更地の固定資産税を土地活用で減額する方法は?5つの活用手段を紹介

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所有している土地が更地の状態であっても固定資産税は課税されるため、支出だけが発生するケースもあります。更地状態にある土地の固定資産税の金額を少しでも減らしたい方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、土地活用により更地の固定資産税を減額する方法について詳しくご紹介していきます。また、固定資産税の決まり方や固定資産税が上がるタイミングについても解説するので、参考にしてみてください。

※記事内の税金・税率などは2021年3月時点の情報となります。最新の情報については、国税庁のウェブサイトをご確認のうえ、税理士などの専門家へのご相談もご検討ください。

目次

  1. 固定資産税の決まり方
    1-1.固定資産税の金額は地価によって左右される
    1-2.課税標準額の決定方法
    1-3.住宅の建っている土地よりも更地のほうが高くなる
    1-4.都市計画税の課税で納税額が増えるケースもある
  2. 土地活用で更地の固定資産税を減らす5つの方法
    2-1.アパートやマンションを建築して賃貸経営を行う
    2-2.駐車場を作って賃貸経営を行う
    2-3.土地を分筆する
    2-4.固定資産税を非課税対象にする
    2-5.土地を売却する
  3. 固定資産税が高くなるタイミングにも注意
    3-1.特定空家に指定されている場合
    3-2.建物を解体する場合
  4. まとめ

1 固定資産税の決まり方

更地の固定資産税を減額する方法の前に、固定資産税の決まり方を確認してみましょう。

1-1.固定資産税の金額は地価によって左右される

固定資産税の金額は、「課税標準額×1.4%」の計算式で算出されます。課税標準額とは、各市区町村内の基準で対象の土地を評価したものです。

各市区町村は、土地の地価を基準に課税標準額を決めるため、土地の地価が下落するとそれに伴って課税標準額も低くなります。一方、対象土地の地価が上昇すれば、課税標準額も高くなります。

このように固定資産税の金額を算出するときに乗じる税率は決まっているため、課税標準額が固定資産税の金額に大きく影響します。

なお、土地の評価額によっては、固定資産税がかからないケースもあります。例えば、土地の評価額が30万円を下回る場合です。

土地の種類が「山林」「原野」「畑」「田」の場合、評価額が30万円を下回りやすくなるため、所有している土地に対して固定資産税が発生しない場合があります。

1-2.課税標準額の決定方法

固定資産税の算出基準となる課税標準額は、土地や家屋の評価方法をまとめた「固定資産評価基準」をもとに決められます。この固定資産評価基準をもとに対象の土地を評価した後、各市区町村長がその金額を課税標準額として決定します。

各市区町村長によって決定された課税標準額は、固定資産課税台帳に登録されることになります。固定資産課税台帳とは、固定資産税の対象不動産の所有者、所在地、評価額などを記載した帳簿のことです。固定資産課税台帳の登録内容は、市民が確認できる状況に置かれます。

通常、土地の固定資産評価額は3年に1回のペースで見直され、見直しが行われた年度の翌年度と翌々年度は、基本的に土地の固定資産評価額は据え置かれます。

しかし、地価が著しく下落した場合、土地の固定資産評価額が据え置かれる年度であっても、例外的にその評価額の修正が行われる場合もあります。

1-3.住宅の建っている土地よりも更地のほうが高くなる

土地の固定資産評価額は、その上に住宅が建っているか、または更地の状態かによってその金額が変わってきます。

住宅の敷地となっている土地は、固定資産税を算出する際、軽減措置の適用を受けられるので、住宅が建っている土地よりも更地の固定資産評価額のほうが高くなります。

住宅の敷地となっている土地の固定資産税額の軽減内容は、以下の通りです。

住宅の敷地となっている土地の内容 固定資産税の軽減割合
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 課税標準額が6分の1に軽減
一般住宅用地(200㎡超の部分) 課税標準額が3分の1に軽減

