不動産情報サービスのCBREが2月13日発表した2019年第4四半期(Q4)の投資市場動向で、同期の世界の事業用不動産投資額は対前年同期比0.5%減の3260億米ドル(約35兆円)で、通年の投資額も同2.0%減となった。地域別では、米州の通年投資額が5690億ドル(約62兆円)で前年比2.0%減、欧州・中東・アフリカ(EMEA)が3520億ドル(約38兆円)で同2.1%減、アジア太平洋地域(APAC)が1310億米ドル(約14兆円)で同1.6%減と、いずれも前年を下回った。下期で見ると、豪州、中国、韓国、日本の投資額は前年同期に比べて増加した。
日本の同期の事業用不動産の投資額(10億円以上が対象、土地取引およびJ-REITのIPO時の取得物件は除く)は対前年同期比4.7%増の1兆円で、19年通年の投資額は対前年比7.7%増の3.5兆円となった。投資額拡大は大型取引の増加が主因。同年の300億円以上の取引は、件数で対前年比25%増、投資額も同29%増加した。19年の投資主体別投資額割合としてはJ-REITが38%と最大だったが、投資額は前年からほぼ横ばい。投資額が最も増加したのは海外投資家で、対前年比88%増、一方でJ-REIT以外の国内投資家は同13%減となった
CBREが四半期ごとに実施している「不動産投資に関するアンケート 期待利回り(2019年12月時点)」では、商業施設(銀座中央通り)が対前期比5bps低下の3.30%、調査開始以来の最低値を更新した。地方都市のオフィス期待利回りは名古屋を除く5都市で前期から低下し、いずれの都市も最低値を更新した。
機関投資家による19年投資額は3110億円で前年から倍増。同社は「機関投資家の資金は債券よりも高い利回りを求めて不動産投資に向かっている。2020年以降も機関投資家の資金を中心としたファンドによる投資が続く」と予想。CBREリサーチディレクターの本田あす香氏の「19年の海外投資家による投資額は前年比88%増加で国内の投資マーケットをけん引した。イールドスプレッドが大きく、景気や政治情勢が安定している日本は、引き続きアジア太平洋地域のなかで魅力的な投資先とみられており、20年以降も機関投資家による活発な投資が行われる」というコメントを付記している。
調査はアレンジャー、レンダー(シニアを主とする)、レンダー(メザニンを主とする)、デベロッパー・不動産賃貸、アセットマネージャー(J-REIT を主とする)、アセットマネージャー(J-REIT 以外を主とする)、エクイティ投資家などを対象に2019年12月3日から12月20日にメールで実施、回収率は82.4%(社数回収率82.7%)だった。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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