富山県で不動産投資を始めるメリット・デメリットは?人口や家賃推移を検証

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3,000m級の山々が連なる立山連峰の麓に広がる富山県は、平成の名水百選に4件が選ばれるなど、美しい自然に恵まれた地理的特徴を持っています。

不動産投資のエリアを検証するうえでは土地ごとの印象に加えて、実際のデータを検証し、過去の傾向から投資戦略を立てることが重要です。

そこで今回のコラムでは、この富山県で不動産投資を始めるには、どのようなメリットとデメリットがあるのか解説します。人口や地価、家賃の推移のほか、さまざまなデータを用いて検証していきます。

目次

  1. 富山県の不動産投資に関する基本情報
    1-1.富山県の人口推移
    1-2.富山県の地価推移
    1-3.富山県の家賃推移
  2. 富山県で不動産投資を始めるメリット
    2-1.地震の発生確率が低い
    2-2.市町村数が全国最小で富山市に絞り込める
  3. 富山県で不動産投資を始めるデメリット
    3-1.持ち家住宅率が高く、部屋の広さが広い
    3-2.ゴミに関するトラブルに注意が必要になる
  4. まとめ

1 富山県の不動産投資に関する基本情報

富山県で不動産投資を始める前に知っておきたい各種のデータを確認していきます。以下、人口と地価、家賃推移の3つのデータを見て行きましょう。

1-1 富山県の人口推移

賃貸需要を見極めるには、人口の推移を確認することです。富山県の人口がどのように推移しているのか、1998年から見ていきましょう。

集計年月日 人口総数
1998年10月1日 1,126,336人
2003年10月1日 1,116,926人
2008年10月1日 1,101,292人
2013年10月1日 1,076,158人
2018年10月1日 1,050,246人
2019年10月1日 1,042,998人
2020年10月1日 1,034,814人
2021年10月1日 1,025,409人
2022年4月1日 1,018,644人

※参照:富山県とやま統計ワールド「人口移動調査」より抜粋。

1998年当時、110万人を超えていた富山県の人口は、2021年には102.5万人になっています。さらに最新のデータである2022年4月1日時点では、102万人を割り込んでおり、長期的な人口減少の傾向にあることが分かります。

1-2 富山県の地価推移

土地価格がどのように推移しているか、不動産投資を始める前に確認しておきましょう。下記の表は、富山県が公表している地価公示の住宅地の平均価格を2018年から表したものです。

集計年月日 住宅地の平均価格
2018年1月1日 35,000円
2019年1月1日 35,200円
2020年1月1日 35,300円
2021年1月1日 35,300円
2022年1月1日 35,400円

※出典:富山県「地価公示・地価調査制度」より抜粋

2018年から2022年にかけて、住宅地の平均価格は1㎡当たり400円の上昇です。増減率は101.1倍となっています。

1-3 富山県の家賃推移

不動産投資に関する利回りや年間収入に影響する家賃相場を確認しましょう。下記の表は、総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」から、2018年時点の1カ月の家賃・間代を北陸4県について抜粋したものです。

都道府県 家賃・間代(1カ月) 1畳当たりの家賃・間代(1カ月)
東京都 81,001円 5,128円
新潟県 45,038円 2,472円
富山県 42,992円 2,350円
石川県 44,888円 2,431円
福井県 42,374円 2,224円
全国平均 55,695円 3,074円

※出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」より抜粋

北陸4県は、家賃水準の高い順に新潟県、石川県、富山県、福井県となっています。1畳当たりの家賃・間代(1カ月)も同様です。

また次の表は、下記は2008年、2013年、2018年時点での、北陸4県の「1か月当たり家賃・間代」を「土地統計調査」から抜粋したものです。

都道府県 2008年 2013年(増減数) 2018年(増減数)
新潟県 41,974円 43,635円(104.0%) 45,038円(103.2%)
富山県 42,820円 43,706円(102.1%) 42,992円(98.3%)
石川県 44,348円 43,759円(98.7%) 44,888円(102.6%)
福井県 43,126円 43,342円(100.5%) 42,374円(97.8%)

※出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」「平成25年住宅・土地統計調査」「平成20年住宅・土地統計調査」より抜粋

家賃相場の増減について確認してみると、富山県の家賃水準は、2008年から2013年にかけては上昇したもの、2013年から2018年にかけては下落しています。2008年から2018年の家賃の上昇率は1.004倍です。

2 富山県で不動産投資を始めるメリット

富山県で不動産投資を始める際のメリットにはどのようなものがあるのか解説していきます。

2-1 地震の発生確率が低い

地震調査研究推進本部事務局(文部科学省研究開発局地震・防災研究課)が発表している「全国地震動予測地図2020年版」によると、30年以内に富山市で震度6弱以上の地震が起きる確率は5.2%となっています。

