皆さん、こんにちは。コロナ禍の影響を受けて将来の生活が不安という人も少なくなく、雑誌やテレビなどでは投資特集が度々組まれています。
金融緩和によるインフレ懸念から、投資対象として純金やプラチナなどの実物資産に目を向ける方も増えています。その中でも、特に金融機関の融資を活用できる不動産投資に注目する方も多くなってきています。
不動産投資の中でも、月々のキャッシュフローを多く獲得でき、比較的早く資産規模を拡大できる、ということで人気が高いのが1棟物件投資です。
不動産投資で収益を上げるためには、投資家として1円でも安く物件を購入する必要があります。その一方で、売主は自身の収益に直結することから、買主の都合による物件価格の交渉は簡単には受け入れてもらえません。
私は、物件価格の交渉は営業マンさながらの交渉スキルに加えてヒューマンスキルが必要であると考えています。実際、価格交渉は長年の不動産運用経験があるベテラン投資家でも難しいと思います。
そこで、今回は、収益用不動産(1棟物件)を取り扱う不動産会社での私の実務経験をベースに、主に1棟物件における価格交渉しやすい物件のポイント、そして売主との交渉の際成功確率を上げるポイントを取り上げていきます。
目次
- 不動産投資で価格交渉をするメリット・デメリット
1-1.不動産投資で価格交渉をするメリット
1-2.不動産投資で価格交渉をするデメリット - 価格交渉をしやすい物件の4つの特徴
2-1.売却期間が長期化している物件
2-2.金融機関の融資が付きづらい物件
2-3.市場価格よりも高い金額で売り出されている物件
2-4.売主が物件を売り急いでいる物件 - 物件価格の交渉で注意したい5つのポイントと手順
3-1.誰と価格交渉をするのか把握する
3-2.仲介会社からの信頼を勝ち取る
3-3.物件を調査して比較する
3-4.売主が納得する理由を用意する
3-5.売主の感情に訴える - まとめ
1.不動産投資で価格交渉をするメリット・デメリット
ここでは、主に中古の1棟物件の価格交渉について取り上げます。不動産会社を選定して、営業担当者から物件の紹介を受け、実際に物件を購入する際、1棟物件の営業現場では価格交渉はよく行われます。
販売図面などの資料に記載された物件価格はあくまで売主の希望価格です。定価がない中古物件の場合、売主が買主から指値(買主が物件の購入価格を指定すること)を受けることは日常茶飯事です。
私が不動産会社に勤務していた頃のお話です。私は、収益物件を仕入れるため、毎日「レインズ」(不動産会社が閲覧できる物件情報が掲載されているシステム)や「楽待」、「健美家」などの不動産ポータルサイトを血眼になって検索していました。
そして物件を取り扱っている仲介会社に問い合わせて、お目当ての物件についてひととおりの情報収集をした後、「お値引きの余地はありますか?この物件いくらくらいになりますか?」などと聞いていました。
通常、仲介業者は、売主と事前に取り決めた「値引き幅」を持たされていることがあり、「この物件であれば100万円くらいかな」や、「250万円が限界ですね」など、率直に回答をしてもらえることが多かったです。
今思えば、これは不動産業者同士(プロ)での会話ですが、不動産会社にとっての仕入れと個人投資家の買付は、物件を購入して収益を上げるという行為は同じですので、ここでは個人投資家の方に参考になる要素を解説していきます。
1-1.不動産投資で価格交渉をするメリット
物件を仲介会社から紹介してもらう際に、買いたいと思った物件があった場合には価格交渉をしてみると良いでしょう。前述したように、仲介会社は売主から一定の「値引き幅」を持たされていることが多いです。価格交渉は個人投資家が買付を入れる際にも有効です。
不動産投資は優良物件をいかに安く買うかが成功するポイントの一つです。タイミングによってはオマケ(値引き)してくれることもあるでしょう。また、そもそも売主も買主の指値があることを想定して価格設定していることがほとんどです。
無事に指値がとおった場合のメリットとして下記の3点が挙げられます。
- 物件の利回り(収益率)が向上する
- 物件を安く購入できた分、リフォーム費用などに充当することができるので入居者の満足度が上がる
- 突発的な事象が発生した場合の緊急対応費用にできる
指値は仲介会社と十分に相談をしながら設定すると良いでしょう。ただし、後述するようにデメリットはあります。むやみやたらに価格交渉をすると仲介会社から相手にされなくなる可能性もあります。
1-2.不動産投資で価格交渉をするデメリット
一方、物件に指値をしてデメリットになる場合があります。それは主に下記の2点などが挙げられます。
