米国株のインデックスファンドは長期運用の投資先としてよく取り上げられますが、いざ初めて投資するとなると、どんなポイントを見たらよいのかわからず悩む方もいるでしょう。
この記事では、インデックスファンドのベンチマークや手数料、米国マーケットの背景など、網羅的に解説しています。ファンド選びにお迷いの方はご確認ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- インデックスファンドの特徴と強み
1-1.分散効果の高さ
1-2.低コスト
1-3.分散投資と低コストがもたらす運用成績 - 米国株インデックスファンドの特徴と代表的な3つの指数
2-1.世界経済を牽引する米国マーケット
2-2.S&P500
2-3.NYダウ
2-4.NASDAQ - インデックスファンドの歴史
3-1.年金の運用先としてスタート
3-2.日本では意外に歴史が浅い - 米国のマーケットの現状
4-1.2008年リーマンショックからの回復
4-2.上昇トレンドを続けている - 人気の米国株インデックスファンド5本
- まとめ
1.インデックスファンドの特徴と強み
インデックスファンドがもつ強みや特徴を解説します。
1-1.分散効果の高さ
インデックスファンドは各指数のベンチマークに追従するスタイルの運用を行っているため、間接的に多くの分散投資効果が得られます。投資信託の強みの一つに分散投資効果が挙げられますが、インデックスファンドへの投資は、分散投資の効果を特に増幅させることが可能です。各指数自体が多数の銘柄で構成されているためです。
長期運用を考える時に、信託報酬の低さと分散投資の効果は、大きな強みとなるでしょう。
1-2.低コスト
インデックスファンドは、低コストな運用に強みがあります。アクティブファンドの中には、信託報酬が約3%程度のものも見られますが、インデックスファンドの信託報酬はおおよそ、0.1%から0.7%程度にとどまっています。
運用期間が長くなるほど、運用コストの差は大きくなっていきます。したがって、長期運用を考える時に、インデックスファンドは有力な選択肢となり得るのです。
1-3.分散投資と低コストがもたらす運用成績
インデックスファンドの分散投資効果と、低コスト運用は長くファンドを保有する長期運用に適当です。指数に連動するインデックスファンドに投資することで、マーケットのトレンドを抑えた運用が可能となり、その時のマーケットの状況によって柔軟な対応を取ることができます。
2.米国株インデックスファンドの特徴と代表的な3つの指数
米国株のインデックスファンドに見られる特徴と、3つの代表的な指数について解説します。
2-1.世界経済を牽引する米国マーケット
個人消費が多い米国は、移民の増加と国民の平均年齢の低さが相まって、潜在的な成長率が高い点が特徴です。
グローバルな一流企業が集まるニューヨーク証券取引所には、世界から多くの投資資本が集まっています。時価総額の多さから、米国マーケットは世界に影響をあたえる存在となっているのです。ここ10年のマーケットのグラフが、着実に右肩上がりとなっている裏付けの一つに、アメリカの経済基盤の強さが見て取れるのではないでしょうか。
2-2.S&P500
S&P500はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによって算出される指数で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場されている銘柄から代表的な500銘柄を選出し、加重平均のうえ指数化したものです。現在の形となったのは1957年で、長きにわたり米国のマーケットの総体を表してきました。
米国マーケットの莫大な時価総額の増減と、S&P500の動きはリンクしていると言っても良いでしょう。
2-3.NYダウ
NYダウは世界で注目され、広く知られた株価指数です。厳選された30銘柄によって構成され、米国を代表する企業の動きを表す指標とされています。米国マーケットの全体を見るための指標ではありませんが、リーディングカンパニーの動きを確認しておくことは、全体のトレンドを把握するためにも重要なポイントです。
NYダウは、時代の流れに合わせて定期的に銘柄の入れ替えが行われており、常に現状を反映した銘柄で構成されています。
2-4.NASDAQ
NASDAQは、全米証券業協会が運営している米国にある2つの株式市場の一つで、IT、テクノロジー関連の株が多く、基本的には新興企業向けの株式市場です。新興企業向けとはいえ、グーグルやApple、フェイスブック、マイクロソフトやネットフリックスも上場しており、ダウ平均株価と並んで注目度の高い市場です。日本企業の日産や任天堂、マキタなども上場しています。
日本にもマザーズやジャスダックなど、新興企業向けの市場が用意されていますが、時価総額の違いから見ても、NASDAQのほうが大きな関心を集めていることがわかります。
3.インデックスファンドの歴史
インデックスファンドは最近になって、日本でも投資先として注目されるようになりましたが、元々は米国が発祥の地です。インデックスファンドの歴史を振り返って確認しておきましょう。
3-1.年金の運用先としてスタート
インデックスファンドは、アクティブ運用のみの場合、相場の下落局面で思いのほかマイナスが大きくなる傾向が見られたため、分散投資によるリスクの軽減を狙ってスタートした経緯があります。
