不動産売却で「反復継続」と見なされるケースは?判断基準や対策も

不動産を売却する際、「反復継続」の性質があるとみなされると宅建業法に違反し、検挙逮捕されるおそれがあります。「反復継続」とされず、宅建業法に違反しないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

本記事では、宅建業と業法違反、反復継続性について概説したうえで、不動産売却で反復継続とみなされるケース、その判断基準や対策について解説していきます。

目次

  1. 宅建業と反復継続性
    1-1.免許制の宅建業と業法違反
    1-2.宅建業の判断基準としての反復継続性
  2. 不動産売却で反復継続とみなされるケース
    2-1.短期間に購入や売却を繰り返す
    2-2.土地の開発・造成、区画分割売却
    2-3.転売目的で購入して売却
    2-4.自ら購入者を募って売却
  3. 不動産売却が反復継続とみなされないための対策
    3-1.広い土地は複数人に売却するのを避ける
    3-2.短期間での複数回の売却を避ける
    3-3.転売益を得るための売買、所有期間の短い売却を避ける
    3-4.売却時には、不動産会社に売却を依頼する
  4. まとめ

1.宅建業と反復継続性

1-1.免許制の宅建業と業法違反

宅地や建物の売買・賃借の代理・仲介などの宅地建物取引業は、都道府県知事に対する免許制となっています。

宅地建物取引業法(以下、業法)は、免許を受けていない者が宅地建物取引業を営むことを禁止しており、業法に違反すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に科されることがあります。(※宅地建物取引業法79条)

また、実際に業法違反で警察に検挙され、逮捕される事例も発生しています。(※参照:不動産適正取引推進機構「無免許営業について」)

宅建業の免許を持たない者が不動産を売却する行為が、業法違反に該当してしまう可能性もあり、どのような行為が業法違反に該当するのかを知っておき、不動産の売却時にはそのような行為に該当しないように対策を講じることを検討しましょう。

1-2.宅建業の判断基準としての反復継続性

業法違反になるかどうかの分かれ目は、業法の「宅地建物取引業」に該当する行為であるかどうかという点です。この点について、国土交通省は、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を示しており、それによると、5つの要素を勘案して総合的に判断するものとしています。

宅地建物取引業に該当するかを判断する5つの要素

  1. 取引の対象者
  2. 取引の目的
  3. 取引対象物件の取得経緯
  4. 取引の態様
  5. 取引の反復継続性

不動産売却では、「宅地建物取引業」に該当する行為であるかどうかの判断において、⑤取引の反復継続性が問題となることが多く、最も注意したいポイントといえます。

2.不動産売却で反復継続とみなされるケース

不動産売却で、取引の反復継続性があるとみなされるケースや、取引の目的や態様、物件の取得経緯から「宅地建物取引業」に該当する行為とみなされるケースには次のようなものがあります。

  • 短期間に購入や売却を繰り返す
  • 土地の開発・造成、区画分割売却
  • 転売目的で購入して売却
  • 自ら購入者を募って売却

以下、それぞれについて、詳しくみていきましょう。

2-1.短期間に購入や売却を繰り返す

短期間に購入や売却を繰り返している場合、取引の反復継続性があるとみなされる可能性が高まります。

具体的に、何回の取引で反復継続性があるとされるのか、という基準はありません。しかし、上述した国土交通省のガイドラインでは、「1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い」とされ、「反復継続性は、現在の状況のみならず、過去の行為並びに将来の行為の予定及びその蓋然性も含めて判断する」としています。

このことから、過去および将来の短期的な期間において、複数回以上の売買があれば反復継続性にあたることもありえるといえます。取引の目的や態様、物件の取得経緯なども加味して総合的に事業性を判断することになります。

2-2.土地の開発・造成、区画分割売却

上述した国土交通省のガイドラインでは、「1回の販売行為として行われるものであっても、区画割りして行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に該当する」と示されています。

このことから、土地を区画分割して売却する行為は、反復継続性があるとみなされるといえます。

また、土地を開発あるいは造成して売却する場合も、複数の者に対して販売することを想定して行われるものは、反復継続性があるとみなされる可能性があると言えるでしょう。

2-3.転売目的で購入して売却

「宅地建物取引業」に該当する行為であるかどうかは、反復継続性のみならず、物件の取得経緯なども考慮して判断します。

上述した国土交通省のガイドラインでは、「転売するために取得した物件の取引は事業性が高い」としています。宅建業の無免許者が競売不動産を多数落札して、転売益を得た検挙事例もあります。

このようなことから、転売目的で購入した不動産を売却した場合は、「宅地建物取引業」に該当する行為であるとみなされる可能性があります。

2-4.自ら購入者を募って売却

「宅地建物取引業」に該当する行為であるかどうかは、反復継続性のみならず、取引の態様なども考慮して判断します。

上述した国土交通省のガイドラインでは、「自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高い」としています。無免許業者が新聞広告を打って購入者の媒介をおこない、検挙された事例もあります。

このようなことから、自ら購入者を募って不動産を売却した場合は、「宅地建物取引業」に該当する行為であるとみなされる可能性があるといえるでしょう。

3.不動産売却が反復継続とみなされないための対策

ここまで説明してきた不動産の売却が反復継続とみなされ、事業性が高いとされるケースを踏まえたうえで、そのようにみなされないようにするための対策についてみていきましょう。

3-1.広い土地は複数人に売却するのを避ける

国土交通省のガイドラインでは、複数の者に対して販売する場合、反復継続性があるとみなされるとしています。

広い土地を売却する場合、区画割りをするなどして複数人に売却するのは避けましょう。山林を開発して宅地として売却するなども避けるようにしましょう。

3-2.短期間での複数回の売却を避ける

短期間に複数回の売却をおこなうのはできる限り避けるようにしましょう。ただし、業法で禁止される、事業性の高い行為は、取引目的や態様などを総合的にみて判断されます。意図せずにたまたま短期間に売却が重なってしまうようなケースであれば、問題視されない可能性もあります。

3-3.転売益を得るための売買、所有期間の短い売却を避ける

転売益を得るために不動産を購入し、売却して利益を得る行為は、事業性が高いといえます。
競売などで不動産を複数購入し、短期間で売却するような行為は、転売益目的とみなされる可能性が高いので避けるようにしましょう。

所有期間の短い売却も、転売益目的とみなされ、事業性が高いと判断される傾向があるので避けるようにしましょう。

3-4.売却時には、不動産会社に売却を依頼する

自ら購入者を募って不動産を売却する行為は、事業性が高いとみなされる可能性が高いといえます。知人などに売却する場合は問題ありませんが、不動産を売却する際、広告を打つなどして広く購入者を募集するのは避けるようにしましょう。

広く購入者を探す場合には、不動産会社に売却を依頼することを検討しましょう。

まとめ

不動産の売却が「宅地建物取引業」に該当するとみなされた場合、業法違反で検挙逮捕されるおそれもあります。「宅地建物取引業」に該当する行為とみなされるケースは、反復継続性があり、取引の目的や態様、物件の取得経緯などから事業性が高いような場合です。

短期間で複数回にわたり売却したり、広い土地を区割りして複数人に売却したりするのは避けるようにしましょう。その他、転売益を得るための売却や、購入者を広く募ることも事業性が高いと見なされるケースがあるため、注意が必要です。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。