将来の資産形成におすすめの投資方法は?不動産投資・投資信託・株式投資を比較

将来の暮らしを豊かにするために、もしくは、もしものときの備えのために、資産形成は重要です。預金金利がきわめて低い昨今において、効率よく資産形成を進めるためには、投資をおこなうのが有効な選択肢となります。

しかし、一口に投資といっても、さまざまな手段があるため、どの投資をおこなうのがよいのか迷ってしまう人も少なくありません。

そこで今回の記事では、資産形成に役立つ代表的な投資手法である、不動産投資・投資信託・株式投資の特徴を簡単に紹介します。そのうえで、資産形成において重視するポイント別に、どの投資手法が適しているのかを比較。皆さまの資産形成を考えるうえでの参考にしてください。

目次

  1. 不動産投資の特徴
    1-1.不動産投資ローンを活用して賃貸物件を購入
    1-2.ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法
    1-3.長期での資産形成に適した投資
  2. 投資信託の特徴
    2-1.プロの判断で様々な資産に分散投資
    2-2.ローリスクからハイリスクまで様々な商品がある
    2-3.投資期間や売買タイミングは柔軟に選べる
  3. 株式投資の特徴
    3-1.個別企業の株式を売買
    3-2.株価が目まぐるしく動くハイリスク・ハイリターンの投資
    3-3.リアルタイムで売買できるが長期投資には研究が必要
  4. 資産形成に適した投資先を選ぶうえで4つのポイント
    4-1.許容できるリスクの高さ
    4-2.手続きの手軽さと換金性の高さ
    4-3.投入する自己資金の規模
    4-3.投資期間
  5. まとめ

1 不動産投資の特徴

  1. 不動産投資ローンを活用して物件を購入
  2. 家賃収入が収益源となるミドルリスク・ミドルリターンの投資方法
  3. 数十年単位の長期投資が基本

不動産投資では、マンションやアパートなどの不動産を所有します。物件の入居者から得られる家賃収入が投資収益の中心となります。

不動産はリスクの高い築古や利便性の低い物件でない限り、数千万円から時には億円単位の価格となりますが、不動産投資ローンを活用することで、これよりもはるかに少ない自己資金で投資にチャレンジすることが可能です。

1-1 不動産投資ローンを活用して賃貸物件を購入

個人の資産形成として不動産投資をおこなう場合、入居需要を比較的に検証しやすい賃貸アパートや賃貸マンションのような賃貸住宅を購入して運用する手法が検討できます。主に1棟まるごと購入する方法と、1区画単位で購入する区分投資の二つのパターンがあります。

投資に適している都市部の物件の場合、おおよその価格のイメージは次の通りです。

購入方法と物件の価格の目安

1区画(区分)ごとに購入 1千万円~数千万円
1棟まるごと購入 5千万円~(アパートの場合)
1億円~(マンションの場合)

これを自己資金で全てまかなうのは、多くの人にとって困難なため、通常は不動産投資ローンにより資金を借りて、より少ない自己資金で投資をおこなうことが可能です。ローンの審査における与信状況(個人の年収や職業、既存の借入状況などによって判断される)が良好であれば、物件価格を全てローンでまかなう「フルローン」での投資が可能な場合もあります。

ただし、物件価格をローンでまかなっても、登記費用や初年度の不動産取得税の支払いなどが発生するため、一定程度の自己資金が必要となります。個別の契約によって異なりますが、物件の1~2割程度が目安になるため、すなわち区分投資でも100~200万円程度は資金が必要となるでしょう。

1-2 ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法

プロの投資家や不動産投資ファンドなどは不動産の値上がり益や資産価値の上昇に着目して投資を行う場合もありますが、高い専門知識や市況情報の収集が必要なため、将来を見越して行う個人の資産形成においては難易度が高いといえます。

そのため個人の場合は、入居者から得られる賃貸収入を主な収益源としておこなう投資方法が主に行われています。空室が発生して家賃収入がとだえるリスクはあるものの、家賃は株価などと比較すると大きく変動しにくいため、賃貸需要が豊富な都市部であれば、一定の投資収益を見込むことができます。

以上の点から、他の投資対象と比較して不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資と考えることができ、中長期の期間を必要とする将来の資産形成に適した投資方法と言えます。

1-3 長期での資産形成に適した投資

不動産投資は地道に家賃収入を積み上げることで、資産形成が可能な投資手法です。うまく物件を選択すれば長期にわたり入居者を獲得し、家賃収入を見込むことができるため、長期投資に適しています。

老後に向けた資産形成など、比較的遠い将来を見据えた資産形成に適した投資手法といえるでしょう。逆に有価証券と異なり、売りたい時にすぐに売れるわけではないため、余裕資金で計画的に投資をおこなうことが重要です。

2 投資信託の特徴

  1. プロの資産運用会社が様々な資産に分散投資
  2. 投資信託によりリスクは様々で、自身に合った商品を選べる
  3. 短期から長期まで投資期間を柔軟に選べる

