中古マンション投資の修繕積立金の仕組みは?目安や注意点も

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区分マンションの1室を購入して運用する中古マンション投資を検討している人の中には、毎月発生する修繕積立金という費用について知りたい人も多いと思います。

費用が大きければ収支に影響を与えるため、どのような費用なのか、どのくらいかかるかを事前に把握しておくことが大切です。

この記事では、中古マンション投資を始める際に発生する修繕積立金とは何なのか、目安と注意点なども解説します。

目次

  1. 区分マンションを所有すると発生する「管理費」と「修繕積立金」
    1-1.管理費
    1-2.修繕積立金
  2. 中古マンションの修繕積立金の目安
  3. 中古区分マンションの修繕積立金の注意点
    3-1.修繕積立金の設定が低い中古区分マンションには注意が必要
    3-2.専有部分の修繕費とは別
    3-3.修繕積立金は売却時に返還されない
    3-4.空室時でも負担しなくてはならない
  4. まとめ

1.区分マンションを所有すると発生する「管理費」と「修繕積立金」

マンション投資やアパート投資などの不動産投資では、固定資産税や都市計画税、修繕費、水道光熱費などの支出が発生します。収入から支出を引いて残った分が不動産所得となるため、どのような支出が発生するのか把握しておくことが大切です。

特に、中古区分マンション投資で発生する特別な支出として、以下の2つが挙げられます。

  • 管理費
  • 修繕積立金

それぞれの支出について詳しく説明していきます。

1-1.管理費

管理費とは、マンションの日常的な維持・管理にかかる費用のことです。毎月マンションの所有者から徴収します。例えば、以下のような費用は管理費から拠出します。

  • 水道光熱費
  • 日常清掃費
  • 管理会社に支払う管理委託費
  • メンテナンス費用

水道光熱費は共用部分(廊下や階段、エントランスホールなど)の電気や植栽への散水など、メンテナンス費用はエレベータの定期点検、消防設備の法定点検などで生じます。

1-2.修繕積立金

修繕積立金とは、12~15年周期で実施される大規模修繕に備えるための費用のことです。管理費と同様、毎月マンションの所有者から徴収します。例えば、以下のような費用は修繕積立金から拠出します。

  • 外壁・鉄部塗装や防水塗装
  • 受水槽やポンプ、給排水設備の交換
  • サッシ・玄関ドアの交換
  • シーリング工事・タイル補修

12~15年周期である理由は、設備の耐用年数が重なりやすく工事をまとめた方がコストを抑えられるためです。

なお、大規模修繕にかかるコストが毎回同じの「均等積立方式」と、段階的に増加していく「段階増額積立方式」の2種類があります。段階増額積立方式では、回を追うごとに必要な修繕費用が多くなっていくため、どちらの方式で積み立てているのか確認しておきましょう。

2.中古マンションの修繕積立金の目安

修繕積立金の目安となる金額について、国土交通省がガイドラインに示しています。機械式駐車場を除く地上階数、延床面積別修繕積立金額の目安は以下の通りです。

専有面積が増加するにつれて1㎡単価が安くなる傾向にありますが、一方で20階を超えるタワーマンションでは建物の仕様が特殊であり設備も個別生産のものが多く、汎用品で対応できないという背景があり、修繕積立金が割高になっています。

3.中古区分マンションの修繕積立金の注意点

修繕積立金の理解を深める上で、以下の4つの注意点を押さえておくことも大切です。

  • 低ければいいというものではない
  • 専有部分の修繕費とは別
  • 修繕積立金は売却時に返還されない
  • 空室時でも負担しなくてはならない

それぞれの注意点を詳しく解説していきます。

3-1.修繕積立金の設定が低い中古区分マンションには注意が必要

「修繕積立金の設定が低い中古区分マンションだと少しは支出を抑えられるのでは?」と考えた人も多いと思います。

しかし、修繕積立金の設定が低ければいいわけではありません。その理由は、修繕積立金の設定が適正でなければ、資金不足が原因で適切な修繕工事が実施されないためです。

購入後のトラブルを回避するためにも、修繕積立金の設定が適切かどうか、購入前に順調に修繕費用が積み立てられている物件かどうか確認しておきましょう。

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3-2.専有部分の修繕費とは別

「修繕積立金=マンション全体の修繕費用」ではありません。修繕積立金を拠出して行われる修繕は共用部分に限られており、専有部分(部屋)は修繕の対象外である点に注意が必要です。

そのため、室内の劣化や設備の故障などについては別に支出が生じるということを覚えておきましょう。

3-3.修繕積立金は売却時に返還されない

マンションを売却する際に、積み立てていた修繕積立金を返還してもらえると思っている人も多いと思いますが、返還してもらうことはできません。

修繕積立金は一度拠出するとマンションの管理組合(マンションの維持管理を行う組織)に帰属するためです。

3-4.空室時でも負担しなくてはならない

修繕積立金は区分マンションに居住しているかどうかにマンション所有者全員が負担する費用です。

そのため、空室で誰も住んでいない状態でも、修繕積立金を必ず支払わなくてはなりません。空室時の費用負担に耐えられるように資金計画をしっかり立てておきましょう。

4.まとめ

区分マンション投資の管理費や修繕積立金はマンションに居住しているかどうかに関係なく発生するため、空室でも毎月負担しなくてはならない点に注意が必要です。

しかし、管理費や修繕積立金の設定が低ければいいというわけではありません。適切な設定でなければ将来的に大規模修繕の実施が不可能となる可能性もあるため、中古区分マンションを購入する際は、適切な設定なのか、これまでの積み立てに問題がないかを事前に確認してから購入しましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。