CBRE、第3四半期のオフィスビル市場動向を発表。東京の空室率は上昇傾向

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シービーアールイー株式会社は10月26日、2021年第3四半期(Q3)の全国13都市のオフィスビル市場動向「ジャパンオフィスマーケットビュー2021年第3四半期」を発表した。東京の空室率は上昇傾向だが、大型の引き合いがやや増加、大阪ではグレードBを中心に空室消化が進んでいる。名古屋ではオールグレード空室率は4年ぶりに3%台へ上昇、地方都市(札幌・仙台・さいたま・横浜・金沢・京都・神戸・高松・広島・福岡)では大型区画に対する需要は引き続き鈍い。

東京では、グレードAマイナスの空室率は7年ぶりに4%台へ上昇。オールグレード空室率は対前期比+0.8ポイントの3.6%だった。集約、建て替え、自社ビル売却に伴う移転により、複数の大型区画でテナントが決定した。また、拡張移転や新規開設の動きも前期に比べやや増えている。ただしそれらのほとんどは500坪未満の中小規模の区画で、新築ビルへの移転による二次空室のほか、コスト削減のための部分解約や縮小移転も引き続き多く、結果として空室率は上昇した。足元では1,000坪クラスの大型区画の引き合いがやや増えており、同社は「大口テナントによる移転の動きがより具体化し、停滞していた大型空室の消化が進み、短期的には空室率の上昇ペースは緩やかになる可能性がある」と予想する。

賃料はオールグレードで対前期比0.8%の下落。3グレードの中で、グレードAの下落幅が最も大きかった。23年の大型供給を前に、需要獲得のための賃料調整が進んだとみられる。ただし、需給は緩和傾向が続くことから、賃料は今後も下落基調が続く見通し。同社はグレードA賃料が向こう1年間で6.3%下落すると予想している。

大阪では、オールグレード空室率は対前期比+0.5ポイントの2.8%。引き続きコスト意識の高いテナントも多く、必要な面積は小型化の傾向が続いている。このため、現状ではグレードBが選好されやすく、同グレードでは既存空室の消化が順調に進んでいる。賃料も、相対的に引き合いの多いグレードBに比べ、グレードAの下落幅の方がやや大きかった。名古屋のオールグレード空室率は対前期比+1.0ポイントの3.8%で、依然としてまとまった空室の消化には時間を要している。新規供給のプレリーシングの進捗も鈍く、今後も空室率は上昇する見込み。オールグレード賃料は0.1%の下落。まとまった空室を抱えるグレードAビルを中心に募集賃料の引き下げがみられた。

札幌・仙台・さいたま・横浜・金沢・京都・神戸・高松・広島・福岡では、オールグレード空室率は10都市中、6都市で前期に比べて上昇、2都市で低下、2都市で横ばいとなった。中小規模の区画では拡張や新規開設などでテナントが決定しているが、大型区画の引き合いは鈍い状況が続く。賃料は10都市中、5都市で前期に比べて上昇、3都市で下落、2都市で横ばいだった。上昇した都市の多くは、新築ビルが平均を上回る賃料で成約したことが主因。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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