タワーマンションを売却するときは、高層マンションだからこその注意点や不動産会社選びのコツを知ることが重要です。
低層・中層マンションとは購入者検討者のターゲットが異なることから、注意点やコツを知っているかどうかで売却価格も大きく変わる可能性があります。
そこで本記事では、タワーマンションを売却するときのタイミングや手順、注意点などを解説していきます。仲介不動産会社を選ぶコツも解説するため、タワーマンションの売却を検討している方はぜひご確認ください。
目次
- タワーマンションを売却する手順
- タワーマンションを売却するタイミング
2-1.他の部屋が売り出されていない
2-2.大規模修繕が近づいている
2-3.保有期間が5年を迎える - タワーマンションを売却するときの注意点
3-1.ブランド価値を考える
3-2.共用施設の情報をなるべく不動産会社へ伝える - タワーマンション売却時に仲介不動産会社を選ぶコツ
4-1.複数の不動産会社へ査定依頼する
4-2.販売元へは必ず査定依頼する
4-3.査定価格の根拠をきちんとヒアリングする - まとめ
1.タワーマンションを売却する手順
タワーマンションを売却する大まかな手順は以下のようになります。
- 仲介不動産会社へ査定依頼する
- 仲介を依頼する不動産会社を選定する
- 売却活動を行う
- 申込みを受け売買契約を締結する
- マンションを引き渡す
まず、仲介不動産会社に査定依頼をして、売却価格の目安を調査します。その後に仲介不動産会社を選定し、購入検討者を集客して内見や交渉を行うなどの売却活動をはじめます。
売却活動は仲介不動産会社の担当者が主導するものの、内見の日程調整は売主の協力も必要です。価格面などで購入検討者と合意できたら申込みを受けて、売買契約を締結します。その後、マンションの引渡しをおこなうという流れです。
2.タワーマンションを売却するタイミング
タワーマンションを売却するときは、以下のタイミングを意識すると良いでしょう。
- 他の部屋が売り出されていない
- 大規模修繕が近づいている
- 保有期間が5年を迎える
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1.他の部屋が売り出されていない
タワーマンションは部屋数が多いため、同時期に同じマンションの別部屋が売り出されることがあります。その状況だと競合物件が増えることになり、検討者からの値下げ交渉が激しくなる可能性があるため、売却するタイミングとしては避けた方が良いでしょう。
ただし、以下のように全く特徴が異なるのであれば、同時期に売り出しても影響が少ない可能性があります。
- 下層階と上層階(4階と40階など)
- 広さが異なる(40㎡と75㎡など)
- 向きが異なる(北向きと南向きなど)
不動産ポータルサイトなどで検索すれば売り出されている物件が調査できることがあります。売却前に一度調べてみると良いでしょう。
2-2.大規模修繕が近づいている
マンションは12年ほどの周期で大規模修繕を計画している場合が多く、タワーマンションも例外ではありません。タワーマンションは修繕箇所も多いため、低層・中層マンションに比べると、より大規模な工事になります。
また、高層階は足場が組めないためゴンドラを利用したり、移動式の足場を利用したりという対応が必要になります。また大量の資材と人材が必要になるため、建築時に策定した計画から狂ってしまう可能性もあるでしょう。
その場合は修繕積立金の増額や、修繕計画の変更なども考えられます。そのため大規模修繕が近づいているタイミングは、売却を検討して良い時期と言えるでしょう。
2-3.保有期間が5年を迎える
保有期間が5年を迎えるタイミングは、以下のようにタワーマンション売却時の税率が変わります。
不動産の所有期間 | 5年超 | 5年以下 |
---|---|---|
区分 | 長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 |
税率 | 20.315% (内訳:所得税15.315%、住民税5%) |
39.63% (内訳:所得税30.63%、住民税9%) |
(注)税率には、復興特別所得税が加算されています。
不動産の売却時に利益(譲渡所得)が発生すれば税金がかかります。譲渡所得が大きくなることが予想されるケースでは、上記のように保有期間5年を境に税率が大きく異なるため注意しましょう。
なお、保有期間はタワーマンションを売却する日ではなく、その年の1月1日時点でカウントされます。
【関連記事】自宅を売却したら確定申告が必要?やり方と計算方法を解説
3.タワーマンションを売却するときの注意点
タワーマンションを売却するときの注意点は以下の通りです。
- ブランド価値を考える
- 共用施設の情報をなるべく不動産会社へ伝える
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1.ブランド価値を考える
タワーマンションはたくさんの共用施設があったり、高層の建物で存在感があったりするため、マンションのブランド価値が高くなる傾向にあります。
