2022年の不動産市場は価格決定力が鍵か。シュローダーの市場見通し

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シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は12月15日、2022年の世界市場について、REIT(不動産投資信託)および不動産関連株式の見通しを発表した。レポートの冒頭に「原材料価格の上昇と労働力不足が物価を押し上げているため、22年は価格決定力が鍵となる」と指摘。貸倉庫、物流施設、データセンター、住宅などは供給不足が続き、新規の供給が限定的なことから良いパフォーマンスが期待できる。一方で、ショッピングモールやオフィス、住宅建設業者などは高い原材料価格と構造的な脆弱性からアンダーパフォーマンスになると見込んでいる。

サプライチェーンの混乱は商品のインフレを引き起こし、労働市場に影響を与えている。不動産市場ではどのセクターでも原材料を使用し、人材を雇用しており、コストを顧客に転嫁できないと悪影響は必至。ただし、貸倉庫、物流施設、データセンター、住宅などの特定のサブセクターでは供給不足が続いており、シュローダーは「新規の価値がある供給が限定的なことから、22年に成長する可能性が高いセクターとなる」と予想する。

特に、住宅セクターは22年に最も強力なパフォーマンスを上げる可能性がある。需要は供給を上回り続けており、金利の上昇は住宅の購入価格および建設費用のさらなる上昇を引き起こすためだ。賃貸事業も「すべての市場セグメントで力強い成長を遂げるはず」のセクター。米国の戸建住宅の供給は1970年代以来の最低水準となっており、住宅価格は急激に上昇している。

ショッピングモール、オフィス、住宅建設業者は、高い原材料価格と構造的な脆弱性からアンダーパフォーマンスが懸念される。ショッピングモールは消費者の裁量消費分野への支出を伴うテナントで運営されているため、生活必需品のコストが上昇するにつれ、インフレ上昇の悪影響を受けやすい。モール内のテナントの店舗従業員への依存度も高く、人件費が上がる可能性もある。

「困難な市場環境でも投資機会はある」とレポートは主張する。シュローダーが選好しているセクターの実物資産は「インフレが加速する局面において必要不可欠となる価格決定力を持つ」として、インフレに対する強力なヘッジになるとしている。

22年の不動産セクターからのリターンは、大幅な上昇となった21年の水準には及ばないが「一部の債券など他の資産クラス対比では魅力的な可能性がある。また、強靭なバランスシートを持つ投資先企業は22年も良好な業績を上げるだろう」と示唆した。

【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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