空き地を所有していると、何も活用していない状況でも固定資産税が課税されています。維持費がかかる不動産所有を続けるのであれば、何らかの土地活用を行うことを検討している方も多いのではないでしょうか?
土地活用の選択肢の1つに土地信託と言う方法があります。土地信託では、信託銀行や信託会社へ土地を貸し出し、配当金による収益が期待できる土地活用方法です。しかし、土地信託ができるかどうかは土地のエリアや契約条件にもより、リスクもあるため、注意点を事前に確認しておくことが重要です。
この記事では、空き地の土地活用の1つである土地信託のメリットとデメリット、手順や注意点を解説します。
目次
- 土地信託とは
- 土地信託の3つのメリット
2-1.土地活用の初心者でも取り組みやすい
2-2.最終的に建物付きで土地が戻ってくる
2-3.自己資金を拠出せずに土地活用できる - 土地信託4つのデメリット
3-1.収益が保証されているわけではない
3-2.信託期間中は自由に売却できない
3-3.自分で活用するよりも収益性が低い
3-4.運用ノウハウが身につかない - 土地信託の手順
4-1.土地信託会社を探す
4-2.信託契約を締結する
4-3.信託会社が土地を運用する
4-4.配当を受け取る
4-5.信託契約の終了 - まとめ
1.土地信託とは
土地信託とは、自身が所有する土地を信託会社に委託して管理・運用してもらうことです。土地信託で収益を得る流れは以下のようになります。
- 土地の所有者(委託者)が信託会社(受託者)に土地を信託する
- 信託会社(受託者)は信託された土地を管理・運用して利益を得る
- 信託会社(受託者)は得た利益から経費と報酬を引いた利益を受益者に渡す
信託会社(受託者)は建築会社との打ち合わせや銀行からの借り入れと返済、管理会社への管理委託、諸経費の支払いなどを全て行ってくれます。
空き地を所有しているものの、どうすればいいのか分からない、知識や経験がないので自ら土地活用を行うことに不安を抱いているという人は、土地活用も選択肢の1つと言えるでしょう。
2.土地信託の3つのメリット
土地信託のメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 土地活用初心者でも取り組みやすい
- 最終的に建物付きで土地が戻ってくる
- 自己資金を拠出せずに土地活用できる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
2-1.土地活用の初心者でも取り組みやすい
空き地の土地活用の1つにアパート経営などの賃貸運用が挙げられますが、賃貸経営を始めるには周辺エリアの賃貸需要を調査したり、不動産会社と相談しながら適正な賃料設定をしたりなど、需要の期待できる地域か見極める必要があります。
土地信託では、信託会社が事業計画の立案、運営・管理を行ってくれます。土地活用の初心者の人や、忙しくて土地活用に時間を割くことができない人でも取り組みやすいのが特徴です。
また、土地活用に必要な資金は信託会社が用意するため、土地の所有者は資金を用意せずに済みます。そのため、資金面にあまり余裕がない人でも始めやすいと言えるでしょう。
2-2.最終的に建物付きで土地が戻ってくる
土地信託を利用する際は土地の所有権が信託会社に移ります。その後、信託期間の満了とともに、最終的に建物が残った状態で土地の所有権が委託者に戻ってきます。
所有権が戻った後は、経営を継続するまたは事業ごと売却することも可能です。
2-3.自己資金を拠出せずに土地活用できる
自分で土地活用を始める場合、銀行から土地活用に必要な資金を借りることになります。
一方、土地信託の場合、借り入れを行うのは信託会社(受託者)であるため、自己資金を拠出する必要がありません。自己資金をほとんど拠出できない人でも土地活用を始められるのは、土地信託のメリットと言えるでしょう。
3.土地信託の4つのデメリット
次に、土地信託のデメリットについて解説します。土地信託のデメリットとして以下の4つが挙げられます。
- 収益が保証されているわけではない
- 信託期間中は自由に売却できない
- 自分で活用するよりも収益性が低い
- 運用ノウハウが身につかない
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
3-1.収益が保証されているわけではない
土地の所有者は一定の配当金を継続的に得られるというわけではありません。土地活用で得られた利益から運用にかかった経費や信託報酬などを引いて残った分が土地の所有者の配当金となるため、運用がうまくいかなければ配当金も少なくなります。
