外国人個人旅行の受入再開、インバウンド需要の本格回復は?CBREが予測

※ このページには広告・PRが含まれています

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために設けられていた日本への入国制限、いわゆる「水際対策」が10月11日、大幅に緩和された。コロナ前は訪日外国人の76.6%を占めていた個人旅行の受入が解禁されたことは大きく、インバウンド需要の本格的な回復が始まる契機として期待される。事業用不動産サービス大手のシービーアールイー株式会社(CBRE)は、回復が遅れていたホテル、リテールマーケットで「円安効果とも相まって高価格帯を中心に需要喚起に繋がる」と予測している。

今年に入り、1日あたりの入国者数上限は2万人(6月)、5万人(9月)と段階的に緩和され、今月11日で撤廃。個人旅行の受け入れが再開、短期滞在のビザも免除となった。市街地や観光名所で、外国人の往来が増えている。

折から進行した円安も相まって、水際対策の緩和がインバウンド需要の回復に繋がるとの期待も大きい。ただし、これまでの入国者数の上限と実績値を比較してみると、8月時点ではこの上限には遠く届いていない状況だ。このことから、上限撤廃の効果に疑問を持つ声も聞かれる。

今回の水際対策緩和の重要なポイントは、外国人の個人旅行(Foreign Individual Travel =「FIT」)を解禁する点にある。コロナ前の19年の訪日外客のうち、FITの割合は76.6%を占めた。コロナ前は、86%がアジア太平洋地域からの訪日客だった。現在、同地域では欧州と比較すると未だ厳しい入国制限付きの国が多い。そのため、CBREは「今回の水際対策緩和措置を講じてもコロナ前の水準に即座に戻ることにはならない」と予想する。ただし「各国・地域ともにFIT割合は60%以上の高い水準で、FIT受入解禁になる潜在的な需要のボリュームは非常に大きい」と、今後の推移に注視する。

不動産市場にとっての一番の関心事は、ホテルおよびリテールマーケットへの影響。インバウンド需要の多かった都市部は、コロナ禍に見舞われて回復が遅れていたエリアである。同社は「FIT受入解禁で、回復が遅れていたエリアも需要回復に弾みがつくと考えられる。そこに円安による外国人観光客の購買力の上昇も加わることで、ホテルとリテールマーケット、ともに高価格帯での需要喚起に繋がる」と期待感を込めた。

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」