ロボアドバイザーは、ロボットが投資の支援を行ってくれるサービスです。投資を行う対象から運用の方針まで、設定を行うだけで自動的に投資を行ってくれるサービスもあります。
しかし、ロボアドバイザーで資産運用を行う場合に、「含み損が出たらどうすればいい?」「元本割れしたら、短期運用での回復は無理?」などの疑問も少なからず聞かれます。そこで本記事では、ロボアドバイザーによる投資で元本割れや・含み損が出た場合の対処法について解説していきます。
目次
- ロボアドバイザーとは
1-1.ロボアドバイザーのメリット
1-2.ロボアドバイザーのデメリット - ロボアドバイザーの元本割れ・含み損の対処法
2-1.長期投資の視点で考える
2-2.リスク許容度の見直し・変更
2-3.積立額を調整する
2-4.分散投資を見直す - まとめ
1.ロボアドバイザーとは
ロボアドバイザーは、ロボットが投資の一部をサポートしてくれるサービスです。その種類は以下の2つに分けることができます。
- 投資一任型・・・運用の全てを任せられる(投資方法や配分など)
- アドバイス型・・・アドバイスのみ(運用は自分で行う)
ロボアドバイザーがどのタイプにあてはまるのかは、選択するサービスで変わります。例えば、投資一任型ではWealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO+docomoなどといったサービスが代表的です。
また、手数料やポイント還元などといった特徴がそれぞれ異なるため、自分の投資目的などを考慮してサービスを選んでいくことが大切です。
1-1.ロボアドバイザーのメリット
ロボアドバイザーで資産運用をする場合、下記のようなメリットがあります。特に、少額から投資が可能であることや、投資を行う際の調査などを省略できる点がメリットだといえます。
- 少額から積立投資が可能
- 資産配分を自分で考えなくていい
- 調査に割く時間の短縮ができる
投資に慣れている人でも、新しい投資商品の購入をする場合には損失を生まないために入念な調査が必要となります。しかし、ロボアドバイザーの場合、プロが適切な投資対象を選んでくれるため、詳細な調査を行わなくても新しく投資を行うことが可能です。
そのため、忙しくて時間がない方や、何に投資をすれば良いのか分からないという方、簡単な方法で資産配分を調整したい方にとって、ロボアドバイザーによる運用は調査やリバランスなどに対する時間短縮が図れる点がメリットになります。
1-2.ロボアドバイザーのデメリット
ここでは、ロボアドバイザーのデメリットについて見ていきましょう。短期的な投資では結果を出しにくいことや倒産のリスクなどは、全ての運用方法に共通するデメリットといえます。
- 短期的な投資には向いていない
- 自分で運用するよりも手数料は高め
- 運用会社の倒産リスクがある
デメリットの中でも特に、運用会社の倒産リスクは投資を行う前に調査しておく必要があります。会社の運営方針やこれまでの実績、グループ会社なども含めてどのような会社なのか検討しておくことが大切です。
また運用する資金が同額で、資産の配分が同じだったとしても、運用会社によって大きく結果が変わることもある点には注意が必要です。会社それぞれでロボアドバイザーのアルゴリズムや取り扱っている投資信託・ETFの中身が異なるためです。
他にも、投資信託等に投資を行うロボアドバイザーでは運用の結果として元本割れや含み損が出る可能性があります。
2.ロボアドバイザーの元本割れ・含み損の対処法
ここでは、ロドアドバイザーで投資を行い、元本割れや含み損が発生した場合の対処法を見ていきましょう。
2-1.長期投資の視点で考える
ロボアドバイザーでは投資信託やETFを投資対象とすることから、資産は一日単位で変動していきます。
しかし、基本的にロボアドバイザーは長期投資を前提として積立・分散投資を行うものです。毎月などの一定期間ごとに一定額の買い付けを入れるドル・コスト平均法を採用することで、日々の相場の値動きによるリスクを軽減し、さらに投資信託やETFを通して地域や投資対象を分散させることでも価格変動を抑えられます。
そのため、一時的な含み損や元本割れに一喜一憂せず、数年や数十年単位で地道に資産を積み立て購入しながら形成していくという視線に立つことが大切です。また、投資一任型の場合、資産の組み替えも自動で行ってくれるため、プロの目線で長期投資に適した対処をしてくれますので、この点でも心配しすぎることはないと言えます。
2-2.リスク許容度の見直し・変更
