不動産投資を検討されている方の中には、投資物件として中古マンションを検討している方も少なくないのではないでしょうか?中古マンションの中には高利回り物件もあり、物件の立地によっては売却益が期待できるケースもあります。
しかし、中古マンションは築年数が経過していることにより担保価値が下がり、新築マンションと比較して不動産投資ローンの融資審査が厳しくなる傾向があります。また、融資を受けられたとしても販売価格満額までは届かないケースも多いと言えます。
不動産投資ローンを受けやすい中古マンションというのはどのような物件なのでしょうか。
本記事では、金融機関が融資を決定する際に参考にする、物件の担保評価の観点から、不動産投資ローンを受けやすい中古マンションを探すポイントについて考えていきます。
目次
- 金融機関による物件の担保評価方法
1-1.積算法
1-2.収益還元法
1-3.取引事例比較法 - 積算評価の観点からの確認ポイント
2-1.土地評価の観点
2-2.建物評価の観点 - 収益還元評価の観点からの確認ポイント
- 不動産投資ローン実績の豊富なマンション投資会社は?
- まとめ
1.金融機関による物件の担保評価方法
金融機関が不動産投資ローンを融資する際、審査基準に参考にする要素として、物件の担保評価があります。
しかし、中古マンションの販売価格は売主であるマンションオーナーが設定しており、必ずしも金融機関の担保評価と連動しているとは限りません。そのため、販売価格と比較して担保評価が高くなりやすい中古マンションを選ぶことによって、不動産投資ローンを受けやすくなると言えます。
まず、以下では、担保評価の方法として用いられる評価方法のうち、3つの方法について整理していきます。
そのうえで、金融機関が重視している各評価方法の観点から、担保評価の高くなりやすい物件はどのような物件なのか考えてみましょう。
1-1.積算法
積算法とは、不動産を土地と建物に分け、その時点でのそれぞれの現在価格を合計して評価する方法です。金融機関の担保評価の方法は様々ですが、主にはこの積算法をベースにした担保評価が行われる傾向があります。
土地の価格については、主に国税庁が定めている路線価が用いられます。路線価は、その年1月1日時点の全国の宅地の相続税評価額で、土地の面している道路によってその土地の平米単価が割り振られています。
路線価に平米数を乗じた価額を基本とし、そこから用途地域や接道面積などの個別要因によって価格調整をおこないます。
建物の価格については、その時点での建物をもう一度新築した場合の価格(再調達原価)を求めます。
そして、再調達価格に経年劣化等による減額分を反映して評価額を算定します。再調達原価は、建物の構造によって平米単価が異なり、その平米単価に延べ床面積を乗じて計算します。
また、中古物件の場合は法定耐用年数のうちの残存耐用年数割合を乗じて現在の価格を求めることになります。構造別の法定耐用年数は次の通りです。
建物の構造 | 法定耐用年数 | 再調達価額 |
---|---|---|
鉄筋コンクリート・鉄筋鉄骨コンクリート | 47年 | 約25万/平米 |
重量鉄骨 | 34年 | 約24万/平米 |
木造・軽量鉄骨 | 22年 | 約17万/平米 |
※国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」より引用
1-2.収益還元法
収益還元法は、その不動産から生じる家賃や地代などの純収益を将来にわたって予測し、その総和を推計することで不動産の価格を算定する方法です。
収益還元法は直接還元法とも言われ、一期間の純収益を利回りによって割り戻して算定します。純収益は、管理費や修繕費などを差し引いた実質的な利益を下にします。
物件価格=(年間の家賃収入-年間の経費)÷還元利回り
例えば年間の家賃収入が120万円、年間経費が30万円、還元利回りを6%で想定した場合は以下のように計算します。
(120万円-30万円)÷6%=1,500万円
収益還元法では、利回りをどのように算定するかが、価格決定に大きな影響を及ぼします。類似の不動産の取引事例から求められる利回りを個別的要因によって修正するのが原則になります。
収益不動産の価格評価には有効な方法であり、不動産投資ローンの担保の評価の際にも参考にされる価格といえます。
1-3.取引事例比較法
取引事例比較法は、近隣の取引事例による価格と比較して評価額を算定する方法です。まず、適正な事例を選択し、特殊な事情や取引時期による価格の違いについて修正を行います。
過去の事例から修正された取引価格に地域要因や個別要因による修正を行い、不動産価格を算定します。
ただし、取引事例比較法は金融機関の担保評価において副次的な扱いとなるケースがあります。
比較の基準となる取引事例につき標準的な事例を多数集める必要があり、個別的な修正についてもその不動産の個別的な違いをどのように捉えるかは主観的となることがあるためです。
2.積算評価の観点からの確認ポイント
金融機関が積算法によって不動産の担保評価を行う際、土地と建物に分けてそれぞれの評価を行います。
そこで積算評価の観点から、まずは中古マンションを土地と建物に分け、どのような土地、建物が高い担保評価を受けやすいか、を考えるとよいといえるでしょう。
区分マンションの場合、土地は底地の区分された専有面積にかかる部分のみの評価となります。そのため、中古マンションの担保評価は、建物部分の影響を受けやすく、土地評価と建物評価、両方の観点から考えていくことが重要となります。
中古マンションの販売価格は収益還元評価の観点を重視して値付けされている傾向があります。販売価格と比較して不動産投資ローンを借りやすいといえるのは、収益還元評価は高くないが積算評価が高い、という物件になるでしょう。
