事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)が11月7日発表した2023年第3四半期(Q3)の日本投資市場動向(Japan Investment MarketView)で、事業用不動産の投資額(10億円以上が対象)は対前年同期比9%減の9450億円となった。海外投資家の投資額が同80%減少したことが主因。ただし、J-REITおよびその他の国内投資家の投資額はいずれも前年同期の2.4倍だった。
全セクター中で増加幅が最も大きかったホテルの投資額は1950億円で、前年同期の約3.5倍。ホテル投資額の75%はJ-REITによる取得で、J-REITによるホテル投資額としては四半期ベースで過去最高となった。
海外投資家もホテルに対しては意欲的で、海外投資家はホテル取得額全体の47%を占めた。今後も100億円を超える大型案件が複数控えていることから、CBREは23年通年のホテル投資額は、2019年を超える可能性が高いと見込む。投資家間の競争も激化しており、取得時の利回りは低下傾向にあるという。
東京の主要アセットタイプの期待利回りは、前期から横ばいだったオフィスと商業施設を除くセクターで過去最低値を更新。地方都市のオフィス期待利回りも主要都市の全てで最低値を更新した。投資額が最も大きかったセクターは商業施設で、対前年同期比111%増加の3210億円となった。主因は、ヨドバシHDがフォートレス・インベストメント・グループから取得したポートフォリオで、「そごう・西武」の池袋本店の土地などを含み、価格は約3000億円とみられる。
CBREが四半期毎に実施している「期待利回りに関する投資家アンケート調査」では、東京の期待利回り(平均値)は、オフィス(大手町)と商業施設(路面店、銀座中央通り)が前期から横ばい、他のセクターは低下して調査開始以来の最低値を更新した。また、地方都市のオフィス期待利回り(Figure 8)も、主要都市の全てで前期から低下し、最低値を更新した。
一方で、Q3の投資状況を示すCBRE短観指数(DI)は、オフィス(東京のAクラスビル)で、「NOI」と「期待利回り」が前期よりそれぞれ-9ポイント、-2ポイント悪化した。「NOIが前期から上昇した」と回答した投資家はゼロで、2010年7月調査以来の結果となった。一方で「減少した」と答えた投資家は全体の4割を占めた。
同社は。投資家の投資意欲を示す「投融資取組スタンス」DIは対前期比4ポイント改善の15で、過去4四半期の平均値(13)を上回ったことを挙げ「オフィスに対する投資意欲に目立つ変化は見られない」としている。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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