例えば、課税標準額1800万円の土地150㎡がある場合、住宅と更地で固定資産税の金額は以下のように変わってきます。

  • 住宅地の場合:1800万円×6分の1×1.4%=4万2000円
  • 更地の場合:1800万円×1.4%=25万2000円

※参照:総務省「固定資産税制度について>固定資産税の住宅用地特例

1-4.都市計画税の課税で納税額が増えるケースもある

所有している土地の所在地によっては、固定資産税の他に都市計画税が課税されて、納税額が増えるケースもあります。都市計画税とは、都市計画事業を行うための財源確保を目的として徴収される税金です。

所有している土地の所在地が、市街化区域内にある場合、都市計画税が課税されます。市街化区域とは、現在市街化の状態にある区域、または10年以内に市街化される予定のある区域です。

都市計画税の課税額は、「課税標準額×0.3%」の計算式で算出されます。税率は0.3%で固定されているため、この計算式で算出される金額より高くなることは基本的にありません。

2.土地活用で更地の固定資産税を減らす5つの方法

更地の状態にある土地を有効活用することで、固定資産税の金額を減らす方法は以下の通りです。

2-1.アパートやマンションを建築して賃貸経営を行う

更地にアパートやマンションを建築すると住宅用地による固定資産税の軽減措置が適用されるほか、賃貸経営をすることで定期的に家賃収入を得ることも可能です。

なお、戸建てを建築した場合でも住宅用地による固定資産税の軽減を受けられますが、戸建てを建築するよりもアパートやマンションなどの集合住宅を建築したほうが、より大きく軽減できる可能性があります。

小規模住宅用地の「200㎡以下の部分」の対象は、その土地にある建物1戸ごとなので、例えば、1000㎡の土地に6部屋あるアパートが建っている場合、「200㎡×6戸=1200㎡」まで小規模住宅用地の固定資産税の軽減適用を受けられます。

一方、戸建ての場合、200㎡以下の範囲内までしか、小規模住宅用地の固定資産税の適用を受けられません。このため、アパートやマンションなどの集合住宅を建築したほうが、固定資産税の税軽減が大きくできる可能性があります。

【関連記事】アパート経営の利回りの目安と必要な初期費用はいくら?

2-2.駐車場を作って賃貸経営を行う

アパートやマンション経営よりも手軽な土地活用の手段として、駐車場の賃貸が挙げられます。駐車場による賃貸経営の方法でも、やり方によっては固定資産税を減らすことが可能です。

更地を駐車場にすると同時にその一部に住宅を建築すると、同じ敷地内にある駐車場と住宅は一体の状態にあるとみなされるため、住宅用地による固定資産税の軽減適用を受けられます。住宅の敷地部分だけではなく、駐車場の部分も住宅用地による固定資産税の軽減規定が適用されることになります。

【関連記事】駐車場経営のメリット・デメリットは?始め方や手順も解説

2-3.土地を分筆する

面積の広い更地を保有している場合、分筆する方法によって固定資産税を減らすことが可能です。分筆とは、1つの土地を複数に分ける手続きを言います。

土地の評価は、接道の有無および接している道路の広さによって変わります。接道している土地のほうが接道していない土地よりも、利便性が高くなるぶん、評価も上がります。また、接道している道路は広いほうが土地評価額も高くなります。

面積の広い更地の場合、その一部が広い道路に接していて、そのぶん、評価額が高くなっているケースもあります。そこで、分筆により、面積の広い更地を2つにして、広い道路に接道していない土地を作り出すことで評価額を下げられます。その結果、更地の状態のまま、固定資産税を減らすことができます。

ただし、土地の分筆手続きは、測量や登記費用がかかる上に、隣接地所有者の協力も必要になるため注意も必要です。また、状況によっては、分筆手続きが完了するまで半年程度かかる場合もあります。