1971年に、年金の運用先としてスタートしたインデックスファンドは、確定拠出年金の運用先として組み入れられることで認知を広げ、専門的な運用知識を持たない個人の間で急速に広まっていきました。
その後、取引時間内であればいつでも取引できるETFにもインデックス投資の考え方は受け継がれ、現在ではETFを含めた多くのファンドで運用が可能となっています。
3-2.日本では意外に歴史が浅い
日本に始めてインデックス投資が登場したのは1985年で、1986年には米国と同様に年金の運用先としてインデックス投資が採用されています。
1995年には日本でもETFがスタートしましたが、しばらくの間は米国のような広がりを見せることはありませんでした。日本では長らく株式の取引が多く、投資信託の純資産残高は1980年代の半ばから伸びていましたが、アクティブファンドを株式のように細かく売買する運用がメインとなっていました。
2000年代に入って、年金運用のリスク分散が考えられるようになり、専門知識がない個人でも運用できる運用先として認識が広まっていき、現在に至ります。
4.米国のマーケットの現状
米国のマーケットについて、今までとこれからを確認しておきましょう。
4-1.2008年リーマンショックからの回復
リーマンショックによって、米国のGDPは大きく減少しました。2007年の15兆6,260億ドルから2009年には、15兆2,088億ドルへと4,172億ドルも減少しています。
GDPの減少に伴い、しばらくの間米国株式市場も低迷を続けますが、3年後の2011年には2007年のGDPを上回りました。マーケットも2009年に底打ちし、その後は緩やかながらも右肩上がりとなっています。
リーマンショックがなければ今のGDPはもっと大きくなっているとする見解もありますが、3年でプラスに転じて成長曲線を描くことができる点に、米国の経済地盤の強さを見ることができます。
4-2.上昇トレンドを続けている
リーマンショックの落ち込みから脱却した米国のマーケットは、緩やかに右肩上がりを続けていき、トランプ大統領が就任した2017年からは、株価の上昇が加速します。いくつかの下落を経験しながらも右肩上がりのグラフを描いていましたが、2020年の新型コロナウイルス感染症によって、米国マーケットは大きく下落しました。
リーマンショック後に始まったゼロ金利政策は、2015年に利上げ政策に転換し、段階的に金利が引き上げられていましたが、コロナウイルス感染症の蔓延による経済的ダメージによって、現在はゼロ金利政策に戻っています。
このことも影響して米国マーケットは、実体経済の状況とは異なり、投資先を失った資本が流入する現象により株価は再び上昇を続けています。
5.人気の米国株インデックスファンド5本
楽天証券の取り扱いファンドより、純資産総額が多い順番に5本の米国インデックスファンドをピックアップしました(2021年11月27日時点の情報です)。
項目 | 純資産(億円) | 管理費用(年率・税込) | 基準価額 | リターン/3年 |
---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 8,392.15 | 0.0968% | 18,804円 | 23.45 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 4,342.34 | 0.162% | 19,898円 | 23.38 |
SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンド | 658.46 | 0.759% | 62,877円 | 15.6 |
iFree NEXT NASDAQ100 インデックス | 458.38 | 0.495% | 22,266円 | 36.35 |
iFree S&P500インデックス | 425.27 | 0.2475% | 20,986円 | 23.32 |
S&P500、ダウ平均、ナスダックと各指数が上位5本のファンドに入っており、米国市場への期待値が伺えます。
5つのファンドはインデックスファンドの特徴である管理費用の安さが際立っており、中には0.1%を切るファンドも見受けられました。
運用期間は3年程度のファンドが上位を占めていますが、米国市場の好調を反映して軒並み20%を超える運用成績を残しています。
まとめ
米国市場の主要な指数は、S&P500、ダウ平均、ナスダックの3つがあり、どの指数も世界の株式市場に影響を与える大きな時価総額を積み上げています。
世界の株式市場のトレンドを押さえたい場合、米国株のインデックスファンドへの投資は重要な要素です。いくつかのグローバルな一流企業へ分散投資できるメリットも大きなポイントです。
長期運用には米国株のインデックスファンドが人気の投資対象の一つですが、米国株のインデックス指数は3つあり、それぞれに異なる特徴を持っている点を抑えておかなければいけません。
米国株インデックスファンドに興味がある方は、まず純資産額が多いファンドの特徴を確認してみるなどして、検討を進めてみてはいかがでしょうか。
sayran
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