不動産売却で「三井のリハウス」と「野村不動産」の違いは?評判・実績を比較

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大手の不動産会社では不動産売却の実績が豊富であり、売却のノウハウや手厚いサポートなども期待できます。

しかし、大手不動産会社の中でも得意とするエリアやサポート面には違いがあるため、事前に確認しておくことも大切です。

そこで今回のコラムでは、大手不動産会社の「三井のリハウス」と「野村不動産ソリューションズ」にスポットを当て、実績や特徴を比較していきます。

目次

  1. 三井のリハウスの主な特徴
    1-1.「3つの約束」で質の高い売却をサポート
    1-2.適正価格の提案で2カ月以内の成約が65%
  2. 野村不動産ソリューションズの主な特徴
    2-1.不動産情報サイト「nomu.com(ノムコム)」で効果的にアプローチ
    2-2.見込み顧客に物件を紹介する「顧客マッチングシステム」も活用
  3. 「三井のリハウス」と「野村不動産ソリューションズ」の比較
    3-1.実績の比較
    3-2.店舗展開の比較
    3-3.建物・設備保証の比較
  4. まとめ

1 三井のリハウスの主な特徴

三井のリハウスの不動産査定・売却

三井のリハウスを展開する三井不動産リアルティは、1975年から不動産仲介事業を行っている三井不動産グループのグループ企業です。仲介取扱高ランキングでは1986年度から38年連続で1位を獲得しており、累計取扱件数は2020年度に100万件を突破しています。

1-1 「3つの約束」で質の高い売却をサポート

三井のリハウスでは「安心」「安全」な売買のために、次の「3つの約束」を掲げています。

  • 担当者全員「宅地建物取引士」
  • チームで対応
  • 全物件現地調査

不動産売却に対して責任ある対応ができるよう、三井のリハウスでは必ず宅地建物取引士の資格取得者が担当しています。

また、物件を丁寧に調査しているのも特徴です。調査時に不具合がなかった箇所に契約不適合が見つかった場合は、同社が補修などの費用を負担する内容になっています。さらにトラブルが発生した際には、買主のもとに専門スタッフが駆けつけてサポートを行う「緊急駆け付け」サービスも利用できます。

要望に対して適切な対応ができるよう複数のスタッフがチームを組んで、店舗全体で売却をサポートする仕組みも構築しています。

1-2 適正価格の提案で2カ月以内の成約が65%

三井のリハウスでは徹底した事前調査に加え、豊富な実績により蓄積されたデータと日々変化する市況を慎重に検討した上で、売り出し価格と販売方法を提案しています。

下記の表は、成約物件の提案価格乖離率(2022年度)です。

85%未満 85%〜90% 90%〜95% 95%〜100% 100%〜105% 105%〜110% 110%以上
11% 6% 10% 16% 29% 14% 14%

提案価格と成約価格との差は10%以内が45%となっています。このように適正価格での売り出しができるため、成約がスムーズに進むことが多いと考えられます。

1カ月以内 2カ月以内 3カ月以内 6カ月以内 6カ月超
46% 19% 10% 15% 10%

成約までの期間についても、約半数となる46%が1カ月以内、65%が2カ月以内に成約に至っていることがわかります。

なお、三井のリハウスでは「自動マッチングシステム」を導入しており、条件に合う売主と買主を自動マッチングさせる仕組みも活用しています。2021年度は1年間で187,808件の相談がありましたが、全国の店舗で情報共有することにより早期の売却に繋がっています。

2 野村不動産ソリューションズの主な特徴

野村不動産ソリューションズは、不動産仲介事業(流通事業本部、パートナー営業本部、法人営業本部)を中心に、保険代理店事業、銀行代理業、不動産情報サイト運営事業を展開している野村不動産ホールディングスのグループ企業です。不動産流通ビジネスを手がけてきた野村不動産アーバンネットと、野村不動産法人営業本部が統合して2000年11月に設立されています。

