相続した土地の分筆、メリット・デメリットは?必要な費用や注意点も

※ このページには広告・PRが含まれています

相続財産を有する被相続人が亡くなった場合、相続人が法定相続分に基づいて相続財産を相続します。

しかし、相続財産が土地の場合には、現金のように簡単に分けることができません。そこで土地をうまく分割する方法として用いられるのが分筆です。分筆では具体的にどのように土地を相続するのでしょうか?

この記事では、相続した土地の分筆方法、必要な費用と注意点について解説します。

目次

  1. 相続した不動産の分筆とは
    1-1.土地を分筆するメリット
    1-2.土地を分筆するデメリット
  2. 土地を分筆する手順
    2-1.遺産分割協議を行う
    2-2.土地の境界を定める
    2-3.分筆の登記申請を行う
  3. 土地の分筆にかかる費用
  4. 土地の分筆を行う際の注意点
  5. まとめ

1.分筆とは

相続が発生した場合には、法定相続分に基づいて被相続人の相続財産を相続人で分けます。相続財産が現金だと法定相続分通りに分けやすいですが、土地や建物といった不動産だと簡単に分けることができません。

不動産の相続方法には、相続人の1人が不動産を相続して代わりに現金を渡す代償分割や不動産を売却して現金に換えてから相続する換価分割といった方法があります。不動産が土地の場合には、分筆という相続方法を選ぶことも可能です。

分筆とは、1つの土地を登記簿上相続人の数に応じて分割する相続方法です。土地の相続で分筆を選ぶことには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

1-1.土地を分筆するメリット

土地の相続方法として分筆を選んだ場合の主なメリットは、土地を異なる用途で利用できる、相続人にあわせて持分を分割できる、という点です。

土地の登記を行う際は、どのような目的で土地を使用するか地目を決める必要があります。一筆の土地では地目を分けることができないため、田や畑と登記されている場合は住宅を建てることができません。

また、相続人の1人が住宅ローンを契約する際に、自分の持ち分に抵当権を設定したいと考えた場合、一筆の土地では全体に抵当権が設定されるので相続人同士でトラブルになる可能性があります。

しかし、分筆していれば、自分の土地に対して自由に地目の変更や抵当権を設定することが可能です。分筆することで、それぞれ異なる用途で利用できる点が分筆のメリットと言えるでしょう。

1-2.土地を分筆するデメリット

分筆にはメリットだけでなくデメリットも伴います。分筆の主なデメリットは以下の2つです。

  • 土地を使いにくくなる可能性がある
  • 建物を建てられなくなる可能性がある

土地を法定相続分に基づいて分筆すると、分筆された1つあたりの土地の大きさが小さくなるため、土地を使いにくくなる可能性があります。

また、分筆方法を誤って、接道義務といった建築条件を満たしていない場合は、土地の上に建物を建てることができなくなる可能性もあります。

そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、土地の相続方法として分筆を選択する場合は、土地家屋調査士といった専門家に相談した方が良いと言えるでしょう。

2.土地を分筆する手順

土地を相続するにあたって分筆を進める際は、登記申請を行う必要があります。登記申請を行う際の主な手順は以下の通りです。

  1. 遺産分割協議を行う
  2. 土地の境界を定める
  3. 分筆の登記申請を行う

それぞれの手順について詳しく解説します。

2-1.遺産分割協議を行う

土地の相続方法には、現物分割(分筆)、換価分割、代償分割などの様々な方法があります。これらの中から相続方法を選択しますが、相続人が複数人いる場合には自分の判断だけで決めることはできません。

分筆を行ってから「そんな話は聞いていない」とトラブルになることを未然に防ぐためにも遺産分割協議を行うことが重要です。

遺産分割協議とは、相続財産をどのような形で相続するのかを話し合うことです。遺産分割協議で決まった内容を遺産分割協議書にまとめれば、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

2-2.土地の境界を定める

土地の境界が定まっていない場合には、分筆の登記申請を行うことができません。そのため、分筆の登記を行う際は、まず土地の境界を定める必要があります。

土地の境界を定める際は、土地家屋調査士に相談または依頼して、法務局・役所での調査、役所や隣地土地所有者の立会う中で現地調査を進めていきます。

2-3.分筆の登記申請を行う

土地の境界が定まった後は、分筆案の作成に移ります。分筆方法を誤った場合、土地が使いにくくなる、建物を建てられなくなる可能性があるため、土地家屋調査士といった専門家に相談しながら分筆案を作成します。

