コロナで東京一極集中の流れは変わったか?グローバル・リンク・マネジメントが分析結果を発表

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投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメントは10月21日、新型コロナウイルスの感染拡大の東京の人口への影響をまとめた独自の分析を発表した。同社のシンクタンク「グローバル都市不動産研究所」の調査・研究の第6弾。外国人の人口は大幅に減少したが、転出超過は総人口に対してわずかであり、転出先も近隣3県が大半なことから「東京一極集中の流れが変わった、地方分散が始まったと言える状況にはまだない」と指摘している。

総務省の住民基本台帳人口移動報告では、都の人口は5月と7月に転出超過となり、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)でも7月に転出超過となったことで、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「東京一極集中の流れが変わった」、「地方分散が始まった」といった論調が現れ始めた。都の人口推計(2015年国勢調査人口を基準に住民基本台帳人口の増減分を加減して算出した推計値)によると、2020年5月1日に総人口が初めて1400万人を突破したが、その後減少に転じ、9月1日現在で1398万1782人(日本人1343万6351人、外国人54万5431人)となっている。7月には5903人減、8月は1万1939人減と、この2カ月の減少幅が大きい。

コロナ禍における東京都の人口推計

増加の状況を見ると、2019年は1月~8月の間に総数で7万8202人増加したが、2020年は3万146人に留まった。特に外国人の大幅な減少が影響を与えており、緊急事態宣言の発令前の3月に外国人は7411人減少、さらに感染拡大の第2波が訪れた7月、8月には毎月6~7000人規模で減少が拡大し、1月~8月の間で3万1898人も減少した。

一方で、日本人は緊急事態宣言後のステイホームを余儀なくされた5月に371人減と若干減少したが、宣言が解除された6月には4489人の増加をみせた。しかし、8月になると4465人減と大きく減少に転じた。

総務省住民基本台帳人口移動報告で都の転入・転出の状況を詳しくみると、3月には転入者数10万3039人(前年同月比6401人増)、転出者数6万2840人(同5758人増)でいずれも前年同月を大きく上回り、緊急事態宣言発出が予想される中で「前倒し移動」が起きたものと考えられる。発出後の6月は海外赴任者や留学生らが大勢帰国し、1069人の転出超過となった。しかし、7月・8月の国内他道府県への転出超過数を合わせても7036人(=2522人+4514人)であり、都の総人口の0.05%で、同研究所は「ほんのわずか」とする。

第2波が拡大した7月~8月は、20代、30代の年齢層で転出の動きが目立つ。「若年層はテレワークやモバイルワークなどへの適用力も高く、賃貸住宅などに居住する層も多いためフットワークは軽い」(同研究所)が、転出先は北海道や沖縄県などは少数で、ほとんどが近隣3県を占めていた。数値から「東京一極集中の流れが変わった、地方分散が始まったと言える状況にはまだない」と明言した。

7月~8月は、東京都で20代、30代の年齢層の転出の動きが目立つ

東京23区の詳細を分析すると、千代田区・品川区などでは、むしろ人口増加となり、新宿区、江戸川区、豊島区などは外国人の減少が大きく影響を与えていた。これについては「23区に必ずしも住む必要のない人々のなかで区部外周部から隣接県などに移転する動きがあり、東京23区に住み続けたいが長時間通勤や通勤混雑を嫌う人々のなかで都心部へ移転する動きがあった」と分析する。

コロナ禍における東京23区の転入・転出状況

明治大学名誉教授の市川宏雄所長は、分析結果について「確かに東京への人口の転入超過は止まりつつある。ただし、2月以降の東京の人口は4月~5月に大きく増加し、緩やかな減少に移行したのは6月以降。仮にこれが年間を通しての転出超過なら、今年ではなく来年の話になる」とコメント。しかし「東京からの人口移動は東京圏内で起きており、地方への転出は極めて少ない。一方、都心では人口増加している区もある。来年の夏ごろにワクチンや治療薬が用意されて感染が沈静化すると『東京一極集中の終焉』というフレーズが現実的なのか、よく考えてみる必要がある」と提起している。

また、秋以降については「今後の新型コロナの発症状況とそれに対する医療体制の充実レベルに大きく拠るが、パンデミックで都市活動の停止が余儀されなくなるといった重大局面に移行しない限り、人々はウィズコロナのなかで知恵を絞り、都市生活の維持に努めるのでは。ただし、働き方が柔軟になる、大都市以外にも住む、あるいは行く場所を確保してデュアルライフをするなどの変化が生まれることは予想される」と予想した。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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