流通事業本部が運営する野村の仲介+を事業の中核に据えて、首都圏、関西圏、東海圏で98店舗を展開しています。

2-1 不動産情報サイト「nomu.com(ノムコム)」で効果的にアプローチ

野村不動産ソリューションズの大きな特徴は、不動産情報サイト運営事業が運営する「nomu.com(ノムコム)」に注力をしている点です。7年連続で年間訪問者数が700万人超、年間ページビューが7,000万を超えており、ノムコム会員も12年間で15万人増加しています。インターネット経由での問い合わせが増えていることから、効果的にサイト訪問者にアプローチすることができるのです。

物件の見せ方にこだわっているのも特徴で、AI(人工知能)やVRといった技術なども導入して、以下のように他サイトとの差別化も図っています。

  • 1物件あたり最大30枚の物件写真、最大12枚の周辺写真やパノラマ動画を掲載
  • 「売主様のお声」として、実際に住んでいるからこそ伝えられる魅力や特徴を掲載
  • 「3Dウォークスルー動画」で物件見学をWEB上で疑似体験
  • 暮らしがイメージできるようCG家具を駆使した「VRホームステージング」を導入、など

また、売主は営業担当者からの報告に加え、物件紹介ページの閲覧数や問い合わせ数などが確認できる専用の「アクセスレポート」も用意されています。購入を検討している方の動向が把握できるため、売却活動に活かすこともできます。

2-2 見込み顧客に物件を紹介する「顧客マッチングシステム」も活用

野村の仲介+では、野村不動産グループの社内ネットワークと外部ネットワークを活用し、高品質なサービスとコンサルティングを提供しています。例えば、大手金融機関や大手企業、提携不動産会社などとのネットワークによる豊富な紹介ルートがあるほか、住宅支援メニューの提供も行っています。

また、特筆に値するのが「顧客マッチングシステム」を活用した見込み顧客への物件紹介です。「予算」「広さ」「地域」「間取り」といった条件に合わせて売却希望者と購入希望者をマッチングさせる仕組みで、見込み顧客や紹介顧客の情報を常に更新しているため効果的なマッチングが可能になっています。

なお、見込み顧客情報は2023年9月時点で約47.5万件の登録があります。

3 「三井のリハウス」と「野村不動産ソリューションズ」の比較

三井のリハウスは、三井不動産グループの三井不動産リアルティが手掛ける不動産流通事業の一つです。一方の野村不動産ソリューションズは野村不動産グループのグループ企業で、「野村の仲介+(プラス)」というブランドで仲介事業を展開しています。

企業としての基本情報は以下になります。

項目 三井不動産リアルティグループ 野村不動産ソリューションズ
設立 1969年7月15日 2000年11月6日
資本金 20,000百万円 10億円
本社所在地 東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
代表者 遠藤靖 前田研一
従業員数 単体4,516名、連結5,196名(2023年3月31日時点) 1,866名(2023年4月1日時点)
売上高 182,980百万円(2022年度、連結) 476億6600万円(2023年3月31日時点)

次から「実績」「店舗展開」「建物・設備保証」について比較していきます。

3-1 実績の比較

不動産仲介業に関する実績について、公益社団法人不動産流通推進センターが2023年10月に発表した「2023不動産業統計集」をもとに比較してみましょう。

項目 三井不動産リアルティグループ 野村不動産ソリューションズ
取扱高 1,918,415百万円 1,060,313百万円
仲介件数 39,106件 9,985件
手数料収入 91,047百万円 45,257百万円
店舗数 291店舗 98店舗

ランキングでは、三井不動産リアルティグループが仲介取扱高1位、仲介件数1位、手数料収入1位、店舗数1位、野村不動産ソリューションズは仲介取扱高が4位、仲介件数が4位、手数料収入が4位、店舗数が5位となっています。

企業としての規模は三井不動産リアルティの方が大きいですが、両社とも業界トップクラスの実績を誇っています。

3-2 店舗展開の比較

大手不動産会社の特徴の一つは全国に店舗を展開していることですが、各社によって店舗展開の状況は異なります。店舗数に加えて、対応している都道府県について見ていきましょう。

