アクティブファンドの平均利回りは?成績上位と人気ファンド各5本の概要も

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長期運用はインデックスファンドが良い、と一般的によく言われますが、ベンチマークの指数を上回ることを目標として運用されているアクティブファンドも、5年以上の運用成績がインデックスファンドを大きく上回っていれば、長期保有が選択肢に入ってきます。

この記事では、5年間の運用成績が良好なアクティブファンドの平均利回りと、主なファンドの概要や現状を解説しています。アクティブファンドの運用をお考えの方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 平均利回りとトータルリターン
  2. アクティブファンドの平均利回り上位5本
  3. 各ファンドの概要と状況
    3-1.企業価値成長小型株ファンド
    3-2.グローバルAIファンド
    3-3.netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)
    3-4.三菱UFJ NASDAQオープンBコース(為替ヘッジなし)
    3-5.アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)
  4. アクティブファンドの長期運用を考える
    4-1.信託報酬の高さ
    4-2.運用成績と信託報酬のバランス
    4-3.市場のトレンドを見る[PR]
  5. 混同しやすい利回りと各指標・数値の違い
    5-1.利率
    5-2.パフォーマンス
    5-3.騰落率
  6. まとめ

1.平均利回りとトータルリターン

投資信託の平均利回りは、数年間運用を行って、どの程度の損益がでているのかを見るための指標です。基本的に利回りは年率で計算されますが、平均利回りは数年間の利回りを平均化したものです。

多くの証券会社では、平均利回りをトータルリターンとして扱っています。当記事内での平均利回り、利回り、トータルリターンの語句は広義で同じとしています。

2.アクティブファンドの平均利回り上位5本

楽天証券が扱う投資信託のアクティブファンドの中から、5年間の平均利回り(トータルリターン)が良いファンドを5本ピックアップしました。数値は、2022年2月1日時点の情報です。

項目 リターン/5年 純資産
(億円)
管理費用 基準価額
企業価値成長小型株ファンド 23.04% 300.28 1.60% 14,558円
グローバルAIファンド 22.01% 3,489.64 1.93% 31,335円
netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし) 20.54% 7,040.42 2.09% 23,007円
三菱UFJ NASDAQオープンBコース 19.81% 285.49 1.67% 14,558円
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし) 19.63% 5,261.2 1.73% 43,463円

5年間のトータルリターンが良好な5本のアクティブファンドの数値は23.04%~19.63%となっていました。近年の株式市場の好調さをうけて5年の期間でも好成績を残しています。

楽天証券が扱うインデックスファンドでは、5年間のトータルリターンが最高で14%台であることを考えると、アクティブファンドのほうが良い運用成績を残していることになります。

アクティブファンドは管理費用が割高となっていますので、運用成績とのバランスを考慮した上でファンドを選ぶ必要があります。

3.各ファンドの概要と状況

以下、5年間のトータルリターンが良好なファンドを5本ピックアップし、概要と状況を解説します。

3-1.企業価値成長小型株ファンド

設定日 2016.02.29
決算日 毎年2月と8月の20日
申込単位 1.スポット購入:100円以上1円単位
2.積立:100円以上1円単位
管理費用 1.595%
決算日 分配金
2021年08月20日 0円
2021年02月22日 0円
2020年08月20日 2,350円
2020年02月20日 1,150円
2019年08月20日 700円

2016年の運用開始から今年で6年目入るファンドです。ジャスダックやマザーズなどの新興市場で成長が見込まれるグロース株へ投資しています。特に2020年1月からの伸び率が良く、2021年の11月まで好調を持続していましたが、急に下落に転じました。

5年間のグラフで見ると、直近の急激な伸びのために5年間のトータルリターンが良好な数値となっていることがわかります。

2020年の8月に2,350円の高い分配金をだしましたが、直近2回の決算では0円です。

3-2.グローバルAIファンド

設定日 2016.09.09
決算日 毎年9月25日
申込単位 1.スポット購入:100円以上1円単位
2.積立:100円以上1円単位
管理費用 1.925%
決算日 分配金
2021年09月27日 350円
2020年09月25日 200円
2019年09月25日 0円
2018年09月25日 150円
2017年09月25日 100円

