事業用不動産サービスのシービーアールイー株式会社(CBRE)は4月27日、2023年第1四半期(Q1)の全国13都市オフィスビル市場動向を発表した。同社はオフィスビルを立地や延床面積などによって「グレードA」から「オールグレード」の4つに区分しており、東京ではオールグレード空室率が対前期比-0.1ポイントの4.6%と2期連続で低下。新築ビルの多くが空室を残して竣工したものの、既存ビルでグレードアップや立地改善のための移転で空室消化が進んだ。新規需要は2020年Q2以降最も多い7.8万坪。オールグレード賃料は対前期比0.3%の下落で、空室期間が長引くビルで賃料を引き下げる動きが散見された。
大阪は、オールグレード空室率は3.6%と対前期比0.1ポイント上昇。今期竣工した一部のビルがまとまった空室を残したものの、既存ビルで空室消化が進んだため上昇幅はわずかだった。新規供給のなかったグレードAでは2期連続で空室率が低下した。オールグレード賃料は対前期比0.2%の下落。空室消化に時間がかかっているビルで賃料を引き下げる動きがみられた。
名古屋では、オールグレード空室率は対前期比-0.2ポイントの5.5%と2期連続で低下。賃料調整で割安感が出てきた高額帯のビルで空室消化が進んだことが主因。立地改善やグレードアップ、拡張のための移転で空室が消化された結果、全てのグレードで空室率が低下した。オールグレード賃料は対前期比0.2%の下落。まとまった空室を抱えるビルで賃料が引き下げられた。
地方都市(札幌・仙台・さいたま・横浜・金沢・京都・神戸・高松・広島・福岡)では、新規供給のあった都市は空室率が上昇している。オールグレード空室率は10都市中5都市で対前期比上昇、5都市で低下した。どの都市も既存オフィス面積の4%強に相当する大量供給だった。また、全国的に100坪未満のテナントの動きは活発だが、大型区画の動きは鈍い。横浜では、複数の既存ビルで減床により大型の空室が顕在化した。
一方、新規供給のなかった都市では、既存ビルの空室消化が順調に進んだ。札幌では、前期に続き、再開発に伴う立ち退き移転や拡張移転が散見された。コールセンターの新設や郊外からの移転ニーズもみられ、空室率は1%未満と三大都市を含む全都市の中で最も低い。さいたまでは、新規開設や立地改善、拡張移転の動きが活発だった。今期は大型ビルで空室消化が進み、空室率は対前期比-1.1ポイントと大きく低下した。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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