不動産投資ローンを組む方法は?手順や審査基準、ローンの種類も解説

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不動産投資は金融機関の融資(ローン)を活用することで、少ない投資金からでも投資用不動産を購入できるメリットがあります。

しかし、これから初めて不動産投資を始める方にとって、不動産投資ローン契約の流れや必要書類、審査基準など不明瞭な部分も多く、不安に思う方も少なくないのでないでしょうか。

そこで本記事では、不動産投資ローンを組むのが初めてという方のために、不動産投資ローンを組む手順や審査基準、ローンの種類について説明します。

目次

  1. 不動産投資ローンの融資を受けるまでの手順
    1-1.購入希望物件の調査と資料入手
    1-2.不動産投資ローン融資の仮審査
    1-3.物件の購入申し込みと売買契約の締結
    1-4.金融機関選定と本審査
    1-5.金銭消費貸借契約の締結
    1-6.融資実行と物件決済引渡し
  2. 不動産投資ローン申込、契約時に必要な書類
  3. 不動産投資ローンの審査基準
  4. 不動産投資ローンの種類と諸条件
    4-1.アパートローンとプロパーローン
    4-2.固定金利と変動金利
    4-3.元金均等返済と元利均等返済
  5. まとめ

1.不動産投資ローンの融資を受けるまでの流れ

不動産投資ローンでは、融資の申し込みをしてから融資が下りるまで、必要な手続きの流れがあります。融資の申し込みから実行までには一定の期間が必要となるため、購入予定の物件の買い付け申込みが無駄にならないよう、その流れを把握しておくことが大切です。

下記、不動産投資ローンの融資を受けるまでの6つの主な手順です。

  1. 購入希望物件の調査と資料入手
  2. 不動産投資ローン融資の仮審査
  3. 物件の購入申し込みと売買契約の締結
  4. 金融機関選定と本審査
  5. 金銭消費貸借契約の締結
  6. 融資実行と物件決済引渡し

これら6つの手順の内容をそれぞれ確認しましょう。

1-1.購入希望物件の調査と資料入手

購入希望物件を見付けたら、空室状況や家賃相場からみた利回りなど、収益面の調査を行います。どのような条件で融資を組んだら返済が回るのか、月々のキャッシュフローはいくらぐらいになるのかを確認しておきましょう。

融資条件の目安がついたのであれば、物件を売り出している不動産業者へ物件の資料一式を取り寄せてもらうよう依頼しましょう。

1-2.不動産投資ローン融資の仮審査

次に、融資を受けようと検討している金融機関に融資の仮審査の申込みを行いましょう。不動産投資ローンの融資では、本審査の前に仮審査を行い、融資の実行が可能かどうかを事前に調査することになります。

1-3.物件の購入申し込みと売買契約の締結

融資の仮審査が通ったら、物件の買い付けとなります。買付申込み後は、半月~1か月程度で売主と日程調整を行い、売買契約の締結となります。

売買契約の際は、融資の本審査が通らなかった場合の白紙解除と手付金の返還を定める「ローン特約」が契約書に盛り込まれているか確認しておきましょう。

1-4.金融機関選定と本審査

売買契約を締結したら、ローン特約の期限までに融資の本審査を通すとともに、他の金融機関の不動産投資ローンも検討し、より良い融資条件で融資をしてもらえるように検討してみましょう。

本審査が通るまでの期間は金融機関によって様々ですが、打診から約1週間~1か月程度となります。

1-5.金銭消費貸借契約の締結

本審査が通り、融資を受ける金融機関が決定したら、不動産投資ローンの金消契約(金銭消費貸借契約)を締結します。

金消契約とは、金融機関と借主(物件の買主)との間に締結されるローン契約の条件についての契約です。返済計画や設定金利なども契約書に記載されているので、内容を確認をしておきましょう。

1-6.融資実行と物件決済引渡し

物件の決済、引渡し時に、不動産投資ローンの融資実行を受けて完了となります。この際、所有権移転登記とともに、物件に金融機関の抵当権設定登記が行われます。

抵当権とは、不動産ローンの返済が滞った場合に金融機関が物件を差し押さえることができる権利のことです。抵当権はローンを全額返済することによって抹消することが可能です。

2.不動産投資ローン申込、契約時に必要な書類

不動産投資ローンの申し込み時と金銭消費貸借契約の締結時に必要な書類は、主に次のような書類になります。

  • 物件概要書(販売図面)
  • 物件のレントロール
  • 物件の土地・建物の登記情報、公図、建築確認済証
  • 物件の売買契約書・重要事項説明書
  • 融資申込者の源泉徴収票や確定申告書・決算書(直近3年分)
  • 融資申込者の本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
  • 融資申込者の履歴書
  • 既存借入金の返済予定表
  • 融資申込者の金融資産のエビデンス(預金通帳など)
  • 融資申込者の納税証明書

上述の不動産投資ローンの融資を受けるまでの流れの中では、融資仮審査の時に大半の資料が必要になります。ただし、仮審査の段階では、物件の売買契約を締結していないため、契約書や重要事項説明書について様式のみを不動産業者から貰って提出することもあります。

納税証明書は取得するのに時間がかかるため後から提出するケースもありますが、金銭消費貸借契約の締結時までには、すべての書類の原本を揃えることになります。このほか、連帯保証人を立てる場合は、連帯保証人関係の書類も必要です。