投資信託とは、プロの投資家の一種である資産運用会社が、それぞれの投資信託商品のルールに従って、株式、債券など多数の資産に分散投資をおこない、投資収益を得て、各投資家の出資分に応じて分配を行う仕組みの投資商品です。

投資先やテーマなど、様々な特徴を持った商品があるため、自分のリスクや投資目的に合った商品を柔軟に選択できるのが魅力です。金融機関の営業日であれば日々売買が可能であるという柔軟性の高さも特徴です。

2-1 プロの判断で様々な資産に分散投資

投資信託は、一つの商品を購入するだけで、多数の資産に分散投資をしているのと同じ効果を得ることができます。

それぞれの投資信託は、プロの投資家の一種である資産運用会社が、それぞれのルールやテーマに従って、魅力的な投資先を分析・選別しながら多数の資産に投資をおこないます。投資銘柄の数は投資信託にもよりますが、数百から数千になります。

また、投資信託は株式にのみ投資するわけではなく、次のような様々な資産に投資をおこないます。

  • 株式
  • 債券
  • REIT
  • 金や原油など

特定のセクターに投資する投資信託もあれば、複数のセクターに分散投資するものもあります。

2-2 ローリスクからハイリスクまで様々な商品がある

投資信託の収益は、投資信託の価格にあたる「基準価額」の値上がり益と、保有していると定期的に得られる「分配金」からなります。基準価額の値動きの大きさ、すなわちリスクの高さは、投資信託の投資先によってさまざまです。

投資先ごとのリスク・リターンの高さ

ローリスク・ローリターン 国内債券
海外の国債
信用力の高い社債
ミドルリスク・ミドルリターン 新興国債券
ハイイールド債券
ハイリスク・ハイリターン REIT
原油
国内外の株式

自分が許容できるリスクの高さなどをふまえて、適した商品を柔軟に選ぶことができるのが投資信託の特徴です。投資信託を購入する際は、目論見書などで投資先を確認したうえで、自分にあった投資信託を選びましょう。

2-3 投資期間や売買タイミングは柔軟に選べる

現代では投資信託はインターネット口座であれば、深夜や休日をのぞいて柔軟に売買手続きが可能です。決済が済めば数日~1週間程度で投資の開始や換金がおこなえるため、極論を言えば1~2週間程度の短期間で投資することもできます。

ただし、将来に向けた資産形成の観点からは、数か月から数年など、ある程度の期間にわたって投資を継続して運用益を徐々に積み上げる方法が適切であると言えます。

3 株式投資の特徴

  1. 上場している個別企業の株式を売買
  2. ハイリスク・ハイリターンの投資
  3. リアルタイムで売買可能。長期で保有し続けるには研究が必要

株式投資は、個別企業が発行する株式を売買して投資する方法です。

リスクの高さは投資先の企業にもよりますが、個別銘柄の株価は日々目まぐるしく動くため、ハイリスク・ハイリターンの投資手法といえます。長期の資産形成を株式投資で行う場合、ある程度の損失が発生するリスクを覚悟のうえで取り組むことが大切です。

証券取引所が開いている時間であれば、株式はリアルタイムで取引が可能。投資家の中には一日のうちに売買を繰り返すデイトレーダーなどもいます。しかし、資産形成の観点からは中長期的に保有し続ける戦略が主になってくるため、まずは株価変動が少ない低ボラティリティの銘柄や、一定の利益を長期的に積み上げている企業を選別されてみると良いでしょう。

3-1 個別企業の株式を売買

株式投資では、自身で各企業や市場環境などを分析したうえで、個別企業が発行する株式を売買して投資します。株式投資の投資収益は株価の値上がり益と、株式を保有すると定期的に得られる配当からなります。

個人が投資対象とする株式は、証券取引所に上場していて、証券会社で柔軟に売買できる「上場株式」が中心となります。中でも東京証券取引所に上場している日本企業の株式が馴染み深いですが、2022年時点、アメリカなど海外取引所の上場株式を売買できる証券会社も多くあります。

3-2 株価が目まぐるしく動くハイリスク・ハイリターンの投資

株式の価格にあたる株価は、市場環境や企業の業績および見通しによって目まぐるしく変動します。企業が倒産すれば株価はゼロに等しくなりますし、不況や業績悪化で株価が大幅に下落することも珍しくありません。逆に飛躍的な成長を遂げる中で、株価が短期間で急騰する場合もあります。

このように、株式投資はその損益が短期間のうちに大きく変動するリスクがあるため、ハイリスク・ハイリターンの投資手法といえるでしょう。

3-3 リアルタイムで売買できるが長期投資には研究が必要

株式投資は証券取引所が開いている時間であれば証券会社を通じてリアルタイムで売買ができます。株価は日中でも刻一刻と変わるので、うまく売買タイミングを選べば収益を拡大することも可能です。投資家の中には1日~数日のうちに売買を繰り返す投資スタイルの人もいますが、資産形成の観点からは中長期的に保有を継続するのが望ましいといえます。

