神奈川県相模原市が「まちのコイン」導入!コミュニティ通貨「まちのコイン」と通貨「すもー」とは?

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2023年3月、株式会社カヤックはコミュニティ通貨サービス「まちのコイン」を神奈川県相模原市で2023年5月上旬から開始すると発表しました。相模原市専用のこの通貨は「すもー」と名付けられ、市のテーマ「『住む』を楽しむまち」にちなんでいます。神奈川県ではSDGsの達成を目指し、「SDGsつながりポイント事業」を立ち上げました。この記事では「まちのコイン」と「すもー」の特徴について紹介します。

目次

  1. カヤックが提供する「まちのコイン」とは
  2. 相模原市が「まちのコイン」を導入した背景
  3. 相模原市のまちのコイン「すもー」とは
    3-1. 相模原市「相模原市「SDGsつながりポイント事業」概要
    3-2. まちのコインの特長とメリット
  4. 基盤となっている分散台帳技術とは?
  5. まとめ

①カヤックが提供する「まちのコイン」とは

「まちのコイン」は、株式会社カヤックが提供するサービスで、分散台帳技術を活用しています。ユーザーはQRコードを使ってポイントを獲得・利用できます。地域ごとのテーマに基づき、新しい体験やコミュニティ内での繋がりを通貨として楽しむことができます。このコインを導入することで、地域住民同士でのコインの交換方法のアイディア共有も期待されています。

まちのコインは、地域の内需拡大はもちろん、地域外の人々にも利用されることを目的としています。SDGsに関連する地域活動にも参加しやすくなり、地域の課題をより身近に「ジブンゴト」として感じるきっかけを提供します。

「まちのコイン」は、主に地域のお店などの「スポット」で使用されるサービスです。ユーザーが「お金では得られない経験」をすることで、お店や他のお客さんとの関係が深まり、さらなる消費を促進する効果が期待されています。発行されたコインには有効期限があり、使われないままのコインは回収されて再び地域内で再配布される循環システムとなっています。

以前、2020年1月から東京都で「東京ユアコイン」の試験運用が始まりました。神奈川県鎌倉市でも「まちのコイン」を用いた「SDGsつながりポイント事業」の試験運用が行われ、成功を収めた結果、2023年3月現在で21の地域で採用されています。

「まちのコイン」の利用には、専用アプリをAppStoreまたはGoogle Playからダウンロードし、利用したい地域を選択するだけです。

②相模原市が「まちのコイン」を導入した背景

相模原市は神奈川県内で第三位の人口を有する都市で、2007年の合併以降、横浜や東京都内へのアクセスの良さからベッドタウンとして発展しています。2022年の統計によれば、人口増加率は全国で10位前後。特に、30代や0歳~14歳の層が増加しており、これは子育て世代が住みやすいと感じているからだと考えられます。

しかしながら、地域活動のリーダー不足や、学生時代を相模原市で過ごした後の20代の若者の流出などの課題も抱えています。このような状況を踏まえ、地域の活性化や課題解決、住民同士のつながりを深めることを目的に、「SDGsつながりポイント事業」が始まりました。現在、相模原市には800以上の企業や団体がSDGsパートナーとして活動中で、これに加え、「まちのコイン」の導入を通じて、市民の積極的な参加を促す取り組みを進めています。

③相模原市のまちのコイン「すもー」とは

「まちのコイン」は、地域毎に独自のテーマや名称を持つ特徴があります。相模原市の「すもー」は、「住むを楽しむまち」というテーマから名付けられました。「すもー」の名前は、「住む」と「すもう」のダブルミーニングであり、「相模」の名と「相撲」の響きの類似性から、親しみやすい名前として選ばれました。

相模原市は都市機能と自然環境の両方を持つ魅力的な地域です。市民が各自、自分らしい「まちとの関わり方」を楽しむことを望んでいます。そして、「すもー」のシンボルとしては、伝統の「相模の大凧」がデザインされています。