3.不動産投資ローンの審査基準

不動産投資ローンの審査基準は、大きく分けて「融資希望者の属性」と「物件の資産価値」の2つに分類されます。

融資希望者の属性

融資希望者の属性とは、資産背景、年収、年齢、勤務先と勤務期間・雇用形態、信用情報などをもとに判断される借主の返済能力のことで、金融機関によって不動産投資ローンの融資を受けられる属性の基準が設けられています。

例えば、年収500万円以上が必要になるケースや、不動産賃貸業という事業の実績が重視されるケースがあります。その他、賃貸業の実績がない場合は購入検討物件の収支計画書を作成するなどして経営能力があることをアピールすれば、属性評価のアップにつながる可能性があるので検討してみましょう。

また、都市銀行>地方銀行>日本政策金融公庫>ノンバンクの順に審査基準が厳しくなる傾向があります。地方銀行、信用金庫は営業エリアの条件もあるので注意が必要です。

物件の資産価値

金融機関は物件の資産価値を、路線価や建物の残存価値による積算価格と収益性の二つの面から審査します。

積算価格は、築年数が浅く立地条件の良い物件が高めに算出されます。金融機関によっては積算価格を限度額となるケースや、残耐用年数までの融資年数しか設定できない等の条件が設けられていることもあり注意が必要です。

一方、収益性は周辺エリアの利回り相場や、家賃相場、ローン返済後のキャッシュフローから総合的に判断されます。スーモやホームズなどの賃貸情報ポータルサイトで周辺エリアの相場をチェックするようにしましょう。

4.不動産投資ローンの種類と諸条件

不動産投資ローンを組む前に知っておきたいものに、ローンの種類と諸条件の基本があります。基本を押さえたうえで、金融機関を選んだり、担当者と諸条件の交渉をしたりする際の判断ポイントにしたいといえます。

それが、以下の項目になります。

  • アパートローンとプロパーローン
  • 固定金利と変動金利
  • 元金均等返済と元利均等返済

それぞれの内容を詳しく説明していきます。

4-1.アパートローンとプロパーローン

金融商品としての不動産投資ローンは、「アパートローン」と「プロパーローン」に分かれます。

アパートローンは、金利や融資期間などがパッケージ化されている商品で、審査基準などもホームページなどで公表されています。

それらの基準を満たせば、パッケージの融資条件での融資が受けられます。審査基準が分かりやすく、借りやすい反面、限度額が伸びず、金利も高くなる傾向があります。

これに対して、プロパーローンは、案件ごとに作られる商品で、融資希望者の資産背景や事業実績、物件の資産価値などを総合的に審査して、融資条件などが設定されます。

プロパーローンは不動産投資のみならず、事業全般に貸し出されるローン商品であるため、不動産賃貸業の事業性が重視されます。購入予定の物件の事業計画書や今後の不動産賃貸業の採算性、事業の進め方について審査されると言えます。

プロパーローンは融通が聞きやすく、融資額も大きくなる可能性があります。しかし、審査基準は厳しく、収入や資産面の属性が高いケースやその金融機関に金融上の実績があるケースでないと難易度は高いと言えます。

4-2.固定金利と変動金利

不動産投資ローンの金利の設定方法には、大まかに、固定金利と変動金利の2種類があります。実際には、すべての返済期間について固定金利が採用されることは少なく、一定期間固定金利の後、固定金利と変動金利を選択する選択型が多いと言えます。

固定金利は一定期間一定利率で計算された金利を支払うローンです。利率が変動しないため返済計画が立てやすいメリットがありますが、変動金利に比べると高めの利率が設定されることになります。

変動金利は市中金利(金融市場で適用されている標準的な貸出金利)の変動に合わせて金融機関が設定した更新日、計算方法によって、金利が変動するローンです。

変動金利は固定金利と比較して返済のシミュレーションが難しくなりますが、低金利の市況が続けば低い金利で返済額を抑えることが可能になります。

4-3.元金均等返済と元利均等返済

不動産投資ローンの返済方式には元金均等返済と元利均等返済の2種類があります。

元金均等返済とは、元金を融資期間で均等に割って、その元金と返済時の元金の残額に対する利息を合計し、返済していく方式です。返済当初は元金の残額が大きいため、利息も大きくなり、負担が大きくなる傾向があります。

元利均等返済とは、月々の元金と利息の合計額を毎回同額の支払いにして、ちょうど返済期間満了時に元金がゼロとなるように調整計算した金額を支払い、返済する方法です。月々のキャッシュフロー計画は立てやすい反面、元金がなかなか減らないというデメリットがあります。

まとめ

不動産投資ローンを組む際、知っておきたい基本知識について解説しました。

不動産投資ローンは不動産投資に対してレバレッジ効果が期待できるメリットがあります。しかし、これから不動産投資を始める方の中には大きなローンを組むことの不安が大きい方も少なくないのではないでしょうか。

各金融機関によって不動産投資ローンの取扱いは様々ですが、基本的な考えかたや手順は同様です。今回ご紹介した手順や審査基準、ローンの種類の基本知識をもとに各金融機関の不動産投資ローンを比較検討し、融資条件などの交渉をする際の指針にしていただければと思います。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。