分筆案を作成した後は、いよいよ分筆の登記申請です。分筆の登記申請には、以下のような書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 筆界確認書(境界確認書、境界の同意書、境界の協定書)
  • 地積測量図
  • 現地案内図

土地家屋調査士といった専門家に分筆登記を依頼した場合、これらの書類を全て準備してもらうことが可能です。土地の境界が既に定まっている場合は1ヶ月程度で土地の分筆が完了しますが、定まっていない場合は数ヶ月の期間を要します。

少しでも円滑に土地の分筆を進めるには、土地家屋調査士といった専門家に相談した方が良いと言えるでしょう。

3.土地の分筆にかかる費用

土地の分筆を行う場合には、ある程度の費用がかかります。例えば、土地の測量を土地家屋調査士に行ってもらうと、最低でも10万円以上の費用がかかるので事前に用意しなければなりません。

また、分筆の登記の申請には、登記申請費として最低でも5万円以上の費用がかかります。他にも登録免許税と呼ばれる登記申請を行う際にかかる税金もあります。

自分で登記申請を行うことで登記申請費を抑えることができますが、申請の漏れが原因でトラブルに発展する可能性もあるため、なるべく専門家に依頼した方が良いでしょう。

4.土地の分筆を行う際の注意点

分筆の内容が不合理分割に該当する場合は、分筆が認められない可能性があるので注意が必要です。例えば、税金の節税を目的とした意味のないまたは実体のない分筆などは不合理分割に該当します。

不整形な土地や建築基準法の接道義務が満たしていない土地も分筆が認められない可能性があります。

また、相続税の申告期限は被相続人が亡くなったことを知った翌日から「10ヶ月以内」と決まっているため、それまでに遺産分割協議と分筆を完了しなくてはなりません。

土地の相続が発生した場合には速やかに遺産分割協議に取りかかることが重要と言えるでしょう。

4-1.土地を分筆する前に査定を受けておく

相続予定の不動産を分筆する前に、不動産会社に依頼して査定を受けておきましょう。売却予定がない場合でも、土地の分筆後は土地が不整形になったり、建築基準を満たせなくなることで、資産価値が低下する恐れがあるためです。

土地の相続は現物分割(分筆)だけでなく、代償分割や、換価分割などの方法もあわせて検討することが可能です。分筆前に「本当に分筆してもよいのか?」ということを比較して考えるために、売却時の査定価格を知っておくことも検討しておきましょう。

不動産会社によって売却を得意とする物件タイプやエリアが異なっていることも少なくありません。査定依頼の段階で複数の不動産会社へアプローチが出来る「不動産一括査定サイト」を利用することも検討してみましょう。不動産一括査定サイトでは、無料で複数社の査定が同時に受けられるうえ、様々なエリアに対応している不動産へ効率的に依頼ができ、会社の対応力や特徴を比較することが可能です。

下記は主な不動産一括査定サイトの一覧です。下記のサイトは全国エリアに対応しており、積極的に悪徳業者の排除を行っている特徴を持っています。

主な不動産一括査定サイト


サイト名 運営会社 特徴
SUUMO(スーモ)不動産売却[PR] 株式会社リクルート 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。
すまいValue[PR] 不動産仲介大手6社による共同運営 査定は業界をリードする6社のみ。全国875店舗。利用者の95.5%が「安心感がある」と回答
リガイド(RE-Guide)[PR] 株式会社ウェイブダッシュ 15年目の老舗サイト。登録会社数800社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス[PR] 株式会社LIFULL 全国3100社以上の不動産会社に依頼できる。

【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

5.まとめ

土地を相続した場合、まずは現物分割(分筆)、代償分割、換価分割といった方法の中から相続方法を選びます。

しかし、選ぶと言っても、後でトラブルを生じさせないために、必ず遺産分割協議を行って全員が納得した方法で相続を行うことが重要です。

この記事に書かれている手順や注意点などをしっかり確認してから、分筆の登記を進めていきましょう。

The following two tabs change content below.

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。