査定を知るものが売却を制す!不動産の査定で本当に重要な8つのポイント

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不動産を売却する際は査定をして価格を決めます。不動産価格には相場はあっても定価はありませんので、査定を依頼した不動産会社の数だけ価格は違ってきます。不動産の価格は収益などをもとに計算して出すだけではなく、周辺環境や管理といった計算では出せない状況や状態も考慮されて決まるからです。

では、収益や資産価値以外に不動産の何を見て査定しているのでしょうか。今回は中古不動産の査定方法や売却の際に注意したいことなどを確認した上で、査定の際に不動産の何を見ているのかなど、査定で本当に重要な8つのポイントについて見てみたいと思います。

目次

  1. 査定の方法や売却の際に注意したいこと
    1-1.査定の方法は簡易査定と訪問査定の2種類ある
    1-2.不動産の価格を算出する方法は3種類ある
    1-2-1.収益不動産の査定に使用される収益還元法
    1-2-2.再調達原価額で試算される原価法
    1-2-3.周辺地域の成約事例で決める取引事例比較法
    1-3.内見には必ず立ち会うようにする
  2. 不動産の査定で本当に重要な8つのポイント
    2-1.家賃はなるべく下げずに運用する
    2-2.仲介と買取で価格が変わるので注意
    2-3.一括査定サイトを使って複数の査定額を見る[PR]
    2-4.築年数が価格に影響してくる
    2-5.オーナーチェンジで売却する
    2-6.管理状態を常に良くしておく
    2-7.査定項目を把握しておく
    2-8.不動産会社との連携をこまめにする
  3. まとめ

1.査定の方法や売却の際に注意したいこと

不動産の価格を決める際の査定方法にはいくつか種類があります。売却の仕方も仲介なのか買取なのかによって、売却されるスピードや価格が違ってきます。まずは査定や売却の基本について確認しましょう。

1-1.査定の方法は簡易査定と訪問査定の2種類ある

査定の方法には簡易査定と訪問査定の2種類があります。簡易査定とは机上で試算をして価格を算出する方法です。不動産会社に物件情報を伝えると、おおまかな価格を出してくれます。この時点ではまだ見積もりを見る段階だと理解していただければいいと思います。

その価格を見て本格的に検討する段階になると、不動産会社の人が現地に行って物件を調査します。この作業が訪問査定と言われるものです。物件の劣化の状態や周辺環境、駅からの距離などを見て最終的な価格を決定する作業になります。

このように段階を踏んで価格を決めますが、せっかく価格が決まってもその価格で売却されないこともあります。不動産の価格は最終的には需要と供給のバランスで決まります。買いたいという人が多くなれば高くなることもありますし、ずっと売却できなければ価格を下げざるを得ないということがあるからです。

1-2.不動産の価格を算出する方法は3種類ある

簡易査定で価格を決める場合、価格を算出する方法には収益還元法、原価法、取引事例比較法の3種類があることを知っておきましょう。

1-2-1.収益不動産査定に使用される収益還元法

収益還元法とは不動産の収益をもとに現在の物件価格を算出する方法です。収益還元法で導き出された価格を収益価格や収益還元価格と言います。収益還元法には直接還元法とDCF法の2種類があります。

直接還元法では「1年間の収益÷利回り」で算出することができます。例えば1年間の収入が120万円で利回りが8%の場合、

収入120万円÷利回り0.08=物件価格1,500万円

このように、物件価格は1,500万円になります。

DCF法は将来得られる収益と予想価格から現在の価格に割り引く方法です。「割り引く」というのは「換算する」ことと理解していただければ良いでしょう。詳しい計算方法は「投資用不動産選びの7つのポイント投資用不動産選びの7つのポイント」という記事の「2-4.資産価値が高い物件を選ぶ」の項目でも解説していますので参考にしてみて下さい。

1-2-2.再調達原価額で試算される原価法

原価法は土地と建物の価格を分けて算出します。建物は、もし同じ物件を建築したらいくらかかるか、という再調達原価額を出し、築後経過での価値の低下分を割り引いて算出する方法です。土地は主に路線価や取引事例をもとに算出します。

原価法は金融機関が物件の評価をする際によく使う試算方法です。原価法の土地の価格は路線価をもとにして算出するため、土地の広さが価格に影響してくる特徴があります。そのため、土地の狭い都心のマンションの売却額が郊外の広い土地の戸建てより安くなるといったように、収益価格と違う価格になることがあります。

1-2-3.周辺地域の成約事例で決める取引事例比較法

主に戸建てや住居マンションの価格を算出する際に使われる方法ですが、収益不動産の査定でも収益還元法と合わせて使ったりします。この方法で算出された価格を比準価格や取引事例価格と言います。近隣地域の同じような物件の成約事例をもとに算出します。

以上のように不動産価格の出し方には3種類の方法がありますが、必ず一つの方法で決められるわけではありません。原価法で出した価格と取引事例比較法で出した価格を調整して決定するといったように、複合的に使って出したりもします。以下に計算方法と特徴を一覧にしましたので参考にしましょう。

