不動産投資初心者の方の中には、設備の修理費用や空室などが気になり、中古物件を敬遠する方もいると思います。しかし、一方で中古は購入時点から家賃が発生するものもあったり、利回りが良かったりするなど、中古にしかない魅力もあります。
今回は中古マンションの運用がうまくいくように、マンション購入の際にチェックしておきたいポイントについて4つご紹介します。
目次
- マンション投資は立地が重要
1-1.都心か郊外かで見るポイントが異なる
1-2.駅からの徒歩時間は重要
1-3.新築より手に入りやすい好立地物件
1-4.周辺環境は必ずチェックする
1-5.ハザードマップは必ず確認する
1-6.都市型水害に注意 - 建物の管理状態は必ず確認する
2-1.小さい劣化や汚れをそのままにしていないか
2-2.修繕履歴や長期修繕計画は必ずチェックする
2-3.修繕積立金が不足することもある
2-4.不安があればインスペクションを依頼してみる
2-5.1982年以前に建築されたマンションは耐震基準をチェックする - 中古マンションの魅力は利回りが高いこと
3-1.利回りの計算の仕方
3-2.東京近隣の主なエリアの利回り
3-3.シミュレーションは実質利回りで試算する - 賃貸履歴を確認する
4-1.レントロールを確認する
4-2.家賃が相場と合っているか - まとめ
1.マンション投資は立地が重要
マンション投資をする上で、立地は運用が成功するかしないかに大きく影響する、とても大切なポイントになります。特に中古物件はエリアの選択肢も新築より多いのが特徴です。どのような点に注意して立地を選べば良いのか見てみましょう。
1-1.都心か郊外かで見るポイントが異なる
ワンルームマンションは都心に建っているか、郊外に建っているかで購入時や運用の際に注意する点が異なります。
都心に建っている場合は、中古でも価格帯の高い物件が多くなりますので、利回りが悪い傾向にあります。そのため、購入後はローンの繰上返済や借り換えなどを検討して、できるだけ収支を良くする工夫が必要です。
郊外の物件を選ぶ場合は、都心からの距離や駅の大きさが重要になります。近年、職住近接で、できるだけ企業が集まる都心近くに住みたい、という人が増えていますので、都心に近い駅が好まれる傾向にあります。
そのため、郊外でも例えば都心まで30分以内で移動できる駅で検討することが大切です。30分以内であれば比較的負担も少なく通勤できると考えられますので、賃貸ニーズが高くなる可能性があります。
また単身者が部屋を決める際には、通勤や通学に便利な場所を選ぶ傾向が強いため、広い範囲に移動しやすいように複数の路線が通っている駅を選ぶことが、そういったニーズを掴むためのポイントになるでしょう。
1-2.駅からの徒歩時間は重要
最寄り駅から徒歩何分で物件まで到着するか、ということはとても重要です。物件が古くなっても駅から近ければ賃貸ニーズは維持できるからです。
では、「駅から近い」というのは何分を指すのでしょうか?一般的には「駅から10分以内」が目安と言われていますが、都心では「駅徒歩10分以内」だけの条件では競合物件との差別化が難しいケースもあるため、可能であれば「駅徒歩7分~8分以内」の物件を視野に入れて探してみると良いでしょう。
1-3.新築より手に入りやすい好立地物件
マンションの建設においては、一般に立地が良いと言われる場所はすでに建てる場所が少なくなっているのが現状です。しかし、中古マンションなら好立地の場所でも物件を購入できる可能性が高くなります。
希望のエリアがあったり、場所を決めたりしている場合は、今は売りに出ている物件がなくても、あきらめずに売りに出るのを待つことも必要です。
1-4.周辺環境は必ずチェックする
単身者にとってコンビニやATMは徒歩圏内になければとても不便なものです。中にはスーパーを利用する人もいるでしょう。そのような生活に直結する施設が物件の周辺にあると、賃貸ニーズが高くなる上に、売却の際の査定価格も高くなる傾向があります。
新しくできたコンビニなどは地図に反映されていない可能性もありますので、できれば現地に足を運んで物件の周辺を確認できると良いでしょう。どうしても自分で行けない場合は不動産会社に最近できた施設などを確認するようにしましょう。