- 価格交渉に多くの時間を要してしまうこと
- 売主の気分を害してしまい、そもそも交渉の土台に乗れないこと
特に売主が個人で残債が残っている場合には、売主が判断に迷ってしまい、お互いに時間を費やした結果、最悪のケースでは売却すること自体を取りやめてしまうこともあります。
また、指値をした分、仲介会社の仲介手数料が減ってしまうことも忘れてはいけません。大幅な指値により、仲介会社の手取り金額が減ってしまう結果になると仲介会社によってはモチベーションが落ちてしまいます。結果として、優良物件を紹介してもらえる機会が減ってしまう可能性もあります。
2.価格交渉をしやすい物件の4つの特徴
通常、多くの賃貸需要が見込める高立地物件や満室稼働物件などでは、価格交渉は難しくなります。
また、売主が不動産会社の場合で、自社再生物件(不動産会社がリフォームやリノベーションなどを実施済みの物件)の場合には値引きしないというケースもあります。数万人規模のメルマガ会員を有するなど多くの投資家にアプローチできる会社でよく見られます。
それでは、価格交渉をしやすい物件の特徴とはどのようなものでしょうか。以下に記載した特徴を持つ物件は1つだけでも価格交渉をしやすいですが、複数組み合わせるとより効果的です。
なぜ、売主は物件を売却しようとしているのか、事前に「売主の状況」と「物件の状況」をしっかりと確認することが大切です。
まずは、仲介会社をとおして、売主の売却理由を把握すると良いでしょう。私は、購入したい物件があった場合には、プロファイリング情報として以下を確認するようにしていました。全て正確に教えてもらえるのがベストですが、必ずしもそうではないケースも多いため、仲介会社の話を全面的に信じるのではなく参考情報程度という認識でとらえておきましょう。
- 売主の職業(個人か法人か、専業の不動産会社かどうか等も確認)
- 売主の年齢
- 売却理由
- いつから売りに出されてるか
- 売却希望時期
- 残債
- 問い合わせ件数(ライバルの有無)
- 特約(何か特別な条件があるか)
- 物件に対する思い入れ(聞き出すことができれば)
売主が不動産会社やプロ投資家である場合の価格交渉は、話が速く、トントン拍子に進むことがあります。逆に売主が個人の場合、売却益にこだわるケースも多く、時間がかかることがあります。
売却理由に関しては、大体、「相続」や「資産の入れ替え」、「転売して売却益を得る」といったざっくりとした理由が多くあります。これは、売り急いでいることを伝えると価格交渉をされるため、売主があえて本当のことを告知することにメリットがないためです。そのため、プロファイリングは参考程度にしておいた方が良いと私は考えます。
問い合わせ件数に関しては、自分以外にライバルがいるかどうかを知るために聞き出します。強力なライバルがいるのといないのとでは、自身の精神状態にも大きく影響を与えました。私の経験上、他の条件が揃っていて「いける!」と思っても、ライバルがいるとわかるだけで弱気になってしまうものです。
2-1.売却期間が長期化している
私が考えるに、売却期間が長期化している物件(売れ残り物件)は、最も価格交渉しやすいです。
これは、何らかの理由で売却できずに長いこと売れ残っているからです。よくある特徴として、最寄駅から徒歩20~30分、バス便で20~30分という立地条件が悪い物件、ボロボロで建物の状態が悪い物件などが挙げられます。
ポータルサイトを定期的にチェックしていると、掲載され続けている物件があることがわかります。売主もなかなか売れずに焦っていて、心が折れていることもあるでしょう。
ただし、中には全く売り急いでおらず、また、プライドがあって頑なに価格交渉には一切応じないという売主もいます。売主が、「いつ売れても良い」、「じっくりと待つ」というスタンスですと価格交渉に応じないため、市場が求めている価格と折り合いません。結果として長期間残ってしまっていることが多くなります。
ポータルサイトなどで売却期間が長期化している物件を見つけたら、1週間後、2週間後、1ヶ月後ごとに定点で観測して状況を伺いながら、柔軟に対応をしていくと良いでしょう。売主の事情が急に変わるということもたまにあります。
ボロボロの物件の場合、価格交渉はしやすいかと思います。ただし、単に指値をすれば良いというものではありません。
私が不動産会社勤務時には、事業計画シート(社内で買付の承認を得るためのシミュレーション。金融機関に提出する場合にも使いました。)を活用しました。リフォームするべき箇所を見極め、リフォーム費用をかけた場合でも収益物件として利益が出る水準で購入する必要があります。
2-2.金融機関の融資が付きづらい