リスク許容度は、ロボアドバイザーの設定として変えることが可能です。資産の価額やこれまでの結果などによって、リスク許容度はいつでも変更できます。
例えば、運用の目的として、リスクを冒してでもリターンを期待する場合と長期的に少しずつでもリターンをあげたい場合とでは、投資対象や戦略も変わってきます。
その場合、短期間ではなく長期的な運用実績などを見てリスク許容度を変更することをおすすめします。現在の運用実績が元本割れだったとしても、そのまま下がり続けるとは限らないためです。
リスク許容度の変更は、長くマイナスの期間が続く場合に見直すことを意識してみましょう。
2-3.積立額を調整する
上記の通り、ロボアドバイザーでは積立投資を行うことでリスクを分散することが可能です。一度に大きな資金を入れて数十年単位で運用する方法とは異なり、一般的にロボアドバイザーでは毎月一定の金額を入れて資産を購入・運用していきます。
この一定のタイミングと決まった金額で投資を続けることをドル・コスト平均法と呼び、相場が変動したとしても大きな影響を受けにくくなる投資方法です。例えば、毎月1日に3万円ずつ預け入れたとして、相場に関係なくその金額分の資産を購入し運用をしていく形がこの方法となります。この場合、購入単価が平均化するため、高値掴みでの損を防ぎつつ、底値の場合にはたくさん購入し運用できるといったメリットが発生します。
これを踏まえ、現在の積立額を変更するということも可能です。含み損が出ている現在の状況において、より積極的に購入単価を増やしていこうと考えるか、あるいは市況の悪化を見越して投資に振り分ける資金を減らそうと考えるかで、月々の積立額を増減するという検討もすることができます。
2-4.分散投資を見直す
ロボアドバイザーでは、プロの視点から最適な運用資産の提案を受けたり、自動で投資対象を決めてくれたりするメリットがあります。また投資対象は投資信託やETFであることから、複数銘柄や国に分けて分散投資が行われるため、個別株への投資などに比べてリスクを軽減することが可能となっています。
ただし、ロボアドバイザーの助言によらず自身でポートフォリオを組んだり、運用アルゴリズムに基づいて特定の投資対象への投資比率を高くしたりしている場合に、分散投資の効果がうまく発揮されないケースも出てきます。
この場合、アルゴリズムを積極型からバランス型に変更をするといった対応や、自身で株式・債券・不動産、あるいは日本・先進国・新興国といった国・投資対象のバランスを修正する(リバランス)ことが必要になります。
市況が悪化基調にある際は、リスク性向の高い株式や新興国の投資比率は少なくして先進国債券などに寄せつつ、逆に好況に転じた際には真逆のポートフォリオに組み替えるなどの対応を考えるのも選択肢の一つです。なお投資一任型ロボアドバイザーであれば、こうしたリバランスもプロが自動で担ってくれるため負担は少ないと言えます。
2-5.少額から投資を行う
元本割れのリスクは投資を行っている場合、常に考える必要があります。そのため、リスクが高いポートフォリオでの運用であれば、相場が大きく変動しても総資産に大きなダメージのない金額のみで投資を行いましょう。
これは積立投資を行う場合も同様で、毎月の積立額が余剰資金に対して高い場合などには、上記の通り積立額を見直すことも必要です。また、既にまとまった金額を一括投資している方は、平行して別のサービスや資産で少額・積立投資を行うなどもリスク対策になります。
運用結果は誰にもコントロールできないものであることを前提に、少額から運用することが有効な対策だといえます。
まとめ
ロボアドバイザーによる資産運用で、元本割れ・含み損が出た時の対処方法について解説しました。
ロボアドバイザーによる資産運用は、短期的なものには向いておらず、長期的な目線で運用していくことが求められます。そのため、短期的な資産額の変動ばかりに迷わされず、長期的な目線で考える必要があります。
運用途中にも資産運用の配分を変えたり、リスク許容度を変更することなどによって、ロボアドバイザーの運用結果を変えていくことは可能です。仮に相場が右肩下がりだった場合には、異なる運用戦略を考える必要はあるものの、短期的なマイナスだけであれば十分に回復できる可能性があることを意識しておきましょう。
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鈴原 千景
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