査定法 計算方法 特徴
収益還元法 収益から物件価格を算出 収益物件に適用
原価法 路線価や再調達価額から算出 金融機関が物件評価をする際に使用
取引事例比較法 同じような物件の成約事例から算出 住居や収益物件に適用

1-3.内見には必ず立ち会うようにする

実際の売却価格は、買主と売主の思惑で変わってきます。買主が物件を気に入って高くても買いたいと思っているのか、もう少し安ければ買いたいと思っているのか、あるいは実は購入の意思がないのかといった思惑を知るためには、内見の際に必ず立ち会って、買い主と直接会話することが重要になってきます。

自分の思惑によっても価格は変わってきますし、買主の目的によっても変わってきます。買い急いでいるのか、急いでいるのなら理由はどういうことなのかなどを実際に会話することで知ることができます。購入に至らない場合でも、物件のここが気に入らなかった、など改善点のヒントなどを得られる可能性があります。

買主との交渉は安くすることだけとは限りません。買主の事情によっては多少高くても購入まで至るケースもあります。例えば物件が好みに合えば利回りは最低限で良いと思っているケースや、高騰しそうなので早めに買っておきたいと考えているケースもあるからです。買主によって購入する目的は違いますので、目的を知る意味でも内見の立ち合いは必ずしましょう。

2.不動産の査定で本当に重要な8つのポイント

査定と売却について基本的な事項を確認しました。査定時には不動産の細かな点までチェックされます。査定について詳しく知って、査定額を高くするヒントをつかみましょう。次に査定で重要な8つのポイントについて解説いたします。

2-1.家賃はなるべく下げずに運用する

価格の算出方法には収益還元法と原価法、取引事例比較法があることに触れましたが、収益物件の査定はほとんどの場合収益還元法で算出します。収益還元法の場合、家賃収入の違いで物件価格が変わってきます。参考に物件価格を試算してみましょう。利回りは8%で年間家賃収入が110万と120万円、130万円の物件の価格の違いを直接還元法で比較します。

年間家賃収入 利回り 物件価格
110万円 0.08 1,375万円
120万円 0.08 1,500万円
130万円 0.08 1,625万円

*物件価格=年間家賃収入÷利回りで試算

表からわかるように収益還元法で物件価格を試算した場合、家賃収入が多いほど物件価格は高くなります。普段からなるべく家賃を下げずに運用することを心がけることが大切です。

2-2.仲介と買取で価格が変わるので注意

査定額は売却を仲介でするか、買取でするかでも変わってきます。仲介は不動産会社が仲介をして第三者に売却をする方法ですので、まずは売主の希望価格で売りに出すことができます。その後、なかなか買主が付かないようであれば価格を下げたり、市場の状況によっては上げたりして調整していきます。

買取は不動産会社が買取り、不動産会社は再販することで利益を得ます。リフォームは不動産会社が行いますし、売却後の瑕疵担保責任は不動産会社にあります。仲介手数料もかかりません。

買取は不動産会社が買い取るため、売主から物件とその他の業務などが短期で手放しになる上、急いでいる場合はスマートに現金化されるメリットがあります。しかし、買取価格は仲介に出した場合の売却価格より20%前後は安くなります。仲介と買取では査定価格が違うので注意しましょう。仲介にするか買取にするかは、売主の都合で選択することが可能です。

なお、買取の査定価格は不動産業者にとっての「マンションの仕入れ価格」となります。つまり、買取サービスで査定をしてもらうことで、「下限の査定価格・売却価格」を知ることができるようになります。

たとえば、投資用ワンルームマンション専門の査定・買取サービス「ハヤガイ」では、マンション価格のビッグデータをAIに組み込むことにより素早く自動査定をしてくれるため、最短1営業日で精度の高い市場価格を知ることができます。事前に買取の査定価格を頭に入れてから、仲介の査定に臨むことで、提示された価格が高すぎる・低すぎるということを見極めやすくなりますので、ぜひ活用されてみると良いでしょう。
 

2-3.一括査定サイトを使って複数の査定額を見る

不動産の価格は不動産会社によって違います。そのため1社だけに査定を依頼した場合、本当の価格なのかどうかの判断ができません。不動産会社によっては数百万円も査定額が違うケースがありますので、最低でも3社以上は査定を依頼することが重要です。

自分の足で不動産会社を周るのも良いですが、会社によって必要になる書類が違ってくることもありますし、ゼロから複数の会社に説明をしなければならなくなります。そのような手間を省くには一括サイトを使う方法があります。

一括査定サイトは一度に1,000社くらいの不動産会社に依頼できるサイトもあれば、厳選された3社だけに依頼するサイトなど、目的や好みによって選ぶことができるようになっています。

また、依頼の際に仲介の場合と買取の場合の査定を依頼できますので、どちらも査定依頼をすることで相場や最低価格を把握する材料にもなります。たとえば、LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービスなどの大手が運営している一括査定サイトをうまく使うことで、価格を決める際の参考にすることができます。