不動産会社 店舗数 展開している都道府県
三井不動産リアルティグループ
(三井のリハウス)
291店舗
(1都1道2府15県)
北海道、宮城県、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、愛知県、岐阜県、三重県、大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、広島県、岡山県、福岡県、熊本県
野村不動産ソリューションズ(野村の仲介+) 98店舗
(1都2府5県)
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府

※参照:公益社団法人不動産流通推進センター「2023不動産業統計集」、展開している都道府県については各社ウェブサイトを参照

三井のリハウスの方が店舗数は約3倍ほど多くなっています。また、野村不動産ソリューションズ(野村の仲介+)は3大都市圏で店舗を展開していますが、三井のリハウスは北海道から九州までの19都道府県で店舗展開しています。

3-3 建物・設備保証の比較

大手不動産会社に不動産の売却を依頼する場合、売主や買主をサポートするサービスメニューが用意されているケースがほとんどです。そのうち、建物保証および住宅設備保証の内容について比較していきます。

不動産会社 建物保証の内容 住宅設備保証の内容
三井のリハウス
「360°サポート」
売買契約前の建物調査で不具合がなかった箇所であれば、引き渡し後1年9カ月間内の補修・交換費用について最大500万円を負担 売買契約前に住宅設備の動作確認・目視点検。引き渡し後2年以内に修理や交換が必要になった場合は、1作業あたり最大20万円を負担
野村の仲介+
「あんしんPLUS」
住宅の専門家が検査をし、検査時に不具合があれば最大5万円で補修・交換。引き渡し後のアフターサポートとして、5年間、補修費用を最大500万円まで保証(ただし、アフターサポート期間は築年数によって変動) 住宅の専門家が検査をし、検査時に不具合があれば最大5万円で補修・交換。引き渡し後5年間、設備機器ごとに最大10万円のアフターサポート(ただし、アフターサポート期間は築年数によって変動)

建物に関する保証内容は、両社とも補償金額が最大500万円となっていますが、保証期間は三井のリハウスが約2年、野村不動産ソリューションズが最大5年間となっています。ただし、どちらも適用条件があり、三井のリハウスの場合は築30年以内、野村不動産ソリューションズは築年数によってサポート期間が異なります。築5年以内であれば5年間、築12年以上30年以内であれば2年間となっています。

住宅設備保証での違いは、修理・交換費用は三井のリハウスが最大20万円、野村ソリューションズは最大10万円になっている点です。両社とも適用条件が築30年以内となっていますが、野村ソリューションズの場合は建物保証と同様に築5年以内であれば5年間、築12年以上30年以内であれば2年間の保証期間が適用されます。

そのほかの代表的なサービスメニューについても確認してみましょう。

不動産会社 そのほかの代表的なサービスメニュー
三井のリハウス
「360°サポート」
買取サポートシステム、住まいクリーンアップサービス、建物調査、土地調査、住宅設備のメンテナンス、など
野村の仲介+
「あんしんPLUS」
ホームステージング、ホームクリーンアップ、ハウスクリーニング、荷物一時預かり、リユース回収、など

両社ともシニア向けサービス、空き家巡回サービス、税務相談、引っ越しといったグループ企業や提携企業を含めた幅広いサービスを提供しており、ワンストップで利用できるようになっています。

まとめ

大手不動産会社のうち、三井のリハウスと野村不動産ソリューションズについて実績や特徴を比較して紹介しました。

全国各地に店舗展開をしている三井のリハウスと、3大都市圏にのみ店舗展開している野村不動産ソリューションズといったように異なる点が多くあります。また、利用できるサービスにも細かな点で違いがありますので、詳細を比較しながら選ぶと良いでしょう。

担当者の違いについては、訪問査定を受け、実際に接することで直に感じられる点もあると考えられます。両社とも無料査定を受けることができるため、まずは情報収集の手段として検討されてみるのも良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。