金融機関の融資が付きづらい物件も、価格交渉はしやすいです。
多くの金融機関は行内の規定によって、築年数が古い物件には自己資金を多く出してもらうよう要求します。
一方、不動産投資ではなるべく自己資金は拠出しないでレバレッジを多くかけた方が投資効率は高くなる傾向にあります。そのため、自己資金を30~40%以上出さないと融資がとおらない築古物件や旧耐震基準の物件は価格交渉がしやすいです。
ただし、安く購入できるのはメリットですが、以下の点に注意が必要です。
- 自己資金割合が多くなる
- 自身で修繕箇所を見極め適切に実施する必要がある
- 適正に運営をしても融資が付きづらいので売却したいときに購入できる層が限定されてしまう
また、再建築不可物件や借地権付き物件はさらに金融機関の融資が付きづらいです。その分、価格交渉はしやすいのですが、そもそも運営の難易度も上がりますし、売却する際苦労する可能性もありますので、注意が必要です。
これも個人投資家には難易度が高いですが、空室が多い物件も金融機関の融資は付きづらいです。私は不動産会社勤務時に「全空(全部屋が空室)」の物件を仕入れたことがあります。
この物件は築古で大規模なリフォームが必要でした。一級建築士に詳細な調査をしてもらい、リフォーム費用が多額にかかること、全空物件であることを理由に大幅な指値がとおったケースでした。
2-3.市場価格よりも高い金額で売り出されている
売主には不動産に詳しい方ばかりではなく全くの素人という方もいます。
また、大手財閥系の不動産会社でも、居住用不動産の取り扱いには詳しいものの、収益用不動産に関してはまったく知識を持っていない営業担当者もいます。
物件価格は、売主と不動産会社の担当者で相談をして決めるケースが多いのですが、担当者が収益用不動産の相場を熟知していない場合には、市場価格よりも高い金額で売りに出されることがあります。
結果として、長期間売れないこととなり、価格交渉する余地が生じることがあります。逆のケースで、相場を知らないがために、割安で売り出していることもあったりします。
仲介会社からレントロール(家賃明細一覧表)を取り寄せ、現在の相場にあった賃料設定になっているかも確認が必要です。長期間入居が付いている場合には、当時の家賃が現在の家賃相場と乖離している可能性もあります。
家賃をベースに収益還元法で物件価格が設定されているケースでは、数年前に今より高い家賃で入居が付いた場合、それをベースに物件価格も高いことがありますので注意を要します。
2-4.売主が物件を売り急いでいる
売主が売り急いでいる物件は、価格交渉がしやすいです。
これは、仲介会社の話をヒントにするほか、不動産ポータルサイトを頻繁にチェックすることでわかります。特徴としては、定期的に少しずつ値下げしているケースです。ポータルサイトによっては「値下げマーク」が付いたりします。
例えば、相続税を支払う必要がある場合ですと、被相続人の売主は、物件に愛着がないケースも多く、また、手っ取り早く現金化したいという事情もあります。タイミングよく、このようなケースにあたった場合にはスムーズに価格交渉できる可能性が高いと言えます。
仲介会社から登記簿謄本を入手して、売主の残債を予測するのも良いでしょう。借入金と金融機関の金利が書いてある場合、購入後の経過年数を勘案するとおおよその残債を予測できます。
例えば、登記簿謄本から読み取れる情報で、売主が4,000万円の借入をしており、金利が3.3%だった例で考えてみましょう。購入後3年経過程度であれば、250万円ほどしか返済が進んでおらず、ほとんど残債が減っていません。指値した価格が残債を割っている場合には、価格交渉してもとおらないだろう、と予想をすることができます。
3.物件価格の交渉で注意したい5つのポイントと手順
最後に、物件価格の交渉で注意したいポイントを5つ挙げます。私も不動産会社の実務でこれらのポイントを意識して交渉した結果、売り値から最大20%超の価格改定で物件を購入できたことがあります。
3-1.誰と価格交渉をするのか把握する
価格交渉をするうえで、そもそも誰と交渉をするのか、そして、それぞれどのような立場であるのかを把握することはとても重要です。
価格交渉をする相手は、おおまかに分けて下記の4つに分類できます。
- 地主(地場の個人)
- 投資家(個人、会社員など)
- 投資家(個人、規模によっては法人化して専業としている場合も)
- 不動産会社(プロ)
地主は、お金に困っていなく、また相場もわかっていないケースが多いです。それゆえに指値がとおりやすい可能性があります。不動産会社や投資家は相場を熟知していることが多いです。それゆえに指値がとおりにくい傾向があります。
売主と直接価格交渉をするケース
