オフィス賃料の下落基調は継続するも東名阪の空室率上昇ペースは鈍化、21年Q4オフィスビル市場動向

事業用不動産サービス大手のシービーアールイー株式会社(CBRE)は1月28日、2021年第4四半期(Q4)の全国13都市オフィスビル市場動向を発表した。コロナ禍による外出自粛やリモートワークの普及などで空室率の上昇や賃料の下落が続いた同年だが、Q4は東京、大阪、名古屋の空室率上昇ペースに鈍化が見られた。

東京はグレードの高いビルを中心に空室消化が進み、Q4のオールグレード空室率は対前期比+0.3ポイントの3.9%。二次空室や減床などによるまとまった空室が発生した一方、比較的大型の拡張や立地改善移転などが増加した。グレードの高いビルを中心に空室消化が進んだ。賃料はオールグレードで対前期比0.9%の下落。2023年の大型供給を前に、グレードが高いほど需要獲得のための賃料調整が進んだ。

同社は「今期は拡張や立地改善、ビルのグレードアップを目的とした比較的大型の移転が増えてきた。これらの受け皿として、相対的に競争力の高い大型ビルを中心にまとまった空室が消化された」と分析。ただし、22年のオールグレードの新規供給は過去10年の年間平均に比べ4割少ない10万坪にとどまっており、空室率は一時的に低下する可能性はあるものの、2023年には24万坪の大型供給を控えている。同社は基本的には上昇傾向が続くと予測する。

空室率はグレードが高いほど上昇幅が小さかった一方、賃料はグレードが高いほど下落幅が大きい。23年に大型供給が控えていることなどを背景に、需要獲得のための賃料調整が進んでいることが、空室率の上昇を抑えている。今後も需給の緩和とともに、賃料の下落基調は続くとみられる。

大阪は、テナントの動きはグレードBが中心。今期のオールグレード空室率は対前期比+0.1ポイントの2.9%。テナントのコスト意識は依然高く、求められる面積も中小型が多い。このためグレードBはグレードAに比べ、解約も多かったが、空室消化の動きも多かった。オールグレード賃料は対前期比0.8%の下落。2022年の大型供給を前に、テナント確保のための賃料調整が前期に比べやや加速した。

名古屋では、100坪超区画の契約が増加傾向となった。今期のオールグレード空室率は対前期比+0.8ポイントの4.6%。新築ビルが空室を抱えて竣工したことなどにより空室率が上昇。一方、100坪超区画の契約が増加傾向にあり、拡張や立地改善移転などでまとまった空室が消化された。オールグレード賃料は0.1%の下落。まとまった空室を抱えるビルを中心に募集賃料の引き下げがみられた。

地方都市(札幌・仙台・さいたま・横浜・金沢・京都・神戸・高松・広島・福岡)では、オールグレード空室率は10都市中、5都市で前期に比べて上昇、4都市で低下、1都市で横ばいだった。100坪以上のまとまった空室が発生した一方、拡張や建て替え移転などで大型の空室が消化された。賃料は10都市中、6都市で前期に比べて上昇、3都市で下落、1都市で横ばい。上昇した都市の多くは、新築ビルが平均を上回る賃料で契約したことなどが主因。

賃料が高額でも立地や設備の良いビルで契約事例が増加したのは、オフィス環境の改善を目的とした移転が多い。同社は「コロナ禍以前から人材採用を強化するためにオフィス環境の改善を考えている企業は多い。コロナ禍の収束によって経済が回復すれば、そういった動きがさらに顕在化する可能性がある」と付け加えている。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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