円安・インフレ期に不動産投資型クラウドファンディングを始めるメリットやリスクは?

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2022年9月時点、為替相場では歴史的な円安を記録し、国内市場でもインフレが進行しつつあります。円安・インフレの対策として、投資による資産分散や収入を増やすことを検討している方も多いでしょう。

不動産投資型クラウドファンディングへの投資を始める場合、どのようなメリットやリスクがあるといえるのでしょうか。

この記事では、円安・インフレ期に円安・インフレ対策として不動産投資クラウドファンディングを始めることのメリットやリスクについて考えていきます。

目次

  1. 不動産投資型クラウドファンディングとは
  2. 円安・インフレがもたらすリスク
  3. 円安・インフレ対策と不動産投資型クラウドファンディングのメリット・デメリット
    3-1.リスクヘッジとしての不動産投資型クラウドファンディングのメリット
    3-2.円安・インフレ対策としての不動産投資型クラウドファンディングのデメリット・リスク
  4. まとめ

1.不動産投資型クラウドファンディングとは

不動産投資型クラウドファインディングとは、不動産事業者が、インターネットを利用して広く出資を集めその資金で不動産投資をおこない、投資で得た収益を分配する仕組みの投資方法です。

不動産特定共同事業法に基づき、居住用・商業用賃貸事業のみならず、売却収益を目的とした事業や福祉施設・ホテルの運営事業などの様々な不動産投資に、1万円から数万円程度の小口から投資することができます。

国土交通省の許可等を受けた専門の不動産事業者がおこなう事業であり、募集ファンドによっては高めの利回りを期待することができます。

2.円安・インフレがもたらすリスク

円安は、円の価値が他の外国通貨と比較して低くなっている状態であるため、外国からの輸入商品、原材料が値上がりします。このようなことから、一部の企業ではコスト高になり、業績が悪化する可能性があります。

インフレ局面は、モノやサービスの価格が上昇するため、相対的に貨幣の価値が下落します。つまり、同じ金額の貨幣で買うことのできるモノやサービスが少なくなり、その結果、貨幣価値が下がることになります。

このように、円安の影響によって企業の業績が悪化し、株式の価格が下がったり、あるいは給料も賞与などが減ったりする可能性もあります。また、インフレによって、現金や預金の資産価値が相対的に下がるリスクもあるといえるでしょう。

3.円安・インフレ対策と不動産投資型クラウドファンディングのメリット・デメリット

円安・インフレリスクを回避するための手段として、不動産投資型クラウドファンディングのメリット・デメリット、リスクについてみていきます。

3-1.リスクヘッジとしての不動産投資型クラウドファンディングのメリット

インフレと連動して賃料収入等の上昇が見込める

不動産投資は、不動産を活用することによって得る運用収益を主な投資収益源とします。活用形態は様々ですが、たとえば居住用として貸し出す場合、居住スペースの提供というサービスに対する対価である家賃は、インフレによって値上がりするモノやサービスの価格に連動して上昇する可能性があります。

インフレと連動して物件価格も上昇する可能性がある

また、不動産は土地や建物が存在する実物資産であることから、インフレによって不動産その物の価格が値上がりする可能性もあります。このように、インフレ局面において不動産投資をおこなうことで、現金や預金などの資産価値が目減りする一定程度のリスクを回避することができるといえるでしょう。

不動産投資は円安時のインフレに対するリスクヘッジとして一定の効果が見込め、間接的に不動産へ投資ができる不動産投資型クラウドファンディングについても、同様のメリットがあるといえます。

少額投資が出来るため分散投資がしやすい

実物の不動産を所有して行う投資方法はまとまった資金を必要とします。不動産投資ローンを活用することでレバレッジ効果を得ることができますが、一つのアセットクラス(資産の種類)に資金を集中させてしまうため、準備できる投資資金の状況によってはリスクコントロールが難しい側面もあります。

このように、不動産投資は投資比率をコントロールすることが難しい点がデメリットと言えますが、不動産投資型クラウドファンディングは1口1万円~10万円などの少額資金で投資を始めることができ、容易に資金バランスを調整することができるメリットがあります。

3-2.円安・インフレ対策としての不動産投資型クラウドファンディングのデメリット・リスク

ファンドの運用次第で元本棄損が起きる可能性がある

不動産投資型クラウドファンディングは、実際の不動産へ間接的に投資することになるため、それぞれのファンドごとに元本棄損が起きるリスクがあります。つまり、円安・インフレ対策として一定の効果を上げていても、ファンド自体の運用が大きく下振れしてしまうと、元本を回収できない可能性があるということになります。

不動産の市場価値は、立地や建物の状態などによって大きな影響を受けます。不動産に紐づく不動産投資型クラウドファンディングの運用収益も、投資対象の不動産の市場価値に影響を受けるため、立地や建物の状態によっては、想定通りの利回りを確保できないこともあるでしょう。不動産の売却収益を主たる収入源とするケースや、福祉施設・ホテルの運営事業に投資するケースでは、景気の影響などを受けやすいため比較的リスクが高く、想定通りの利回りを確保できないだけでなく、元本割れとなるリスクもあります。

災害リスク・事業者リスクなど不動産投資型クラウドファンディング特有のリスクがある

投資対象の不動産が想定外の自然災害や火災などの被害を受け、大きな損失を被るリスクもあります。災害リスクを避けるには、一つの物件に集中して投資せず、エリアを分散して投資することが重要です。

また、不動産投資が何らかの原因で失敗したといえる程度の損失が発生した場合であっても、拠出した資金の回収手続は運用事業者次第であり、出資者の意思を反映することはできません。このように、不動産投資型クラウドファンディングは、一定の拠出資金を不動産に投資しその運用を不動産業者に任せてしまうことから、その不動産投資事業に伴って発生しうるリスク(事業者リスク)があります。

円安・インフレ対策のために不動産投資型クラウドファンディングを始める際は、不動産投資型クラウドファンディングにはリスクがあり、円安・インフレによって現金・預金の価値が目減りした部分を上回る利回りを確保できない可能性もあることを念頭に置いて検討しましょう。

直接的な円安の対策にはならない

日本国内での不動産投資による円安対策の効果は、円安によって引き起こされるインフレに対する対策であるため、直接的に円安に対応したヘッジとはなりません。

直接的に円安時のヘッジを行うには、為替差益を得られるような海外の金融商品や外貨に投資することが有効です。新興国の不動産ファンドを取り扱う海外不動産投資型クラウドファンディング「TECROWD(テクラウド)」のような海外不動産へ投資できるファンドの利用も検討されてみると良いでしょう。

まとめ

インフレ局面において、不動産投資の運用収益は物価上昇と連動して上昇する可能性が高く、リスクヘッジとしての効果が期待できます。不動産自体の価格も上昇することが考えられ、売却益の観点からもインフレ対策の効果が期待できます。

不動産投資型クラウドファンディングは、このような不動産投資のメリットを間接的に享受できる反面、不動産投資に伴って発生しうるリスクが不動産投資型クラウドファンディングにおいても発生する可能性があります。

必ずしも不動産投資型クラウドファンディングの収益によって現金・預金の価値の目減り分を補填できるとは限らないので注意しましょう。また、円安局面では為替差益を得られたり、為替ヘッジ付きの海外ファンドに投資することも検討されてみると良いでしょう。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。