引用:相模原SDGs

3-1.相模原市「SDGsつながりポイント事業」概要

開始時期 2023年5月上旬
利用地域 相模原市全域
利用方法 「まちのコイン」アプリをAppStoreまたはGoogle Playからダウンロード、 地域選択で「相模原市」を選択。ユーザーは地域活動などに参加するとポイントを獲得し、獲得したポイントは加盟店等で利用することができます。
通貨名  「すもー」
URL https://coin.machino.co/regions/sagamihara

引用:相模原SDGs

3-2.まちのコインの特長とメリット

・地域特性を活かした体験設計
まちのコインでは、各地域の特色や課題に応じて体験が設計されます。たとえば、海環境の保全が重視される地域では、「ビーチクリーンの参加」などの体験が提供されることで、ユーザーがコインを獲得したり使いたくなるきっかけを作り出しています。

・地域内外の人をつなげ、関係人口創出に寄与
地域外からの訪問者もまちのコインを利用できるため、地元のお店や活動への関与を増やし、新たな関係人口の創出に貢献します。

・ゲーム感覚でSDGsの自分ごと化を促進
ユーザーはゲームのような感覚で参加することができ、ポイントの獲得やレベルアップが楽しめます。また、「活動履歴」を通じて、自分の行動がどのSDGsに貢献しているかを確認でき、SDGsへの関心も深まります。親子での参加も容易です。

・経済活動の活性化
まちのコインは、提携する地元の店舗で利用できるため、店舗とユーザーとの関係が深まり、新たな常連客やファンを増やすことが期待されます。来店の機会が増加することで、経済的な活動も活性化します。

・環境に配慮された継続可能な仕組み
デジタル通貨としてブロックチェーン技術を採用しているため、紙を使った通貨と比べて運営コストが低く、持続可能です。法定通貨への換金ができないため、運営のための原資も不要です。定められた有効期限が切れると、コインは再循環される仕組みとなっており、継続的な運営をサポートしています。

④基盤となっている分散台帳技術とは?

ここで「まちのコイン」の基盤に使用される分散台帳技術について特徴をおさえておきましょう。この技術は、今後多くの行政機関での利用が増えることが期待されています。ブロックチェーンとも呼ばれるこの技術は、カヤックのプロジェクトでも採用されています。

・改ざん不可能の台帳
分散台帳技術は、ネットワーク上の取引情報を共通化し、全てのネットワーク参加者が共有する一つの台帳を保持します。新しい情報をこの台帳に追加する際、ネットワーク全体の合意が求められ、暗号技術を活用してその情報の正確性が確認されます。

・ノードによる台帳の共有
この技術において、一元的な中央管理者やデータサーバは存在しません。代わりに、ノードと呼ばれるコンピュータがピアツーピア(P2P)ネットワークで直接つながり、台帳の情報を共有します。ブロックチェーンは、この分散台帳技術の一例で、公開されているネットワークであれば誰もが参加することができます。

・分散型台帳技術のユースケース
分散台帳技術の特性は、様々な分野での活用が考えられます。例として、アイデンティティの管理やデータセキュリティ、IoTの安全対策、さらには電力取引や不動産の登記など、多岐にわたる社会インフラの分野での利用例が増えています。

⑤まとめ

デジタル通貨といえばブロックチェーンの印象があります。しかし、カヤックはコミュニティ通貨「まちのコイン」開発にあたり、当初検討していたブロックチェーンをあきらめ、別の分散型台帳技術の利用を決めたと言います。

コインは使えば使うほどレベルアップして追加ポイントがもらえる、などのゲーム要素を含む機能があり、ブロックチェーンと相性が良くなかったそうです。当初の目的は「人と人のつながりを地域通貨を通じて見える化する」ことで、必ずしもブロックチェーンでなくても実現できるとのことです。

新たな技術の登場により、地域通貨も進化しています。スマホアプリを通じて、人々が地域内のお店で「まちのコイン」を利用する風景が増えてきました。この通貨は、地元の住民だけでなく、観光客やビジネスで訪れる人たちにも開かれています。興味が湧いた方は、カヤックの「まちのコイン」を一度試してみてはいかがでしょうか。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。