文京区で不動産投資をするメリット・デメリットは?特徴や利回り、注意点も

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東京23区のほぼ中央に位置する文京区は、東京大学やお茶の水女子大学など多くの教育機関が立地する文教地区としても知られています。学生のほか、良好な教育環境を求めるファミリー層の入居も期待できるため、不動産投資の候補になりやすいエリアです。

今回のコラムでは、こうした特徴を踏まえ、文京区で不動産投資をするメリットとデメリットについて解説していきます。

目次

  1. 文京区の特徴
  2. 文京区で不動産投資をするメリット
    2-1.教育機関が多く立地しており、学生向け物件の需要が見込める
    2-2.治安が良く、ファミリー向け物件の需要も見込める
  3. 文京区で不動産投資をするデメリット・リスク
    3-1.土砂災害警戒区域の数が多い
    3-2.利回りが低く、利益が出にくい
  4. 文京区での不動産投資における注意点
  5. まとめ

1 文京区の特徴

東京都文京区は東京23区のほぼ中央に位置し、千代田区、新宿区、豊島区、北区、荒川区、台東区に隣接しています。外周は約21km、面積は11.29㎢となっており、23区では4番目に小さいコンパクトな区です。JRの駅が設置されていないものの、地下鉄が6路線走っており、交通アクセスは良好と言えます。

名勝地である小石川後楽園など区内には自然を多く残しており、文京区の「文京区のみどり」によると緑被率は18.4%で、23区の中では11番目に高い水準になっています。その一方、起伏が多く、名前のついている坂は115個あります。

そのほか、文京区の基本的な情報は下記になります。

  • 面積…11.29㎢
  • 人口…230,772人(2023年5月1日時点)
  • 世帯数…127,646世帯(2023年5月1日時点)
  • 人口密度…21,439人/㎢(2022年8月1日時点)

東京23区の中では19番目に人口が多い一方、面積は20番目の広さです。そのため、「東京都の人口(推計)」によると、人口密度は豊島区、中野区に続いて3番目と、高い水準に位置しています。

2 文京区で不動産投資をするメリット

前述した文京区の特徴を踏まえた上で、不動産投資をするメリットを見て行きましょう。

2-1 教育機関が多く立地しており、学生向け物件の需要が見込める

不動産投資をする際にターゲットの絞り込みを行いますが、文京区には大学などの教育機関が多く、学生向け物件に対する賃貸需要が見込めるというメリットがあります。

文京区の「区内大学との連携について」によると、国公立・私立を問わず下記の19の大学・短期大学が文京区内に存在しています(2022年6月21日時点)。

  • 跡見学園女子大学(文京区大塚1‐5‐2)
  • お茶の水女子大学(文京区大塚2‐1‐1)
  • 国際仏教学大学院大学(文京区春日2‐8‐9)
  • 順天堂大学(文京区本郷2‐1‐1)
  • 拓殖大学(文京区小日向3‐4‐14)
  • 中央大学(理工学部)(文京区春日1‐13‐27)
  • 筑波大学(付属学校教育局)(文京区大塚3‐29‐1)
  • 貞静学園短期(大学文京区小日向1‐26‐13)
  • 東京大学(文京区本郷7‐3‐1)
  • 東京医科歯科大学(文京区湯島1‐5‐45)
  • 東邦音楽大学・東邦音楽短期大学(文京区大塚4‐46‐9)
  • 東洋大学(文京区白山5‐28‐20)
  • 東洋学園大学(文京区本郷1‐26‐3)
  • 日本医科大学(文京区千駄木1‐1‐5)
  • 日本社会事業大学(文京区小石川5‐10‐12)
  • 日本女子大学(文京区目白台2‐8‐1)
  • 日本薬科大学(お茶の水キャンパス) (文京区湯島3‐15‐9)
  • 文京学院大学(文京区向丘1‐19‐1)
  • 放送大学東京文京学習センター(文京区大塚3‐29‐1)

※出典:文京区「区内大学との連携について」より抜粋

文京区はこのように大学数が多く、学生からの賃貸需要が見込めるため、不動産投資の対象エリアとして適した要素を持っていると考えられます。

2-2 治安が良く、ファミリー向け物件の需要も見込める

数多くの大学が点在する文京区は教育環境が整っていることから、ファミリー層からの住宅需要も見込めるエリアです。また、子どもに関する独自事業を行っており、子育てがしやすいとされます。

子育てに関する文京区の代表的な独自事業は下記になります。

事業 内容
子育てサポーター認定制度 認定を受けた子育てサポーターが、地域の子育て世帯をサポートする活動を行っています。
子育て短期支援事業(ショートステイ事業・トワイライトステイ事業) 一時的に子供を預かる事業で、泊まりがけで預かるのがショートステイ事業、夜間の時間帯に預かるのがトワイライト事業です。
こんにちは赤ちゃん訪問(新生児訪問) 生後4カ月までの乳児と保護者の元に助産師や保育師が伺い、育児相談などを受ける事業です。
ファーストバースデーサポート事業 1歳を迎える子どもに、「こども商品券」などが入った育児パッケージを配布する事業です。

※出典:文京区「子育て」より抜粋

こうした多彩な事業で子供の成長をサポートしているのが文京区の大きな特徴になっています。

また犯罪が起きにくく治安が良いのも文京区の特徴の一つです。警視庁の資料「東京の犯罪(令和4年版)」によると、東京23区内で刑法犯罪認知件数が少ない上位5区は下記のようになっています。