そのため、中長期にわたり経営状況が悪化せず、順調に業績を伸ばしていくと信頼できる企業を選別する必要があります。自分なりに、業績や経済環境などを分析・研究して、魅力的な企業を選び出していくことが大切です。

4 資産形成に適した投資先を選ぶうえで4つのポイント

ここまで紹介した投資先のうち、どれが適しているかは、それぞれの資産形成に対する考え方によって異なります。自分にあった投資先を選ぶうえでは、次の4つのポイントを基準に考えていくとよいでしょう。

  1. 許容できるリスクの高さ
  2. 手続きの手軽さと換金性の高さ
  3. 投入する自己資金の規模
  4. 投資期間

それぞれのポイントを適した投資方法と共に紹介していきます。

4-1 許容できるリスクの高さ

資産形成を投資でおこなう以上、損失リスクを完全に避けることはできません。そのうえで、どの程度大きな損失まで許容できるかを考えて、投資先を検討することが大切です。

極力損失を抑えたいなら、投資信託のうちローリスクな債券に投資する商品が検討できます。ある程度のリスクが許容できるなら、ミドルリスクの投資信託や不動産投資が適しています。数十%の大幅な損失が発生するリスクを許容してでも、資産拡大を目指すなら株式投資も検討することが出来ます。

損失リスク:低 ローリスクの投資信託
損失リスク:中 不動産投資
ミドルリスクの投資信託
損失リスク:高 株式投資
ハイリスクの投資信託

4-2 手続きの手軽さと換金性の高さ

投資信託や株式はオンライン上でスマホでも比較的自由に売買できますが、不動産投資はローン契約や登記手続きなどが発生します。現代では不動産投資会社のサポートの下、スムーズに手続きを進められるようになっているものの、手軽さの面では株式や投資信託には劣ります。

また、資産規模や、個々の状況によっては、いざという時にはできるだけ柔軟に換金できることを重視する人も少なくないでしょう。その点では株式はリアルタイムで決済ができ、数日のうちに換金が完了します。投資信託も営業日ごとに決済され、長くとも手続きから1週間程度で換金できます。

対して不動産は、そもそもローン残債が資産価値を下回っている必要がありますし、売却となると買い手を探す必要があるため、換金まで最低でも数か月程度はかかります。

以上をまとめると、手続きの手軽さ、換金性の高さに着目すると、株式>投資信託>不動産投資の優先順位となります。

手続きの手軽さ 換金性の高さ
株式
オンラインで簡単

リアルタイム
投資信託
オンラインで簡単

営業日ごと
不動産投資
登記やローン契約などの手間

残債<資産価格の状況が必須
数カ月程度かかる

4-3 投入する自己資金の規模

資産形成をはじめるときの自己資金が小さい場合は、投資先も限定されます。今回紹介したなかで最も少額でも投資できるのは投資信託です。10,000円程度もあれば幅広い商品に投資できますし、証券会社によっては100円程度からの投資も受け付けています。

株式は株価と株式の購入単位である「単元」によって最低投資金額が異なり、銘柄によってはまとまった資金が必要です。ただし、中には1株単位の購入を受け付けている証券会社もあります。1株単位で購入する場合で数千円~、単元で購入するなら数万円~数十万円程度で購入できます。

他方、不動産投資は、ローンを活用するとしても一定程度の頭金や諸費用のための資金が必要です。個別の契約次第ではありますが100万円~数百万円程度は必要でしょう。

投資対象 必要な自己資金
投資信託 100円~
株式 数千円~
不動産投資 100万円~

一方、不動産投資に必要な資金を用意できる人は、ローンを活用して数千万円以上の規模の資産を持つことができるため、ミドルリスク・ミドルリターンの運用で資産規模を積極的に拡大していきたい人には適していると言えます。

4-4 投資期間

資産形成のゴールが数年程度など中期にある人は、投資信託や株式投資の方が適しています。基準価額や株価の値上がり益が主な収益源となるこれらの投資先なら、数年程度の投資でも充分な収益を上げられる可能性があるためです。

他方、長期投資の場合は不動産投資で賃貸収入を積み上げるのが有効と言えます。またローリスクな投資信託でじっくり収益を獲得するのもよいでしょう。株式でも長期投資は可能ですが、数十年にわたり順調にビジネスを継続できる企業を慎重に選別するか、定期的に銘柄の入れ替えを行うなどのメンテナンスが必要になります。

数年程度の中期投資 10年超の長期投資
投資信託
株式
企業分析能力に自信があれば〇
不動産投資

5 まとめ

資産形成に役立つ投資先としては不動産投資、投資信託、株式投資があり、それぞれ異なる特性を持っています。

株式投資は、数年程度の中期投資に適していて、ハイリスク・ハイリターン。不動産投資は10年超の長期投資に適しているミドルリスク・ミドルリターンの投資です。また投資信託はその商品の投資先によって特性が異なるため、目論見書などで事前に投資先を確認することが大切です。

資産形成の目的やゴールを明確にしたうえで、自身が許容できるリスクの高さや自己資金の規模、投資期間などをふまえて適した投資先を選んでいきましょう。

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伊藤圭佑

伊藤圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。