米小売り大手のウォルマート(ティッカーシンボル:WMT)は5月24日、ドローンを活用した宅配サービスを6州の400万世帯に拡大すると発表した(*1)。オンライン注文から30分以内に商品を配達する。荷物を消費者宅まで届ける「ライトワンマイル」配送を強化し、競合するアマゾン(AMZN)に対抗していく狙いがあるようだ。
ウォルマートはこれまでに本社のあるアーカンソー州北西部とノースカロライナ州の一部でドローンを活用した宅配サービスを提供してきた。今回、ドローン宅配を手掛ける新興企業のドローンアップ(DroneUp)と提携し、対象エリアをアリゾナ州、アーカンソー州、フロリダ州、ウタ州、バージニア州の6州の400万世帯に広げる。計37店舗に仕訳や梱包などの業務を行う配送拠点を設ける。
イノベーション&オートメーション部門シニアバイスプレジデントを務めるデービッド・グッジーナ氏は、年間100万個以上の荷物を宅配できるようになると述べた(*1)。
ウォルマートは小型で無人のドローン宅配がeコマースの成長をけん引して競合するアマゾンに対抗し、小売業界のゲームチェンジャーとなり得るか実験的に同サービスを導入した。2年前にはドローンアップにくわえ、フライトレックス(Flytrex)、ジップライン(Zipline)といったドローン配送のスタートアップ企業とも提携し、食料品や日用品、新型コロナの家庭用検査キットを宅配するパイロットプロジェクトを開始している。
ドローン宅配を利用する顧客は、数万点の商品から一度の注文で総量4.5キロまでの商品を注文できる。配送料は3.99ドル(約520円)で、利用できる時間帯は午前8時から午後8時までとなる。注文はドローンアップをはじめとするドローン配送を手掛ける提携先のウェブサイトを通じて行う。将来的にはウォルマートのウェブサイトとアプリに注文機能を追加する計画だという。
また、ドローン宅配により店舗の競争力向上を図る。米国民の約90%を16キロメートル圏内におさめる4,700超の店舗網を生かして顧客の利便性向上につなげる。ウォルマートはドローン宅配のほかに、店舗を通じて、オンラインで注文して駐車場で商品を受け取る「カーブサイドピックアップ」や、買い物客の家の冷蔵庫に食料品を届ける「インホーム・デリバリー」、注文から2時間以内に商品を宅配する「エクスプレスデリバリー」サービスも提供している。
グッジーナ氏によると、医薬品のような緊急を要するものを注文するのにドローンを利用すると想定していたが、実際は多くの顧客が利便性を求めて活用しているという。最も売れている商品はハンバーガーヘルパー(Hamburger Helper)であり、電池やゴミ袋、合成洗剤、ウェルチ(Welch)のフルーツスナックも頻繁に配送するとのことだ。
ドローンを活用して得られた空撮画像を自治体や建設・不動産会社などへ販売し、配送コストを相殺する方針も示している。
【参照記事】*1 ウォルマート「We’re Bringing the Convenience of Drone Delivery to 4 Million U.S. Households in Partnership with DroneUp」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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