売主と直接価格交渉をすることができればベストです。なぜなら、買主・売主ともに直接の取引のため仲介会社に仲介手数料を支払う必要がないため、お互いに妥協できる目標数値を見つけやすいからです。
しかし、私の経験上、個人の売主と直接価格交渉できるケースはまれです。地場の地主や個人投資家は仲介会社に交渉を任せるケースがほとんどです。一般的には、直接価格交渉できるのは法人(不動産会社)が多いでしょう。
売主の間に仲介会社が入って価格交渉をするケース
通常は、このパターンだと考えられます。あくまで、仲介会社をとおして、買主の希望が売主に伝わるということです。仲介会社は、買主の希望価格やその他の条件を売主に伝えて、案件がまとまるように調整をします。
また、物件によっては、売主と買主の間に、売主と媒介契約を締結している仲介会社(元付といいます)と投資家に物件を紹介してくれる仲介会社(客付といいます)の2社が存在することがあります。
3-2.仲介会社からの信頼を勝ち取る
物件を紹介してくれる仲介会社の信頼を勝ち取ることは非常に重要です。
そのためには、価格交渉をする前に、自分が物件を購入することができる属性であることを仲介会社に認識してもらう必要があります。源泉徴収票や預金通帳のコピーがあると便利です。
そして、物件に指値をした際、仲介会社から売主に上手に伝えてもらう必要があります。このとき、仲介会社から信頼を得ておかなければ、売主に伝わる前に却下されるか、知らない間にもみ消されてしまいます。投資家から指値が入っても、仲介会社の判断で売主に伝わらないということはよくあります。
実際に、私も不動産会社勤務時に、売主から物件を預かった際、売主と事前に取り決めておいた内容と大きく逸脱する要望を受けたことがあります。このようなときには、売主に共有する前に申し出を却下した経験があります(もちろん、売主には後で報告します)。
仲介会社の信頼を勝ち取るうえでは、事前に金融機関から物件の融資内諾を得ておく、というのも有効です。
私は個人で物件を購入する際、具体的に、「〇〇銀行の〇〇支店で〇〇万円の融資内諾を得ている」ことを共有し、さらに、自己資金が記帳された預金通帳をコピーして交渉時に提出していました。これは仲介会社や売主を説得するときに押しの一手となります。
3-3.物件を調査して比較する
見落としがちですが、交渉する前に物件を調査することも大事なポイントです。物件をあまり調べないで、いきなり価格交渉をしても、仲介会社の担当者の段階で止められてしまいます。
私の不動産会社勤務時の経験ですが、仕入れの業務を始めたばかりの頃に手あたり次第に物件の問い合わせをして指値を入れた結果、中々上手くいきませんでした。よく考えれば簡単なことで、仲介会社には本当に購入する気があるのか、伝わらなかったのではないかと思います。
まずは、物件の相場を調べて、できれば物件を視察しに行くことを検討してみましょう。Google Mapで調べるのも良いですが実際に視察をすると、周辺環境や建物の傷み具合、物件に出入りする入居者の属性などがリアルにわかります。
ポータルサイトで類似の物件を調べてみたり、仲介会社に物件に関して具体的なヒアリングをしてみるのも良いでしょう。例えば、物件周辺の賃料の妥当性、物件に空室があれば空室期間、入居者の属性などです。この際、入手した情報に偏りがないか、古い情報でないかどうかは注意する必要があります。
私は、ポータルサイトで見つけた物件を事前に調べて、「買いだ」と判断した場合には即日視察に行っていました。仲介会社側も、実際に物件を視察しているのといないのとでは反応が違います。Google Mapのみで物件を調査する投資家が多い中、きちんと時間を取って物件を見に現地を訪れたという事実は響きます。
また、目当ての物件を購入できなくとも、その仲介会社が預かっている別の物件を紹介してくれることもありました。このように、仲介会社とのネットワークが広がっていくと思いがけず掘り出し物の物件を紹介してくれることもあります。
3-4.売主が納得する理由を用意する
物件価格の交渉をする際には、売主が納得する理由をきちんと考える必要があります。単に、「安くしてください」では到底うまくいきません。売主の心証を害するだけでなく、成果が挙がらないと徐々に自身の心も折れていきます。
そこで、本当に欲しい物件は十分な準備をしたうえで、希望価格が売主に納得してもらえるよう理由を用意する必要があります。
例えば、下記のような準備をしておくと良いでしょう。
- 物件の状況をしっかりと調査したうえで、リフォーム費用がどのくらいかかるのか、自身の予算など数値的な根拠とともに提示する
