、不動産査定書が必要になるケースは?査定の受け方や注意点も

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自己破産を申し立てる際に、不動産を所有している申立人は申立書と一緒に「不動産査定書」が必要となります。

自己破産手続きには管財事件と同時廃止事件の2種類があり、査定書の金額によって取り扱い事件が変わるケースがあります。

本記事では、自己破産手続きの概要や不動産査定書と不動産査定の受け方、自己破産を行う際の注意点を解説していきます。

目次

  1. 自己破産とは
  2. 自己破産で不動産査定書を提出するケースとは
    2-1.不動産を保有している場合は不動産査定書を提出する
    2-2.オーバーローンの場合はオーバーローンの上申書を提出
  3. 自己破産を行う際の注意点
  4. まとめ

1.自己破産とは

自己破産とは、クレジットカードや消費者金融等でお金を借り入れた債務者が、自身の収入だけでは債務を返せなくなってしまった際に、裁判所に申し立て債務整理を行う手続きのことです。

自己破産は破産法という法律により国が認めた債務整理の方法で、債務者の経済的な再生を目的としています。自己破産を行ったからと言って、会社を解雇されてしまったり、全ての財産が没収されてしまったりすることはありません。

手続きを行うためには各種書類の提出や専門家への相談等が必要となります。破産手続き後に残ってしまった債務は、一定の条件を満たした場合「免責」として支払いの義務を免除できます。

自己破産には「同時廃止事件」と「管財事件」という2種の方法があり、以下の条件を満たす場合には管財事件とみなされます。

  • 33万円以上の現金がある場合
  • 預貯金・有価証券、不動産・自動車・バイク、保険の解約返戻金、貴金属・美術品といった高価な動産、相続財産等資産で20万円以上のものがある場合
  • 資産および負債の金額が分からない場合や債権者数が多い場合等の資産調査が必要なケース
  • 法人及び法人の代表者の場合、個人事業者の場合(過去に事業を営んでいた者を含む)
  • 免責の調査が必要なケース

不動産を所有する方を始め、多くのケースでは「管財事件」として自己破産手続きを行う事になります。

管財事件では、破産手続きにおいて財産の管理・処分を行う「破産管財人」を選出し債務者の財産のすべてを金銭に換えて債権者に公平に分配する仕組みになっています。

一方、同時廃止事件は換金できる財産がないことが明らかな場合に適用され、債務者の財産をお金に換えず、破産手続開始の決定と同時に破産管財人を選ばずに破産の手続を終わらせるという決定をします。

なお、ローンを組んで不動産を保有しているケースで「ローンの残債が不動産の固定資産評価額の1.5倍以上」である場合、オーバーローン上申書を提出し、「換金できる資産ではない」ことを証明することで、同時廃止事件として扱われる可能性があります。

裁判所や役所では手続き方法を教えてくれますが、個々のケースへの対応は難しいため行政書士・弁護士等の専門家に相談することも検討してみましょう。

2.自己破産で不動産査定書を提出するケースとは

自己破産の申立人が不動産を保有している場合、不動産査定書の提出が必要となります。査定書を提出する条件について見て行きましょう。

2-1.不動産を保有している場合は不動産査定書を提出する

自己破産手続きを申し立てる際に、不動産を所有している方は「不動産査定書」を提出する必要があります。不動産の査定書は不動産業者に依頼し、2社以上の査定額を記載した書類を提出します。

2-2.オーバーローンの場合はオーバーローンの上申書を提出

ローンの残債が不動産の査定額の1.5倍以上ある場合は、申立書とは別に「オーバーローンの上申書」を提出します。

不動産査定の結果がオーバーローンになるのであれば、管財事件ではなく同時廃止事件として取り扱われることが可能です。この場合、オーバーローンの上申書を提出し、裁判所に「換金できる財産がない」と判断された場合には、同時廃止事件として手続きを進めていきます。

複数の不動産会社に査定を依頼し、1番目と2番目に低い査定額を出した2社の査定書とオーバーローン上申書を提出すると、同時廃止事件として扱われ、後々の負担が減る可能性があります。

3.自己破産を行う際の注意点

自己破産は債務整理の方法として国に認められた権利ではありますが、自己破産を行うことによって制限される事項があります。

管財・同時廃止事件で共通して制限される事項は、「保険募集員、警備員、弁護士、税理士、後見人等になれない」という点です。

また、管財事件で破産管財人が選任された場合、裁判所の許可なく転居や長期の旅行ができない居住制限、郵便物等が破産管財人に転送される、破産管財人に対して財産状況などの説明義務を負う事があります。

自己破産手続きは信用情報機関に事故として記録されてしまいますので、クレジットカードを新たに作ることができない、ローンを組むことができないといった制約が発生します。

まずは弁護士や行政書士等の専門家に相談することも検討してみましょう。

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まとめ

自己破産の手続きでは、破産管財人を選出し、申立人の財産を処分し弁済を行う管財事件より同時廃止事件の方が申立て人にとって負担が少なくなる傾向があります。

不動産を所有している方は不動産査定書を提出する必要があります。適正な価格で査定書を作成できるよう、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。

なお、自己破産は信用情報機関に事故として記録されてしまう、手続き後に一定の職業に就くことができないなど、デメリットがある手続き手段です。他の債務整理の方法を利用できないか検討することも重要なポイントとなります。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。