観測地点 確率
札幌市(中央区北三条) 0.2%
仙台市(青葉区国分町) 7.6%
新潟市(中央区学校町通) 15.2%
富山市(桜木町) 5.2%
金沢市(広坂) 6.6%
福井市(大手) 14.5%
東京新宿区(都庁) 47.2%
横浜市(中区桜木町) 38.1%
千葉市(中央区千葉港) 62.3%
名古屋市(中区三の丸) 45.8%
京都市(中京区上本能寺前町) 14.8%
大阪市(北区中之島) 30.1%
神戸市(中央区加納町) 46.4%
広島市(中区国泰寺町) 24.2%
松山市(三番町) 45.7%
福岡市(中央区天神) 6.2%

※出典:地震調査研究推進本部事務局(文部科学省研究開発局地震・防災研究課)「全国地震動予測地図2020年版」より抜粋

北陸4県のうち最も低いのが富山市の5.2%です。不動産投資には自然災害リスクがありますが、富山県の場合、そのうち地震による自然災害リスクが発生する確率は低いことが分かります。

ただし、上記はあくまでも過去の傾向であり、必ずしも未来を保証するわけではありません。また、富山県内には砺波平野断層帯などがあり、直下型地震が来ることにも気をつけておきましょう。

2-2 市町村数が全国最小で富山市に絞り込める

富山県は10市4町1村の15市町村で構成されています。この15という市町村の数は、全国の都道府県の中で最も少ない自治体数になります。

なお、富山県の人口約100万人に対し、県庁所在地である富山市には約40万人が住んでいます。つまり、富山県で不動産投資を始める場合、人口が集中している富山市が候補に挙がりやすいと言えるでしょう。

下記は、富山県の市町村人口の上位5自治体です。

市町村名 人口総数 世帯数
富山市 409,381人 173,048世帯
高岡市 163,829人 65,849世帯
射水市 89,809人 34,050世帯
砺波市 47,487人 17,239世帯
南砺市 46,568人 16,675世帯

※出典:富山県「富山県の人口と世帯(推計)」より抜粋

富山市以外で不動産投資を始める場合、高岡市は65,849世帯、射水市は34,050世帯、砺波市は17,239世帯、南砺市は16,675世帯となっており、それぞれに賃貸需要がどこまであるのか、家賃推移などから賃貸用不動産の供給状況を確認し、丁寧に調べる必要があります。

3 富山県で不動産投資を始めるデメリット

不動産投資を始める際には、デメリットやリスク、注意点についても確認してください。今回は、富山県におけるデメリットを2つ紹介します。

3-1 持ち家住宅率が高く、部屋の広さが広い

総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」によると、富山県の持ち家住宅率は76.8%で、秋田県の77.3%に次いで全国で2番目の高さになっています。全体傾向としては、賃貸住宅に対する需要は少ないことが推測されます。

また、「専用住宅」における「1住宅当たり延べ面積」や「1人当たり居住室の畳数」などの数値が高く、広い部屋に住み慣れていることが推測できます。

都道府県 1住宅当たり居住室数 1住宅当たり居住室の畳数 1住宅当たり延べ面積 1人当たり居住室の畳数
富山県 6.00室(1位) 45.86畳(1位) 143.57㎡(1位) 17.42畳(2位)
全国平均 4.40室 32.74畳 92.06㎡ 14.06畳

※出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」より抜粋

そのため、富山県で不動産投資を始める際には、部屋が狭いと入居者を確保するのが難しい可能性があります。この点は他の都道府県で不動産投資を行うよりもデメリットとなります。

3-2 ゴミに関するトラブルに注意が必要になる

富山県生活環境文化部環境政策課が公表している「富山県の廃棄物【令和2年度版】」によると、2018年度の富山県民1人1日当たりのゴミ排出量は1,045gとなっており、全国平均の918gよりも多くなっています。都道府県別の順位では全国47位、つまり一人が排出するゴミの量は全国の中で富山県民が最も多いということなのです。

下記の表は、1人1日当たりのゴミ排出量の推移を富山県と全国平均で比較したものです。

年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
富山県 1,024g 1,017g 1,042g 1,038g 1,039g 1,044g 1,045g
全国平均 964g 958g 947g 939g 925g 920g 918g

※出典:富山県生活環境文化部環境政策課「富山県の廃棄物【令和2年度版】」より抜粋

2012年度から2018年度のゴミ排出量は、全国平均では年々減少しているのに対して、年度ごとに上下はありますが、富山県では増加しています。

富山県ではこうした状況に対応するため「とやま廃棄物プラン」を推進しているほか、県民総参加の「富山県ごみゼロ推進運動」などを実施しています。また、富山市では2023年度後半に家庭ごみの回収を有料化する動きもあります。

アパートなどの賃貸用物件では、入居者のゴミ出しが問題となり、近隣住民や管理会社との間、入居者間などでトラブルに発展することもあります。物件オーナーとして、トラブルが起きないような対策方法を求められることもあり、懸念材料となる可能性もあります。

まとめ

富山県で不動産投資を始めるメリットとデメリットを紹介しました。地震が少ないとったリスクが少ない反面、持ち家住宅率が高いなど懸念材料もあります。

これらのデータを確認しつつ、デメリットやリスクについては事前に対策を練っておくことも重要です。地域の特性を把握している不動産投資会社からのサポートを受けるなど、まずは情報収集から始められると良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。