- 金融機関の融資状況を具体的に説明して自己資金が不足している金額部分を交渉する
リフォームを予定している際は、リフォーム会社の見積もりなどがあると説得力が増します。また、これらは組み合わせた方がより効果的です。仲介会社もこのような根拠があると売主に話を持っていきやすいため、できるだけ準備しておくと良いでしょう。
その他、個人ではなかなか難しいですが、融資特約を付けない条件が売主に響くことがあります。
プロの不動産会社が強いのは、あれこれ細かな交渉をせず、「融資特約無し」で買付を入れられるところにあります。融資特約無しとは、万一金融機関の融資承認が下りなくとも、その物件を購入するという意思表示です。
売主が速く物件を手放したい場合には、融資特約無しは有効な手段の一つです。実際に、急いで売却したい売主に対して、融資特約を付けずに数百万円の指値に成功した知人もいます。
3-5.売主の感情に訴える
最後のポイントですが、売主の「感情」に訴える、です。何も準備しないで売主の心証を害してしまうケースを紹介しました。ここでは、売主のメリットを考えたうえでの提案に加えて、売主に「他の投資家と違うな」、「チャンスをあげよう」、と思ってもらえることが重要です。
私自身、買付証明書に直筆でメッセージを添える、手紙を添えるなどは年配の売主には効果があった経験があります。
ここで私のケースを紹介します。以前、不動産会社が売主である、どうしても欲しい物件がありました。不動産会社の営業担当者に、どれだけ自分が「不動産を好きか」、「その物件が欲しいのか」を不動産会社の社長と面会して話したい、と伝えました。実は、物件は事前に3回見学していました。
このときは、事前に物件周辺を見学していることで、物件が所在する街並みやエリアの将来性など、自身が気に入ったポイントを具体的に話すことができました。そして、不動産会社と複数回の交渉をして、物件を無事に購入することができたのです。
後でわかったことですが、買付を出している投資家は10人いたとのことです。不動産会社の社長も、「直接面会に来て想いを伝えてくれた」こと、なにより、「不動産が好きという熱意が伝わった」とのことでした。
物件の購入に加えて、他に買いたい投資家がいるにもかかわらず価格の改定もしてもらえました。これは個人的にもかなり嬉しかったのですが、情熱は大事であると再確認できた出来事でした。
まとめ
この記事では、価格交渉しやすい物件の特徴と成功確率を上げる交渉時のポイントについて、私の実務経験や実体験をベースに解説しました。
日常生活では、例えば、お店で商品を購入する際、価格交渉をすることはまずありません。一方、不動産の世界では交渉次第でとてもお得な、時にあり得ない価格で物件を購入することができたりします。
仲介会社とタッグを組んで、タイミングよく指値に成功すれば自身の力で利回りを即時に上げることができます。工夫次第で不動産はとても面白くなります。物件の価格交渉を検討する際には、よろしければ是非参考にしてみてください。
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依田泰典
・ソニーにて、ITソリューション関連の法人営業や企画・マーケティング業務に従事(MVP受賞)。ソニー在籍中、株式投資(信用取引)等幅広く金融商品を運用するほか、東京23区の分譲マンションをメインに不動産投資を実践。
・ソニー退職後、不動産会社(ベンチャー企業・東証上場企業)にて、収益用不動産(1棟物件)の仕入・販売、事業開発(不動産ファンド)、経営企画・広報業務に従事。
・独立後は、東証プライム市場上場グループ企業等の社外取締役、顧問、アドバイザーとして活動(営業・資金調達支援)。その後、仲間とIT関連のスタートアップを創業。
・米系PEファンドのKohlberg Kravis Roberts(KKR)への出資をはじめ、国内では不動産テック等IPOを目論む複数のスタートアップ(ミドル・レイターを含む)への出資のほか、複数のVCファンド(シード・アーリーメイン)にLP出資。
・宅地建物取引士(宅建マイスター)、貸金業務取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、ビル経営管理士、競売不動産取扱主任者、社会保険労務士、行政書士、情報処理技術者等の資格を保有。
・趣味は街の散策と食べ歩き。YouTube鑑賞(BreakingDown、YOASOBI)。漫画(島耕作、キングダム、ザ・ファブル)。格闘技(合気道有段者)。坂道ファン(推しは櫻坂46山崎天)。
【連絡先はコチラ】
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