太陽光発電投資の利回りは?必要な初期費用や土地活用の注意点も

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太陽光発電投資は、地方の土地でも運用収益を期待できる土地活用法として注目されることがあります。しかし、電力の固定買取価格が下がっている中、2021年現在の太陽光発電投資の利回りの目安、初期費用はどれぐらいなのか気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、太陽光発電投資の概要を説明し、2021年現在の利回りの目安と初期費用、土地活用の視点から考えた場合の注意点について解説します。太陽光発電投資を検討されていた方はご参考下さい。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 太陽光発電投資とは
  2. 太陽光発電投資の利回りの目安
    2-1.初期費用の目安
    2-2.売電価格と売電収入
    2-3.運転維持費用の目安
    2-4.利回りの目安
  3. 土地活用として太陽光発電投資をおこなう際の注意点
    3-1.太陽光発電投資に向いている土地であるかどうかを検討する
    3-2.手元資金や収支計画に余裕をもっておこなう
    3-3.出口戦略を考える
    3-4.他の土地活用と比較検討する
  4. まとめ

1.太陽光発電投資とは

太陽光発電投資とは、太陽光発電設備を所有し、そこで発電した電力を売電することで収入を得る投資手法です。

電力は、FIT制度(固定価格買取制度)によって電力会社が一定期間定額で買い取ることが保証されています。近年、国の買い取り価格は大幅に低下していますが、国が買い取りを保証する期間経過後は国に登録された民間企業に売電することが可能です。

太陽光発電投資には、土地のオーナーが土地活用の一環として、遊休地に太陽光発電設備を設置して売電をおこない、運営する方法があります。既存の遊休地に太陽光発電設備を設置する場合は、土地の購入資金が不要であり初期費用を抑えることが可能です。

他方で、立地や土地の形状などを選ぶことができないため、造成費用がかさんだり、設置後の日照条件によっては発電量が少なくなったりする可能性があります。

これらのデメリットを抑える方法として、土地付きの太陽光発電設備を購入して投資する方法もあります。また、運用利回りを上げるには、中古の土地付き太陽光発電設備に投資する手法もあります。

2.太陽光発電投資の利回りの目安

ここでは、既存の遊休地に太陽光発電設備を設置する場合を想定し、資源エネルギー庁が公表した太陽光発電設備の平均的な初期費用、運転維持費用と、2020年度の売電価格を下に、利回りを試算してみます。

※出典:調達価格等算定委員会「令和3年度以降の調達価格等に関する意見

2-1.初期費用の目安

資源エネルギー庁所管の調達価格等算定委員会が2021年に公表した調査によると、事業用太陽光発電の設置費用は、平均25.3万円/kwとなっています。また、同調査では、2020年6月末時点のFIT導入量は、10~50kwの規模が最も多くなっています。

この平均単価とFIT導入量の規模を掛け合わせて、平均的な初期費用を算出すると、250万円~1,250万円程度であるといえるでしょう。

2-2.売電価格と売電収入

資源エネルギー庁によると、FIT制度(固定価格買取制度)による2020年度以降の太陽光発電の買取価格は、最も多い規模とされる10~50kwの発電設備では、13円+税/kwhで20年間となっています。

なお、2020年度から、10~50kwの発電設備がFIT制度の認定基準を満たすには、一つの場所で発電電力量の少なくとも30%の自家消費等をおこなうことが条件となっています。

環境省の全国都道府県所在地の年間予想発電量によると、比較的発電量の多い、甲府や静岡では、設置容量1kwあたりのシステム年間発電量は、約1,300kwhとされています。

これらの情報を下に、10kwの太陽光発電設備の年間売電価格を試算すると、次のようになります。なお、自家消費分の電気料金単価は、20円/kWhとします。

14円(税込)×10kw×1,300×70%(自家消費規制)+20円×10kw×1,300×30%(自家消費分)=205,400円

同様に、50kwの太陽光発電設備の年間売電価格を試算すると、次のようになります。

14円(税込)×50kw×1,300×70%(自家消費規制)+20円×50kw×1,300×30%(自家消費分)=1,027,000円

2-3.運転維持費用の目安

資源エネルギー庁所管の調達価格等算定委員会が2021年に公表した調査によると、最も多い規模とされる10~50kwの事業用太陽光発電設備の運転維持費用は、平均0.53万円/kwとなっています。

この平均単価から年間の平均的な運転維持費用を算出すると、5万円~25万円程度といえるでしょう。

2-4.利回りの目安

上述した、10kwの太陽光発電設備の初期費用、売電収入、運転維持費用の目安から、表面利回りを試算すると次のようになります。なお、50kwの数値を用いても、利回りは同じ数値になります。