2-4.築年数が価格に影響してくる

築年数は売却価格に影響してきます。築年数が長くなるほど価格が下がりやすくなるということもありますが、それ以外の理由もあります。

買主が現金で購入する場合は別ですが、個人の場合はほとんどが金融機関のローンを使って購入します。中古物件の場合ローン期間は法定耐用年数から築年数を引いた残年数でしかローンを組めません。そのため月々の支払額が数十万円になる場合があるからです。

以下の表を確認しましょう。構造の違いによる耐用年数の違いを一覧にしたものです。

構造 耐用年数
鉄筋コンクリート造り 47年
鉄骨造り 34年
木造 22年
軽量鉄骨造り 19年

国税庁ホームページ より抜粋して作成

この表から中古マンションの耐用年数が47年ということがわかります。買主が組めるローンの長さは基本的に

ローン期間=47年-築年数

となります。以下の表を確認しましょう。条件の違う物件を2%でローンを組んだ場合の月々の支払額の違いです。不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’Sから「新宿区、中古マンション、ワンルーム」で検索(2018年11月現在)し 実際に売りに出ているマンションをサンプルとして使っています。

間取り ワンルーム ワンルーム
広さ 21.25㎡ 21.41㎡
駅からの距離 牛込柳町駅徒歩5分 東新宿駅徒歩3分
価格 1,800万円 1,600万円
築年数 築16年 築40年
ローン期間 30年 7年
月々の返済額 6万6,531円 20万4,278円

*金利2%でローンを組んだ場合

この表から築年数が古いとローン期間が短くなり、月々の返済額が大きくなることがわかります。実際には、頭金を多く入れたりすることで、月々の支払いは少なくすることが可能ですが、いずせにせよ築古の場合は買主のキャッシュ負担が大きくなることが多いため、買主を付きやすくするには売却価格を下げざるを得なくなってきます。

希望の価格で売却しやすくするには、出口戦略を早いうちに立てて築年数が古くならないうちに売却をするか、保有中に十分なインカムゲインを蓄えて売却価格のほうを低めに抑えること等がポイントになってきます。

2-5.オーナーチェンジで売却する

入居者がいる状態で物件を売買することをオーナーチェンジと言います。オーナーチェンジ物件は賃借人がいるため、購入後すぐに家賃収入がある点で買主にとってメリットがあります。また買主が自分で住むことができないという限定要素があるため、価格は通常の売買価格より安く設定されます。

買主のデメリットとして、入居者がいるため部屋の中を見ることができない点があります。中を見ることができなくても良いという場合があります。買主がすでに投資用物件を持っていてオーナーチェンジでも抵抗がないという人であったり、物件がシリーズ化されていて名前が知れている物件であったりした場合はオーナーチェンジでもスムーズに売却できることが多くなります。価格が折り合うようであればオーナーチェンジで売却するという方法があります。

2-6.管理状態を常に良くしておく

価格の下落を防ぐために管理状態を常に良くしておくことが大切です。区分マンションであればドアの汚れや内装の痛み、設備の状態、水回りの状態などは、入居者の入れ替わりの際などに確認して良い状態に回復しておきましょう。管理状態が良いということで、価格が上がるというよりも、価格が下がらない状態にしておくということが大切です。管理状態が良ければ買主が内見に来た際も、価格を下げる交渉がしにくくなります。管理状態を良く保つということは価格の下落を防止することにつながります。

2-7.査定項目を把握しておく

以下は公益財団法人不動産流通センターが公表している、中古マンションの価格査定方法の一例です。主には中古マンションの査定用に作成されたものです。

公益財団法人不動産流通センター「価格査定マニュアルによる中古マンションの査定」より引用

不動産会社は常に収益不動産ばかり査定しているわけではありません。不動産会社によっては取り扱う物件のほとんどが住居用という会社もあります。そのような会社が査定を行う場合、住居用の査定表を参考に使う可能性が高くなります。その際に査定額が下がらないためにも、査定箇所を把握して自分でできる箇所などは改修しておきましょう。

2-8. 不動産会社との連携をこまめにする

物件が早めに売却できるかどうかは、不動産会社の担当者のやる気も関係してきます。不動産会社の社員は他の案件もいくつも抱えていますので、後回しにされないようにこまめに連携を取り、こちらも売却状況を気にかけていることを伝えることが大切です。

特に仲介で売却する場合は不動産会社との連携は重要です。仮に広告を出してなかなか買主が付かないという場合は、いったん価格や広告を見直す作業が必要になってきます。その時になってあわてて連絡をとるのではなく、普段から連携して戦略を練っておくようにしましょう。

まとめ

収益不動産の査定は住居と違い収益をもとに行われますが、駅からの距離や管理状態も加味されるということがわかりました。あらかじめ計画を立てて査定をすることが、査定額を上げるポイントになります。また不動産には市場が活性化する時期とあまり動かない時期もあります。売却のタイミングなども不動産会社と密に連携をとって決めることが大切です。

これから不動産投資を始めるという方も、出口戦略をしっかりたてて運用をするようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。