グローバルAIファンドも今年で6年目を迎えるファンドです。主に、AIの進化、応用によって高い成長が期待される企業や、関連するソフトウェア、アプリ開発を行う企業を投資対象としています。

2020年の3月から上昇トレンドに入り、2021年の11月半ばから下降トレンドに転じました。5年間のグラフを見ると、現在の下降トレンドはファンドの運用期間の中でも大きな波となっています。

月次レポートにファンドマネージャーからの細かいコメントが掲載されており、ボラティリティが高まった2021年11月からの対応と、今後の見通しについて述べられています。

3-3.netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)

設定日 1999.11.29
決算日 毎年5月と11月の30日
申込単位 1.スポット購入:100円以上1円単位
2.積立:100円以上1円単位
管理費用 2.09%
決算日 分配金
2021年11月30日 500円
2021年05月31日 500円
2020年11月30日 500円
2020年06月01日 500円
2019年12月02日 500円

1999年から運用している歴史のあるファンドです。テクノロジーの発展によって恩恵を受けるアメリカの企業へ投資するファンドで、構成銘柄を確認すると、GAFAが上位を占めており、先端技術を駆使して成長を続ける企業が続いています。

こちらのファンドも、2020年の3月より上昇トレンドに入り、2021年の11月より下降トレンドに転じています。2020年からの値動きは長い運用期間で大きな波となっています。

分配金は毎年2回の決算日に、継続して500円出し続けている点が特徴的です。

3-4.三菱UFJ NASDAQオープンBコース

設定日 1996.08.01
決算日 毎年7月31日
申込単位 1.スポット購入:100円以上1円単位
2.積立:100円以上1円単位
管理費用 1.672%
決算日 分配金
2021年08月02日 2,800円
2020年07月31日 1,500円
2019年07月31日 350円
2018年07月31日 800円
2017年07月31日 0円

1996年から運用している歴史のあるファンドです。NASDAQに上場している優れたビジネスモデル、マーケティング力をもった企業を選定し投資します。構成銘柄を確認すると、GAFAを中心とした大型株が上位を占めていました。

こちらのファンドも、2020年3月より上昇トレンドに入り、2021年の11月から下降トレンドに転じました。月次レポートによると、大きなインフレ懸念と、米国の金融引締によるものとされています。

直近の2021年8月の決算時に2,800円の大きな分配金を出しています。

3-5.アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)

設定日 2006.05.25
決算日 毎年6月と12月の15日
申込単位 1.スポット購入:100円以上1円単位
2.積立:100円以上1円単位
管理費用 1.727%
決算日 分配金
2021年12月15日 270円
2021年06月15日 230円
2020年12月15日 240円
2020年06月15日 270円
2019年12月16日 230円

2006年から運用をスタートしており、今年で運用16年目になる比較的運用期間が長いファンドです。ファンダメンタルズ分析を基本とし、バリエーション豊かな銘柄への投資を目指しています。

構成銘柄の上位をGAFAが占めているため、米国市場の影響を受けやすくなっています。長期視点で見ると、2012年ころから緩やかに運用成績が上昇し始め、2020年より、急激に上昇しています。

直近5回の決算日には、230円~270円の間で分配金を出し続けている点も特徴です。

4.アクティブファンドの長期運用を考える

インデックスファンドは長期運用に適していると言われていますが、アクティブファンドはどう活用すると良いのでしょうか。アクティブファンドと長期運用について考察します。

4-1.信託報酬の高さ

アクティブファンドはベンチマークを超える運用成績を目指し、売買を積極的に行うため信託報酬などの管理費用が割高になります。今回ピックアップした5つのファンドの管理費用は、約1.7%以上です。