2-1.土地評価の観点
土地評価の観点からは、路線価の高い立地のマンションが条件の良い不動産投資ローンを受けやすいことになります。首都圏や近畿圏などの大都市圏の駅近の立地であれば担保評価は高くなるでしょう。
また、用途地域による価格調整があることから、商業地域や第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、準住居地域の立地であれば担保評価は高いといえます。反対に、工業地域、準工業地域はマイナス調整が大きくなるため、担保評価は低くなる傾向があります。
なお、専有面積の広い区分マンションは土地の持分が大きく、土地の持分が大きくなることで土地評価は高くなります。
2-2.建物評価の観点
建物評価の観点からは、再調達価格の高い構造のマンションや、法定耐用年数のうち残存耐用年数の割合が大きい(築年数が浅い)中古マンションの担保評価は高くなる傾向にあります。
つまり、同じ立地・築年数の物件を比較した時は、重量鉄骨造のマンションより鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造のマンションの方が担保評価は高くなります。
また築年数による評価では、47年の法定耐用年数のうち10年しか残存耐用年数がない築27年のマンションと比較して、30年残存耐用年数がある築17年のマンションの方が担保評価は高くなるといえます。
3.収益還元評価の観点からの確認ポイント
収益還元評価の観点からは、購入価格に対し純収益や利回りが高い中古マンションの担保評価が高くなりやすいといえます。
収益不動産の販売資料には、総額の家賃収入や表面利回りが記載されています。収益還元法で物件評価する際は、管理費や修繕費などを控除した純収益、実質利回りを算定してみる必要があります。
また、金融機関の収益還元評価は、類似の不動産の取引事例も参考にされます。立地・広さ・築年数が同様の条件の物件の家賃相場は、不動産情報サイトHOME’Sなどのポータルサイトでチェックしてみるとよいでしょう。
しかし、金融機関の担保評価は積算法を基本としていることが多く、収益還元評価が高かったとしても積算評価が低ければ担保評価は低くなる傾向があるので注意が必要です。
4.不動産投資ローン実績の豊富なマンション投資会社は?
ここまで、不動産投資ローンが受けやすい中古マンションの確認ポイントについて解説してきました。不動産投資ローンを受けやすい中古マンションの特徴として、積算評価が高くなりやすい好立地、築浅の物件であることが挙げられます。
しかし、好立地で融資が受けやすい中古マンションは不動産投資家の人気が高く、市場に出てきてすぐに買付が入るような競争率の高い物件となります。そのため、不動産投資ローンの融資付け実績が豊富な不動産会社へ事前に問い合わせておき、できるだけ早く情報が入るよう購入希望の物件条件を伝えておくことが有効となります。
ここからは、不動産投資ローンを受けやすい担保力のある中古マンションを販売する不動産会社を2社ご紹介します。
プロパティエージェント
プロパティエージェントは、東京23区・横浜エリアに集中したマンション開発・販売により入居率99.59%(2024年1月末時点)の実績を有する東証プライム上場グループ企業です。
提携金融機関も10社以上と充実しており、物件の担保力の高さからフルローンでの融資実績が非常に豊富です。賃貸管理や確定申告サポートなどアフターフォローも充実しています。
また、プロパティエージェントでは、初心者向けに「0から始める不動産投資セミナー」を定期開催しています。セミナーでは、「不動産投資の基礎知識」「不動産投資のリスクとは?」といった基本的な内容から専門的な内容まで幅広く展開されている点も特徴的です。
リズム(REISM)
リズム株式会社は、東京23区の中古ワンルームマンション投資やリノベーション投資などを手がける不動産投資会社です。ビッグデータ分析に基づき厳選されたリズムの物件は、その9割以上が2,800万円以下と始めやすい価格帯の中古マンションとなっています。
また、オーナーの4割以上が頭金10万円以内で始めることができており、最長45年のローンを組むことができるなど、自己資金をできるだけ手元に残しておきたいという方や毎月の支出を抑えたいという方からも人気があります。
リズムでは、定期的に無料セミナーを開催しており、セミナー参加者の満足度は99.3%(※リズム社調べ)と非常に高くなっています。また、2020年9月現在、オンラインでセミナーや個別相談を受けることも可能です。
セミナー参加特典として、不動産投資のことがよく分かる無料の小冊子「不動産投資ガイド」と市販書籍「リノベーション投資入門」が無料プレゼントされ、セミナー参加後もしくは個別相談において希望者は非公開物件の紹介を受けることもできます。
まとめ
不動産投資ローンを受けやすい中古マンションは、収益性が高く、積算評価が高くなりやすい好立地、築浅のマンションであるといえます。
また、収益不動産の販売価格は積算評価に加えて、期待利回りによる収益還元法から算定されています。類似の不動産の取引事例から求められる利回りが高いことで、収益還元評価は低く積算評価が高い物件が、価格に対してローンを受けやすい傾向があります。
ただし、収益性が低いとキャッシュ・フローが悪化する可能性があるので資金計画を慎重に検討するようにしましょう。
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佐藤 永一郎
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