順位 刑法犯罪認知件数
1位 文京区 898件
2位 荒川区 1,143件
3位 目黒区 1,327件
4位 中野区 1,880件
5位 北区 1,926件

※出典:警視庁「東京の犯罪(令和4年版)」より抜粋

文京区は犯罪が最も少ない898件で、最も多い新宿区の5分の1程度となっています。こうした治安の良さからもファミリー層からの住宅需要が豊富に見込める要素の一つとなっています。

学生からの需要も、ファミリー層からの需要も見込めるため、ターゲットの選択肢があることも文京区で不動産投資を行うメリットと考えられます。

3 文京区で不動産投資をするデメリット・リスク

一方、文京区で不動産投資を行うデメリットやリスクについても確認しておきましょう。

3-1 土砂災害警戒区域の数が多い

文京区は5つの台地で構成されており、そのため台地と低地の境目では土砂災害が発生する危険が高くなります。「土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定について」によると、区内には土砂災害警戒区域(イエローゾーン)が、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)64カ所を含めて106カ所あります(区境の指定区域がほかに1カ所あり)。

土砂災害警戒区域等の数は、以下のように東京23区のうち3番目に多くなっています。

土砂災害警戒区域の数 土砂災害特別警戒区域の数
港区 208カ所 141カ所
板橋区 146カ所 114カ所
文京区 106カ所 63カ所
世田谷区 100カ所 79カ所
大田区 97カ所 60カ所

※出典:東京都建設局「土砂災害(特別)警戒区域の区市町村別指定状況」より抜粋

ただし港区は面積が20.34㎢で、文京区の2倍弱の広さです。そのため面積に占める土砂災害計画区域等の割合では、1番目の港区とほとんど変わらないという見方もできます。

台風や大雨などの際に土砂災害が発生すると、土地価格が下落したり、賃貸物件の入居者が退去するといったリスクがあると考えられます。文京区で物件を購入する際には価格だけにとらわれず、土砂災害警戒区域に指定されていないか、といったことも適切に確認することが重要です。

3-2 利回りが低く、利益が出にくい

東京都財務局の「地価公示価格(東京都分)」によると、文京区の住宅地の平均地価は2023年1月1日時点で1,057,100円となっています。2021年1月1日時点で100万円を突破しており、千代田区、港区、中央区、渋谷区に続いて東京23区内では5番目の高さとなっています。

集計日 住宅地の平均地価
2019年1月1日 929,800円
2020年1月1日 999,600円
2021年1月1日 993,400円
2022年1月1日 1,011,300円
2023年1月1日 1,057,100円

※出典:東京都財務局「地価公示価格(東京都分)」より抜粋

このように土地価格が高いということは、他エリアよりも物件価格が高額になっていると想定できます。

国土交通省の「土地総合情報システム」で、文京区で売買が成立した中古マンションの例を見てみると、下記のようになっています。

場所 取引価格 間取り(専有面積) 築年
文京区大塚 11,000万円 3LDK(70㎡) 2015年
文京区大塚 2,200万円 1K(20㎡) 2007年
文京区大塚 3,300万円 1K(25㎡) 2018年
文京区大塚 2,600万円 1K(25㎡) 2011年
文京区大塚 6,700万円 2LDK(50㎡) 2015年

※参照:国土交通省「土地総合情報システム

築20年以内の中古マンションであれば、下記のような価格帯が多くなっています。

  • 20〜30㎡程度のワンルームおよび1K…2,000万円〜4,000万円
  • 50㎡以上のファミリー向け物件…6,000万円以上

不動産投資では物件が高額になると利回りが低く、大きな利益は狙いにくくなります。

例えば、不動産総合ポータルサイトの「LIFULL HOME’S」で文京区の投資マンションを検索すると、築20年未満の物件は76件が表示されます。(※2023年5月22日時点)

そのうち物件が多いゾーンは、3,500万円前後のワンルーム及び1Kで年間想定収入が150万円前後となっています。利回りは概ね2%〜4%台となっており、ローン残高や返済期間によっては利益が出にくいと考えられます。

利益が出にくい賃貸物件は空室状態が続いたり、修繕費などの大きな出費があると赤字運営といった事態に陥るリスクがあります。文京区ではこのように低利回りの物件が多く、大きな利益を狙いたい投資家にとってはデメリットと考えられます。

4 文京区での不動産投資における注意点

文京区にはJRの駅がないものの、地下鉄駅が多く、ほとんどの地域で交通アクセスが良好です。そのため、築年数以外の要件で、物件価格が低下しにくいと考えられます。入居者は確保しやすいものの、高利回りは狙いにくいため、この点を踏まえて物件を選ぶようにしましょう。

また物件価格が高額になると、多額の自己資金が必要になることから購入者は限られてしまいます。融資に関する審査が厳しくなることもあり、余裕を持って自己資金を用意することが重要です。

高額物件は、景気が悪くなると入居者の確保が難しくなることもあります。売却も難しくなると考えられるため、購入後も経済状況や不動産市況などに注意を払うようにしましょう。空室をできるだけ避けるような賃貸物件経営に関する知識を身につけることも大切です。

まとめ

文京区で不動産投資を行う際のメリットとデメリットについて解説しました。学生とファミリー層のどちらもターゲットにできることは、大きなメリットと考えられます。また地下鉄の利便性が良好なことから、土地価格が下がりにくい、経済状況に左右されにくいといった特性があります。

ただし高利回りを狙いにくいため、ローン返済額が大きくならないように自己資金に余裕を持って物件選びをしましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。