信託報酬は信託財産に対して年率で計算され、100万円投資した場合の計算式は以下の通りになります。

1,000,000×1.7%=17,000

年間で1万7000円の費用がかかる計算です。

管理費用が低いインデックスファンドは、0.1%~0.09%程度なので、計算式は以下の通りです。

1,000,000×0.1%=1,000

年間およそ900円~1,000円程度の信託報酬がかかります。

10年間の運用では、アクティブファンドの管理費用が約17万円に対して、インデックスファンドは9,000円~10,000円となります。管理費用の差を運用で埋めることができれば、アクティブファンドで10年以上の運用を行う意味が出てくる計算になります。

4-2.運用成績と信託報酬のバランス

アクティブファンドで長期運用を考える場合、管理費用と運用成績のバランスを考える必要があります。管理費用が高いと、運用成績がよくても基準価額が伸び悩んでしまいます。

直近5年間のトータルリターンを見ると、管理費用込で見てもアクティブファンドのほうが良い成績を残していました。マーケットの上昇局面では、インデックスファンドよりもアクティブファンドのほうが、トレンドの恩恵を受けることが多いようです。

前述の通り10年の運用期間でみると、管理費用の差が見逃せない金額になりますので、長期運用になればなるほどインデックスファンドが基準価額が伸びやすい傾向がありますが、3年や5年では、トレンド次第でアクティブファンドのほうが運用成績が良いことも十分考えられます。

4-3.市場のトレンドを見る

市場のトレンドを把握して、アクティブファンドとインデックスファンドを使い分ける運用がもっとも効率の良い運用方法になるでしょう。

将来のトレンドを予測するのは難しいのですが、FRBによる米国政策金利の利上げやオリンピックなど、すでに決まっているイベントをもとに、マーケットがどのように反応し、株価に織り込んでいるのか、できるだけ多くの情報を集め、自分なりのトレンドを予測すると良いでしょう。

5.混同しやすい利回りと各指標・数値の違い

利回りという言葉を漠然と使っていると、つい似たような言葉と混同して使ってしまうことがあります。混同しやすい語句を3つピックアップしました。

5-1.利率

利率と利回りは間違いやすい言葉です。利率は額面に対する収益の割合で、利回りは投資元本に対する収益の割合です。例えば、100万円を1年間預けて5万円の利息が得られる場合、5万円÷100万円×100(%)=5%となり、利率は5%となります。

利回りは投資金額に対して、利息や分配金による収益と、売却した時の差損益の合計の割合を見ます。したがって、投資信託では利率の考え方はありません。

5-2.パフォーマンス

ファンドの利回りが良いとパフォーマンスが良好に思えますが、アクティブファンドにおいてのパフォーマンスの良さは、利回りの良さではありません。

アクティブファンドでは、ベンチマークを上回る運用成績を目標としますので、パフォーマンスを測る時は、ベンチマークを基準に測定します。ファンドのパフォーマンスの良し悪しは、ベンチマークの利回りを上回っているか、下回っているかを見ます。

他のファンドと比べて利回りが良くても、ベンチマークとする指数より利回りが悪いと、パフォーマンスは悪いということになるのです。アクティブファンドの運用成績を確認する時は、ベンチマークを軸に判断するとよいでしょう。

5-3.騰落率

利回りは投資元本に対する損益を表したものですが、騰落率は基準価額の上昇率や下落率を示したものです。根本的などちらの数値もファンドの運用成績を測るにおいて重要ですが、内容が全く異なりますので、混同しないようにしましょう。

基準価額は現時点のファンドの価値で、利回りは投資元本に対してどの程度の損益がでているか、を見ます。

まとめ

近年のアクティブファンドの運用成績は、5年間のトータルリターンでインデックスファンドを上回っているファンドが多く見られました。グラフをよく見ると、2020年の3月から始まった急激な上昇トレンドによって、5年間のトータルリターンが底上げされていることが確認できます。

アクティブファンドでも、上昇トレンドを把握すると、5年間程度の中長期運用においてインデックスファンドを上回る運用成績を出すことも可能です。

しかし、大きなトレンドを把握し、適切なファンドに投資するのは至難の業です。アクティブファンドに投資する時は、運用管理費をよく把握し、投資対象銘柄をしっかり確認しておきましょう。トレンドに影響を与えそうなイベントを確認し、大きな流れを掴んでおくことも重要なポイントです。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。