そのため、面積の広い更地の固定資産税を減らす目的で分筆する場合、手続きにかかる費用や手間も考慮しておくことが大切です。

【関連記事】相続した土地の分筆、メリット・デメリットは?必要な費用や注意点も

2-4.固定資産税を非課税対象にする

公的な土地は固定資産税が非課税となるので、この点を活かすことも可能です。例えば、広い更地にアパートやマンションを建築して賃貸経営を始める際、敷地の一部を公園にして市民が利用できるようにすると、その部分の固定資産税を非課税にできます。

2-5.土地を売却する

固定資産税は、土地などの不動産の所有者に対して課税される税金です。不動産の所有者でなくなれば、固定資産税の納税義務もなくなります。そのため、土地を売却することも固定資産税を減らす方法の一つです。

しかし、固定資産税を減らす目的で更地を売却する場合、不利な形での処分にならないようにする必要があります。売却によって利益を得られるよう、慎重に売却活動を進めることが大切です。

できるだけ高い値段で売却するため、取引価格の相場を把握しておいたり、土地の境界を明確にしたりするなどの事前準備を行いましょう。また、売却希望価格は値引き分も考慮に入れて幅を持たせておくと、取引の成立につながることがあります。

このほか、複数の不動産会社を比較して信頼できる1社を選び、売却手続きを依頼すると高い値段で処分できる可能性も高まります。複数の不動産会社へ同時に査定依頼ができる不動産一括査定サイトの利用を検討してみると良いでしょう。

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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

3.固定資産税が高くなるタイミングにも注意

土地活用をする場合、状況によっては固定資産税が高くなるケースもあるので注意が必要です。

3-1.特定空家に指定されている場合

空家状態の建物を解体し、一度更地の状態にした上で有効活用する場合もあります。しかし、空家状態の建物の影響により、その敷地の固定資産税がすでに高くなっているケースがあります。

例えば、空家状態の建物が「特定空家」に認定されると、住宅用地による固定資産税の軽減措置が適用されなくなります。「特定空家」とは、建物の倒壊の恐れや衛生上で有害となる危険性があったり、建物の影響で景観が損なわれていたりする状況の空家です。特定空家の認定は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律の規定に基づいて行われます。「空家等対策の推進に関する特別措置法」とは、国内の社会問題の1つである空家問題の解決を図る目的で、2015年に創設された法律です。

特定空家に認定された結果、固定資産税がそれまでよりも数倍の金額になるケースもあるため注意が必要です。また、特定空家に認定されると、住宅用地による固定資産税の軽減措置が適用されなくなるだけではなく、最大50万円以下の過料の対象となる可能性もあります。

【関連記事】放置した不動産が「特定空き家」に指定されたらどうなる?注意点や対策も

3-2.建物を解体する場合

空家状態の建物が特定空家に該当しない場合であっても、解体のタイミングによっては固定資産税額が高くなります。

住宅用地による固定資産税の軽減措置の適用は、毎年1月1日の時点でその土地に建物があるかどうかで決まります。そのため、例えば12月末に建物を解体した場合、基本的にその翌年度は住宅用地による固定資産税の軽減措置を受けられなくなります。

一方、解体するタイミングが1月2日以降の場合、その年度までは住宅用地による固定資産税の軽減措置が適用されます。更地にする目的で空家状態の建物を解体する場合、このようなタイミングを考えて行うことも大切です。

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土地活用には初期費用が必要であるため、固定資産税が減額できた場合でも運用がうまくいかずに元本を毀損してしまう可能性があります。HOME4Uの土地活用サービスは複数の収益モデルを比較することができるため、所有している土地にはどのような土地活用の手段が適しているかを調査する際にも便利に利用することが可能です。

まとめ

固定資産税額は一定の方法により決定され、その金額は地価に影響されます。また、住宅敷地となっている土地よりも更地のほうが固定資産評価額の金額が大きくなります。

更地の固定資産税は、アパート、マンション、駐車場などによる賃貸経営を行ったり、土地を分筆したりすることで抑えることも可能です。また、更地を売却すれば、固定資産税の納付義務そのものがなくなります。

このように更地を有効活用する際は、現在の土地の状況や今後の予定などを整理してから検討することが大切です。

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