ブランド価値が高いと「○○のエリアに住みたい」というエリアの需要に加えて、「△△というマンションに住みたい」という需要が生まれ、集客しやすいというメリットがあります。
このようなブランド価値の高い物件の場合、不動産会社1社にしか仲介依頼が出来ない専属専任媒介契約や専任媒介契約ではなく、複数の不動産会社に仲介を依頼できる一般媒介契約を結ぶメリットが大きい場合があります。
一社にしか仲介を依頼できない専任系媒介契約では不動産会社側が利益を見込みやすく、広告費や人件費を投下して早期売却に繋がりやすいというメリットがあります。
しかし、ブランド価値が高くある程度の集客が見込めるなら、一般媒介契約であっても買い手がすぐに見つかる可能性があります。
タワーマンションのブランド価値が高い場合、まずは一般媒介契約を締結し、売却できなかった場合は契約更新のタイミングで専任・存続専任媒介契約に切り替えるなどの工夫をしてみましょう。
3-2.共用施設の情報をなるべく不動産会社へ伝える
査定時や売却時に、共用施設の情報を不動産会社へ伝えましょう。タワーマンションは共用施設の豊富さが大きなメリットになるため、査定価格にも影響するポイントとなります。また、販売担当の営業トークに利用されることがあります。
例えばジムが利用できるタワーマンションに魅力を感じている購入検討者はどのような機器が置いてあり、利用時間やルールはどうなっているのかが気になります。
また、ライブラリーが備わっているケースでは置いてある書籍の種類や貸し出し時のルールなどが買主にとって重要な情報となり得ることがあります。
このような共用施設の細かなルールは重要事項説明書に記載していない項目もあります。このような点は、売主から不動産会社へ伝えておくことが重要です。
4.タワーマンション売却時に仲介不動産会社を選ぶコツ
タワーマンションを売却するときに仲介不動産会社を選ぶコツは以下の通りです。
- 複数の不動産会社へ査定依頼する
- 販売元へは必ず査定依頼する
- 査定価格の根拠をきちんとヒアリングする
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1.複数の不動産会社へ査定依頼する
タワーマンションを売却するときは、複数の不動産会社へ査定依頼しましょう。不動産会社によって「郊外の一戸建て売却が得意」な会社もあれば「湾岸エリアのタワーマンション売却が得意」という会社もあります。
エリアや不動産の種類によって不動産会社の得意・不得意が異なるため、相性の良い不動産会社を見つけることが重要です。複数の不動産会社へ査定依頼して、相性の良し悪しを見極めましょう。
下記、複数の不動産会社へ同時に査定依頼ができる不動産一括査定サイトの一覧です。ここでご紹介しているサイトは悪徳業者の排除を積極的に行い、全国の物件に対応している特徴があります。
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サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
4-2.販売元へ査定依頼する
仲介業務をしていないケースを除いて、販売元の不動産会社へも査定依頼をしましょう。販売元であればそのマンションの特徴を知っていることや、タワーマンションの購入を検討している顧客を複数人抱えていることがあります。
上述のようにタワーマンションは共用施設が豊富だったり、修繕計画をチェックしたりする必要があります。販売元ならパンフレットなどの資料も手元にあり、特徴も知っているため売却時に有利と言えるでしょう。
ただし、販売元の不動産会社だけでなく、並行して複数の不動産会社へ査定依頼することも検討しておきましょう。1社だけでなく複数社に査定を依頼することで、価格だけでなく査定の根拠を比較することが出来るためです。
4-3.査定価格の根拠をきちんとヒアリングする
複数の不動産会社へ査定依頼したら、査定価格を算出した根拠をきちんとヒアリングしましょう。根拠をヒアリングすることで、不動産会社の得意・不得意の傾向が見えることがあります。
例えば4社に査定依頼して1社だけ査定価格が高かった場合、その1社が同じマンションの別の部屋を売却した実績があったり、そのエリアのタワーマンションでの売却実績が豊富だったりすれば、根拠のある査定価格と言えるでしょう。
しかし、実績がないのに査定価格だけ高いと、その査定価格以下での成約になる可能性があります。査定価格はきちんとヒアリングして、自分のマンションと相性が良いかを見極めることが重要です。
まとめ
タワーマンションは低層・中層マンションと比べて、修繕工事がより大規模だったり、共用施設が多かったりという特徴があります。この特徴は売却面でも大きく影響してくるため、きちんと認識した上で売却活動に臨む必要があります。
また、購入者検討者のターゲットが異なることから、仲介を依頼する不動産会社によって売却価格も大きく変わる可能性があります。今回解説した点を踏まえて、複数の不動産会社から仲介不動産会社を選ぶことも検討してみましょう。
中村 昌弘
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