米アマゾン・ドット・コム(ティッカーシンボル:AMZN)が5月18日、妊婦や障がいのある従業員に対して差別を行った疑いがあるとして、ニューヨーク州人権局より告発された(*1)。
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事が同事実を明らかにした。人権局の告発によると、アマゾンは妊婦や障がい者への合理的配慮を提供せず、無給休暇を取得するよう強制してもいるという。
同州はアマゾンが合理的配慮に欠ける事例のひとつとして、妊娠中の労働者が約11.3キログラム超の荷物を持ちあげることを避けることを認められていたが、現場の管理者がそれを拒んだことを挙げている。その従業員が重い荷物を持ちあげたことでケガをした際にも、合理的配慮を拒否して無期限の無給休暇をとらせたとのことだ。
人権局は、アマゾンの現場マネージャーは合理的配慮の推奨および評価をおこなうコンサルタントが下した判断を覆すことが認められており、そのことが合理的配慮の不提供につながっていると指摘。アマゾンの行為は妊婦や障がい者に対する差別を禁止するニューヨーク州の人権法に違反しているとも主張し、同州への制裁金の支払いと差別行為の停止、合理的配慮を提供する非差別的な方針と慣行の整備を求めている。
アマゾンのスポークスパーソンを務めるケリー・ナンテル氏はCNBCに対し、妊婦や障がいを持つ労働者に配慮する最善のオプションを提供できるよう努めていると述べた(*2)。まだ訴状を受け取っておらず、これ以上コメントすることはできないと付け加えた。
アマゾンはこれまでにも職場環境を巡って複数の訴えを起こされている。たとえば、倉庫で働く労働者が妊娠したのちに合理的配慮が欠けていると主張すると、業績基準を満たしていないとして解雇されたとして提訴されている。
近年、アマゾンでは全米初の労組が結成されて労働環境の改善を求められたり、アップル(APPL)の株主総会で第三者による人権監査を求める株主提案が可決されたりと、社内外のステークホルダーからの監視の目が厳しくなっている(*3)。また、インフレや米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅な利上げなどを受け、厳しいマクロ環境にさらされている状況だ。
【参照記事】*1 ニューヨーク州「Governor Hochul Announces Complaint Filed Against Amazon」
【参照記事】*2 CNBC「Amazon accused of discrimination in New York」
【関連記事】*3 アップル株主総会 第三者による人権監査求める株主提案を可決

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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