資産運用のナティクシス・インベストメント・マネージャーズは12月5日、アジア、欧州、北米、中南米、中東の500の機関投資家(企業・公的年金基金、財団・基金、保険会社、政府系ファンドを含む)を対象に行った最新の調査結果を発表した。
調査に応じた機関投資家のうち83%が「今後5年以内に世界的な金融危機が発生する」と予想。2020年のトレンドを見るうえで、9割の回答者が過去最高水準にある公的債務を懸念材料として挙げた。 一方で投資家はボラティリティの上昇、歴史的な低金利環境の継続、他国による選挙への干渉などを「今後12カ月で注目すべき主要トレンド」として認識しており、「これらの漠然とした要因は市場に影響をもたらす」と予想、機関投資家の75%はアクティブ運用に有利と見ている。
また、機関投資家の64%がポートフォリオに何らかの形でESG(環境、社会、がバンス)を取り入れており、54%が「ESGはアルファにつながる」と回答した。
2020年の投資トレンドでは、公的債務残高の増大および経済の低成長が懸念要因に挙げられた。運用資産残高は総額で15兆ドルを上回る機関投資家たちの83%が今後5年以内に金融危機は発生すると予想し、58%が今後1~3年の間に発生すると予想していた。
機関投資家は、各国の厳しい財政状況や景気後退の可能性に加え、世界の政治局面にも強い関心を寄せる。回答者の69%は、他国による選挙への干渉は世界的な問題になりつつあると認め、64%が米国大統領選は「市場のボラティリティを高める主因になる」と見ている。
ボラティリティが上昇するとの見方は強まっており、過半数の機関投資家(52%)が、20年に為替市場のボラティリティの上昇を予想。株式市場に関しては77%、債券市場に関しては62%がボラティリティの上昇を見込んでいた。
ボラティリティの上昇や厳しい金利環境を受け、機関投資家の46%がばらつきの拡大を予想する。調査は、有価証券間の価格差が拡大したことが、機関投資家の75%が「今日の市場はアクティブ運用に有利」と回答している理由のひとつと見なしている。
投資に関しては、機関投資家の64%はポートフォリオに何らかの形でESGを採用していると回答。「ESGを採用していない」との回答が40%だった17年と比べて10%近くの増加となった。大半の機関投資家は上昇の可能性を求めて投資を行うが、機関投資家の54%がESG投資によりアルファ創出が見込まれるとしている。また、ほぼ同数の57%がESGに投資する理由に「アセットを自分たちの組織の価値観に合致させるため」としている。また、37%は「ヘッドライン・リスクを最低限に抑えるため」とした。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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