205,400円÷2,500,000円=8.2%

運転維持費用を差し引いた実質利回りは次のようになります。

(205,400円―50,000円)÷2,500,000円=6.2%

実際に、太陽光発電投資サイトにおいて売り出されている、売電価格単価が14円の太陽光発電投資案件の想定利回りをみると、表面利回り9%程度のものが多く、試算した数値に近い結果となっています。

実質利回りが6~7%程度とすると、現金投資の場合、15~17年程度で投資元本が回収できる計算となります。ただし、実際には日照条件やFIT制度の改正、設置工事やメンテナンスの諸経費により想定利回りが大きく異なる可能性もあるため、利回りの参考値としてとらえ、投資を始める前には注意が必要です。

3.土地活用として太陽光発電投資をおこなう際の注意点

太陽光発電投資の性質や初期費用、利回りの目安を踏まえたうえで、土地活用として太陽光発電投資をおこなう際の注意点について考えていきましょう。主に、次のような点に注意するとよいでしょう。

  • 太陽光発電投資に向いている土地であるかどうかを検討する
  • 手元資金や収支計画に余裕をもっておこなう
  • 出口戦略を考える
  • 他の土地活用と比較検討する

3-1.太陽光発電投資に向いている土地であるかどうかを検討する

太陽光発電の発電量は、発電設備を設置する立地条件によっても左右されます。地域によって年間日射量には差があり、また、太陽光パネルの設置方位によっても発電量は大きく変わります。

さらに、山、ビル、樹木などの陰があると発電量は低下してしまいます。こうした発電を阻害する要因のない土地であるかどうかを確認しましょう。

また、太陽光パネルの反射光が周辺の住環境に与える影響が問題となることがあります。こうした懸念についても事前に検討しておくようにしましょう。

3-2.手元資金や収支計画に余裕をもっておこなう

上記で確認してきたように、太陽光発電設備の初期費用は高額になります。現金でまかなう場合には、支出しても生計などに影響がないように余裕資金の範囲内でおこなうようにしましょう。

また、売電収入、運転維持費用が予想通りに推移しない場合もありえます。運転維持費用には、予期しない修繕が必要になる可能性も考えておきましょう。また、ローンを利用する場合はその返済を考慮し、余裕をもった収支計画を立てるようにしましょう。

3-3.出口戦略を考える

太陽光発電投資では、FIT制度(固定価格買取制度)による電力の買取期間が20年間と決まっており、利回りも実質では6~7%程度といえることから、低リスクである反面大きな収益を得られる投資方法ではありません。

そこで、買取終了期限を見据えた出口戦略も合わせて検討してみると良いでしょう。選択肢としては、大まかに下記の3つが考えられます。

  • ある程度運用した後に買取期間を残して中古物件として売却する
  • 買取期間が終了するまで運用して売却、あるいは更地にして転用する
  • 買取期間終了後も市場価格で民間企業に買取を継続してもらう

3-4.他の土地活用と比較検討する

太陽光発電投資をおこなうのに適した土地であり、収支計画に問題がない場合であっても、他の土地活用方法と比較検討するようにしましょう。

賃貸需要のある土地であれば、アパート経営などの不動産投資の方が、長期間にわたり高利回りで土地活用できる可能性もあります。しかし、アパート経営は、太陽光発電投資と比較して初期費用も高額になりリスクも大きくなるうえ、短期的な土地の転用は難しくなります。

土地活用の目的や、余裕資金の状況、運用することによって得たい利益と許容できるリスク、などの個別事情を勘案し、他の土地活用と比較したうえで、最適な土地活用を選択することが大切です。

HOME4Uの土地活用サービス

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HOME4Uの土地活用サービスは複数の収益モデルを比較することができるため、所有している土地にはどのような土地活用の手段が適しているかを調査する際にも便利に利用することが可能です。

様々な会社の太陽光発電を含む他の活用方法による収益予測や、初期費用を比較することも可能です。どのような活用方法が適しているのか比較したい場合は利用を検討してみると良いでしょう。

まとめ

太陽光発電投資を土地活用の方法の一つとして選択する場合、まとまった初期費用が必要になります。運用利回りは、表面で9%程度、実質で6~7%程度が目安となります。

低リスクな運用が可能な反面、電力の買取期間中の利益は他の投資と比較してそれほど大きくないため、買取期間終了を見据えた出口戦略も検討してみると良いでしょう。

また、土地活用は所有する土地の特徴によって適した活用手段が大きく異なります。土地の状況や活用の目的などを前提に、他の土地活用法と比較検討し、最適な土地活用法を選ぶようにしましょう。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。