投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメントは4月26日、グローバル都市不動産研究所による第20弾のレポートを公表した。2022年の東京都と都区部に加え、東京圏内の市町村の人口動向、転入・転出動向を調査。コロナ禍が収束に向かう中、属性やエリアごとの人口増減を詳細に分析している。
22年の都人口は2年ぶりに1400万人台を回復した。前年の4万8592人減から一転、4万6732人増へ転じた。増加の主因は外国人の大幅増による。東京都と東京圏の転出・転入状況で、転入超過の主役は15~24歳の若年女性だった。子育て世代層の転出超過がやや落ち着く傾向が見られた。
東京圏内の市町村別にみた転入超過の状況は、都心30~40km圏周辺自治体の転入超過数が上位になっており、コロナ禍と首都圏マンションの価格高騰の影響が見られる。一方、都区部では20区で人口増に転じた。外国人の増加が人口総数の増加に寄与しており、日本人の増は家賃相場の低い江東区、墨田区、台東区、足立区、葛飾区が中心だった。
同研究所の市川宏雄所長は、調査の結果から「東京への人口集中がゆるやかに再加速していく予兆と考えられる」と読み取る。都ではコロナ禍で21年に26年ぶりに人口が減少となったが、翌22年の4月には再び人口増加に転じた。年間で4万7000人近くの人口増が発生した原動力は外国人の流入復活。日本人が1万6499人減少する一方で、外国人は6万3231人増と大幅に増加した。社会経済活動の正常化や出入国制限の緩和が徐々に進んだことが背景にある。
国内移動では、都は3万8023人の転入超過となり、転出超過に転じた30~40歳代の青壮年層に対し、進学や就職などの理由による15~19歳、20~24歳、25~29歳の3つの年齢階級が転入超過に寄与した。19年に9万3036人だった転入超過数が、コロナ禍で8割程度に低下。しかし22年にはコロナ禍前とほぼ同水準まで回復していた。とりわけ、女性の回復状況が高く、男性の1.6倍になった。
都と他道府県との移動状況は、都からの転出超過となったのが埼玉県(1万2458人)、神奈川県(6658人)、千葉県(5683人)の隣接3県で、他の道府県はすべて転入超過となっている。東京圏(1都3県)の転入・転出状況をみると、2022年の転入者数は9万9519人の転入超過となった。東京23区以外で人口増加となったのは、神奈川県の横浜市、藤沢市、相模原市、大和市、茅ケ崎市、海老名市、平塚市、埼玉県のさいたま市、上尾市、川越市、所沢市、千葉県の流山市、柏市、船橋市、印西市、八千代市、都下では八王子市、町田市など。
理由について、市川所長は「20~21年にかけてコロナ禍の影響と東京23区のマンション価格高騰による郊外人気で、都心から30~40km圏周辺に転入超過の多い市が増えた」ことを挙げている。東京23区では外国人の増加が人口総数の増加に寄与しているが、日本人が増加した区は、江東区、墨田区、港区、台東区、文京区、豊島区、千代田区、中央区の8区のみで、家賃相場の低い足立区、葛飾区でも人口流入が発生している。同研究所は今回の分析から「2022年の人口動態は、コロナ禍を脱して社会経済活動が安定化するとみられる今年に、東京への人口集中がゆるやかに再加速していく」と予想している。
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