1-5.ハザードマップは必ず確認する
近年、毎年のように集中豪雨や地震の被害のニュースを見るようになりました。中でも土砂崩れなど郊外、地方の被害が多く取り上げられています。その他にも地震や津波などの発生も考えられますので、ハザードマップは必ず確認するようにしましょう。
1-6.都市型水害に注意
集中豪雨による被害は山などがない都市には関係がないように思えますが、東京などの都市では集中豪雨が発生すると「都市型水害」という大都市特有の大きな災害に繋がりますので注意が必要です。
都市の地面はアスファルトになっているため、水を吸収しません。そのため集中豪雨が発生すると水の逃げ場がなくなり、地下空間や地表に溢れ出ることが考えられます。その場合交通機関が麻痺したり、停電になったりする可能性があり、大きな被害が想定されています。
ハザードマップを確認する際はそのようなこともイメージして、避難場所や避難経路も確認しておくことが大切です。そのことを入居者や、将来売却する際の買主に説明できるかできないかでも印象が変わりますので、きちんと把握しておきましょう。
2.建物の管理状態は必ず確認する
中古物件の場合、目視できない部分の損傷が購入した後に見つかることがあります。また、管理の仕方や管理状態の良し悪しでも資産価値が変わります。そのため管理の仕方や管理状態は細かくチェックすることが大切です。管理状態はどのような点をチェックすれば良いか見てみましょう。
2-1.小さい劣化や汚れをそのままにしていないか
中古の場合、建築されてから数年経過している上に、人が住んでいますので、色々なところに傷がついていたり、劣化していたりする可能性が高くなります。大きな損傷であればすぐに修理や補修をすると思いますが、小さな劣化や汚れはそのままになっていることもあります。
しかし、劣化や汚れは最初のうちは小さくても、時間の経過とともに大きくなり、修復できなくなることもありますので、できるだけ小さなうちに修理などをする必要性を認識しておくことが大切です。購入後に修繕費が思った以上にかかってしまった、ということのないよう、小さな劣化や汚れなども見逃さないようにチェックしましょう。
2-2.修繕履歴や長期修繕計画は必ずチェックする
修繕履歴を確認すれば、過去に行った修繕内容が全てわかります。特に目視できない部分の損傷に気が付かずに所有することにならないように、注意して見ることが大切です。また、長期修繕計画の通りに修繕が行われているかなども確認しておきましょう。
2-3.修繕積立金が不足することもある
大規模修繕は修繕積立金で行いますので、あまり気にしないという方もいます。しかし、修繕積立金の計画や集金がうまくいかないマンションなども時折あり、その場合、修繕積立金の額が増えたり、あとでまとめて集金されたりすることもあります。
大きな出費は運用に影響しますので、修繕積立金が計画通りに積み立てられているか、あるいはその金額で不足しないかを、修繕履歴と長期修繕計画を見てきちんと確認するようにしましょう。
2-4.不安があればインスペクションを依頼してみる
購入前にどうしても物件の瑕疵状態(欠陥が無いかどうか)が気になる場合は、インスペクション(住宅診断)を依頼することも検討しましょう。費用は発生しますが、自分で見るだけでは気付けなかった瑕疵も発見できる可能性があります。
ちなみに、2018年4月1日から不動産売買の契約提携時にインスペクションをしたかどうかを確認する義務を盛り込んだ改正法が施行されました。そのため、買主は契約時にインスペクションが行われているかどうかを確認でき、行われていない場合はその時点で依頼することも可能です。どうしても不安が消えない場合はインスペクションを行いましょう。
2-5.1982年以前に建築されたマンションは耐震基準をチェックする
1981年6月に新耐震基準を定めた改正建築基準法が施行されました。新耐震基準はそれまでの耐震基準を大幅に改善したものになっていて、それ以前に建築確認を受けた建物は新しい基準での耐震補強工事が必要になります。
