法人向け不動産仲介大手のCBREが14日発表した2018年第4四半期(Q4)の投資市場動向(Japan Investment MarketView)で、18年の世界の事業用不動産投資額は前年比5%増の1兆380億ドル(約117兆円)を計上し、投資額としては2010年以降で最高値を更新した。米国の投資市場がけん引した。一方、18年第4四半期(Q4)の日本の投資額は3兆円で対前年比27%の減。大型取引数の減少が主因だった。期待利回りは、東京ではホテル、物流施設、商業施設、地方都市ではオフィスが、それぞれ調査開始以来の最低値を更新した。
最高値を更新した世界の投資額のうち、米国での投資額は前年比15%増加、世界全体の投資額の52%を占めた。一方、欧州・中東・アフリカ(EMEA)は対前年比横ばいの3570億ドル(約40兆円)、アジア太平洋地域(APAC)は同11%減の1250億ドル(約14兆円)を計上した。
日本における今期の事業用不動産の投資額(10億円以上が対象、J-REITのIPO時の取得物件は除く)は対前年同期比49%減、通年で同27%減。18年の取引件数は同17%減少し、なかでも300億円を超える大型取引の件数は同52%減少となった。大型取引の投資総額が全体に占める割合も22%と前年水準(41%)から大きく低下した。
同日発表されたCBREが四半期ごとに実施する「不動産投資に関するアンケート 期待利回り(2019年1月時点)」では、東京の期待利回り(NOIベース)の平均値はホテル(運営委託型)、物流施設(首都圏湾岸部)、商業施設(銀座中央通り)の3アセットタイプで低下した。低下率はそれぞれ同15bps、4bps、3bps。10期ぶりの低下となったホテルを含め、いずれも調査開始以来の最低値を更新。地方都市のオフィスの期待利回りも大阪と広島でそれぞれ4bps、5bps低下し、こちらも調査開始以来の最低値更新となった。
2019年1月時点の東京Aクラスビルを対象としたCBRE短観(DI)は、「投融資取組スタンス」DIが26と対前期比1ポイント悪化。ただし、「現状を維持」の回答率が上昇したことが主因で、「抑制する」の回答率は17年4月以降、3%を下回っている。物流施設(首都圏、マルチテナント型)においては「投融資取組スタンス」DIは28と、同4ポイント改善した。
CBREは調査結果について「物件価格は高止まり、売り主と買い主との価格目線の乖離が続く」とし、「価格が高止まりするなか、レンダーや投資家(買主)は物件に対してより選別的になっている」と分析。今後についてクオリティの高い好条件の物件が少ない上に、売主が求めるキャップレートは低い状態が続くため、成約には時間を要する状況が続く。投資先の地域については、賃料にアップサイドのある地方都市のプライム物件への関心がさらに高まる」と予測する。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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