リスクを抑えるには、信託会社の実績を確認する、信託報酬の額に見合っているかどうかを総合的に判断し、信頼できる信託会社に任せることが重要と言えるでしょう。
3-2.信託期間中は自由に売却できない
信託期間中は、土地の所有権が信託会社に移っているため、自由に売却することができません。そのため、まとまったお金が必要になったといった理由で土地を売却しようとしても、現金化することが出来なくなるデメリットがあります。
信託期間の満了を迎えて、自分に土地の所有権が戻ってからしか自由に売却できないので注意しましょう。
3-3.自分で活用するよりも収益性が低い
信託会社に任せた場合、土地活用によって得られる利益から信託会社へ支払う信託報酬が発生します。この報酬分だけ利益が圧縮されるため、自分で活用するよりも収益性が低いという点に注意が必要です。
3-4.運用ノウハウが身につかない
信託期間満了後は、建物付きの土地の所有権を取得することになります。経営の継続、売却のいずれかを選択しますが、経営を継続する場合はサポートが終わっているため、自分で運用する必要があります。
運用ノウハウを身につけながら、将来は自分で不動産投資を行いたいと考えている人にはあまり向いていないと言えるでしょう。
4.土地信託の手順
土地信託をスムーズに始めるには、土地信託の手順を事前に把握しておくことが重要です。土地信託は以下のような手順で行われます。
- 土地信託会社探す
- 信託契約を締結する
- 信託会社が土地を運用する
- 配当を受け取る
- 信託契約の終了
それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。
4-1.土地信託会社を探す
まずは土地信託を依頼する土地信託会社を探します。土地信託を手掛けている企業には信託会社や信託銀行などが挙げられます。
信託会社は銀行からお金を借りて土地活用を始めるため、信託会社の実績が少なく規模が小さい場合は借り入れによって用意できる金額に限界があり、得られる配当が小さくなる可能性があるという点に注意が必要です。
一方、信託銀行は銀行業務と信託業務の両方を手掛けているため、資金面は信託会社よりも大きいものの、反対に審査が厳しくなる可能性があります。
どの信託会社に土地活用を任せるかによって運用結果に差が生じるため、信託会社選びは時間をかけてしっかり行いましょう。
4-2.信託契約を締結する
信託会社を決めた後は、信託会社と信託契約を締結します。信託契約では、土地の所有権を信託会社に移転させて、代わりに信託受益権を受け取ります。
信託契約は短期契約ではなく、30年程度の長期契約です。その間、所有者は土地を自由に使用できなくなるため、将来的に使用する予定がないか再度確認しましょう。
4-3.信託会社が土地を運用する
信託契約を締結した信託会社は、借り入れを行い、それを資金にアパートや貸しビルなどを建築します。事業計画の立案、運営・管理を信託会社が行ってくれるため、土地の所有者は委託後に運営に関わることはありません。
運用が始まるまでは収入が得られないため、実際に運用を開始するのがいつなのか、配当が支払われない免責期間が設けられているのか事前に確認しておきましょう。
4-4.配当を受け取る
土地の運用を開始して収入が得られた場合、借入金の返済や各種税金の支払い、管理委託料、信託報酬などの経費を引いて残った金額が配当金として支払われます。
しかし、配当金は必ず支払われるわけではありません。経費を引いてマイナスになった場合、配当金が支払われない可能性もあります。
信託会社は双方が利益を得られるように企画立案を行いますが、必ず計画通りになるとは限らないという点に注意しましょう。
4-5.信託契約の終了
信託契約の期間満了後、土地に建物が残った状態で返還してもらうまたは期間満了ともに土地と建物を売却してもらうというどちらかになります。
土地に建物が残った状態で返還してもらう場合、借り入れが残っていればその借り入れの返済も引き継ぐことになるという点に注意が必要です。この場合、土地活用を継続したり、土地を売却してたりして返済を補うことになります。
まとめ
空き地は宅地のように固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されないため、空き地を放置してしまうのではなく、活用方法を検討することが大切です。
土地活用の選択肢の1つである土地信託は、信託会社に運用を任せられるため、土地活用の知識や経験がない人でも始めやすいメリットがあります。しかし、必ず配当金を受け取れると保証されているわけではなく、返済金が残ってしまうリスクがある点には注意が必要です。
矢野翔一
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