この法律は1981年6月以降に建築確認を受けている物件が対象になりますので、マンションの場合、それから6ヵ月~1年後に完成することを考慮しなければいけません。そのため1982年築や1983年築以降の物件が実質、新耐震基準施行後のマンションと考えられますので、1982年以前に建てられている物件に関しては細かく確認する必要があります。
3.中古マンションの魅力は利回りが高いこと
中古マンション投資のメリットは、新築マンションに比べて利回りが高いことです。新築のマンション投資では利回り4%や5%というケースが多くなりますが、中古の場合は8%や10%以上利回りがある物件も珍しくありません。利回りを見る際はどのような点に注意すれば良いか確認しましょう。
3-1.利回りの計算の仕方
利回りは物件価格に対する家賃収入の割合のことで、以下の計算式で試算します。
利回り=年間の家賃収入÷物件価格×100
例えば年間の家賃収入が120万円あり、物件価格が2,000万円だった場合の利回りは以下のようになります。
120÷2,000×100=6
この場合、利回りは6%になります。
3-2.東京近隣の主なエリアの利回り
収益物件の利回り(表面利回り)が一般的にどれくらいあるかを見てみましょう。以下の表は東京近隣の区分マンションの平均利回りを示したものです。
エリア | 平均利回り |
---|---|
千葉主要都市 | 10.55% |
埼玉主要都市 | 8.48% |
東京市部 | 8.28% |
横浜市 | 7.95% |
川崎市 | 7.14% |
東京23区 | 5.77% |
*健美家「利回りの推移」をもとに、2019年4月~6月の平均利回りを抜粋し筆者にて作成
この表から千葉主要都市や埼玉主要都市、東京市部の利回りが高いことが確認できます。不動産投資では物件個別に条件が異なるため、必ずしもこのような利回りになるとは限りません。しかし、検討中の物件が高いかどうかを判断する大まかな目安にはなりますので、購入する際は参考にすると良いでしょう。
3-3.シミュレーションは実質利回りで試算する
中古マンションを購入しようとする際の価格目安は、以上のような平均利回りが参考になりますが、この利回りは表面利回りと言って、管理費や経費などの支出が含まれていません。
家賃収入から経費を引くと、毎月の手残り額は少なくなりますので、表面利回りだけでは正確な収支シミュレーションは作成できません。実際にシミュレーションを作成する場合は、管理費や諸経費、固定資産税などの支出を含めて作成し、実質利回りを求めて判断するようにしましょう。
4.賃貸履歴を確認する
中古マンションの場合はすでに入居者が住んでいた履歴がありますので、どのような人が住んでいて、入居者の属性にどのような傾向があるかなどを知ることができます。そういった情報の把握は今後運用していく上で必要なことですので、どのように賃貸情報を確認すれば良いかを見てみましょう。
4-1.レントロールを確認する
レントロールとは入居者の情報や家賃が記載されている書類のことです。過去の入居履歴なども記載されていますので、入居者の属性に偏りがあるかなどを確認することができます。家賃や滞納履歴も記載されていますので、トラブル防止のためにも確認しておくようにしましょう。
4-2.家賃が相場と合っているか
現在の入居者の家賃が近隣の家賃相場と比較して高く感じる場合は、高い時期に入居して家賃がそのまま据え置きになっている可能性があります。その場合、次の募集の際に家賃を下げなければ入居者が付かないことも考えられます。そういったこともイメージして確認することが大切です。
まとめ
中古マンション投資をする際に、マンション購入時点でチェックしておくことについてご紹介しました。
中古物件というと、入居率の面や修繕の面で多少の不安があるかと思います。しかし、実際には中古でも入居率が高く、経費もあまりかけなくても効率よく運用できる物件はあります。
そうした物件を選べるよう、中古物件を購入するには細かい点までチェックすることが大切です。中古マンション購入の際は、今回の記事を参考にして取り組むと良いでしょう。
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西宮光夏
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