賃貸経営をしていた不動産の相続税は?居住用との比較や計算方法

不動産を相続する際には、物件の評価額に基づいて相続税が発生します。しかし、相続する不動産が同じものでも、自身が住んでいる居住用の住宅なのか、他の人に貸し出している賃貸物件なのかで相続税は大きく変わるケースがあります。

この記事では、相続予定の不動産がある方に向けて、相続する不動産を賃貸経営していた場合としていない場合に、課税される相続税がどのように違ってくるのかをご紹介します。(*本記事でご紹介している税計算は2020年4月時点での税法に基づいています)

目次

  1. 不動産相続の流れ
  2. 不動産を相続する際に注意しておくこと
    2-1.相続登記は早めに行う
    2-2.相続税額は被相続人が使っていた目的で決まる
  3. 不動産を相続する際に発生する費用
  4. 相続税の計算
    4-1.土地を相続する場合の相続税評価額の計算方法
    4-2.建物を相続する場合の相続税評価額の計算方法
  5. 賃貸経営などの不動産活用をはじめる方法
  6. まとめ

1.不動産相続の流れ

相続が発生し遺言書がない場合は、相続される遺産を誰にどれくらい相続するかを相続人で話し合わなければなりません。

遺産は不動産だけではありませんので、どのように分割するかを決めて、不動産を相続する人が名義変更などを行います。流れは以下のようになります。

  1. 相続が発生
  2. 遺産分割協議を行う
  3. 遺産分割協議書を作成
  4. 不動産を相続する人が相続登記(不動産の名義変更)を行う
  5. 相続税を支払う

不動産の名義変更のことを相続登記と言い、不動産を相続する人が相続登記を行ったうえで相続税を支払うこととなります。

2.不動産を相続する際に注意しておくこと

不動産を相続する際はどのような点に注意しなければならないのかを見てみましょう。

2-1.相続登記は早めに行う

遺産分割協議をして不動産を相続する人は相続登記を行います。相続登記には期限がありませんので、相続の発生から先延ばしにしてしまうケースがあります。

しかし、相続登記によって所有権移転が行われていないと、登記の完了まで不動産を売却できません。また、相続人が死亡してしまった場合は更に手続きが複雑になる可能性があります。

このような状況にならないよう、相続人が決まったらなるべく早めに相続登記をしておくことが大切です。

2-2.相続税額は被相続人が使っていた目的で決まる

相続する不動産が居住用であったのか、賃貸経営を目的としていたのか、使用目的によって相続税額が異なることとなります。

しかしここで重要なのは、相続人ではなく被相続人がどのような目的で使っていたかで税額が変わる、というポイントです。

そのため、賃貸経営などを考えている場合は相続前(生前)から始めておかなければ、賃貸物件の相続税の控除などが受けられないこととなります。

3.不動産を相続する際に発生する費用

不動産を相続する際は相続税だけでなく、必要な書類を揃えたり、登記をする費用がかかります。どのような費用が発生するのか、主なものを下記にまとめました。

費用 内容 おおよその金額
登録免許税 不動産を登記する際にかかる税金 固定資産税評価額×0.4%
必要書類を揃える費用 手続きに必要な書類を発行してもらう際にかかる費用 数千円
司法書士報酬 司法書士に支払う報酬 数万円~(司法書士により異なる)

4.不動産を相続した際の相続税の計算方法

不動産を相続する場合、相続税の計算は土地と建物を分けて行います。また、相続する際に居住目的なのかあるいは賃貸経営をしているのかで、税額が異なります。

税率がどのようになっているかを確認してみましょう。以下は国税庁が現在ホームページで公開している相続税の速算表になります。こちらの速算表で税率や控除額を確認することができます。

*国税庁HP「相続税の税率」から引用(2020年4月時点)

上記の表で税率と控除額を確認してみましょう。例えば不動産の相続税評価額が1,000万円以下だった場合税率は10%になり控除額がありません。

仮に2,000万円の場合はその下の枠に該当しますので、税率が15%で控除額が50万円になります。この表から相続税評価額が低いほど税率が低くなっていることが確認できます。

4-1.土地を相続する場合の相続税評価額の計算方法の例

では、具体的に相続税評価額を試算してみましょう。土地の場合、そこに建っていた建物を被相続人が居住用で使っていたのか、賃貸アパートなどの事業用として使っていたのかで税額が変わってきます。

居住用として使用していた場合

土地に建つ建物を居住用として使っていた場合の、土地の相続税評価額は以下のように計算します。

相続税評価額×1.0

例えば3,000万円の相続税評価額の土地だった場合は以下のようになります。

3,000万円×1.0=3,000万円

この場合に相続税評価額は変わりません。

賃貸経営をしていた場合

賃貸経営をしていた場合の土地の評価額の計算式は以下のようになります。

相続税評価額×(1-借地権割合70%×借家権割合30%)

*借地権割合70%、借家権割合30%の場合

上記の例と同じように、相続税評価額3,000万円の土地を相続した場合の相続税評価額は、以下のように計算します。

相続税評価額=3,000万円×(1-0.7×0.3)=2,370万円

この場合の相続税評価額は2,370万円となります。

この事例では居住用として使っていた場合の相続税評価額は3,000万円ですが、賃貸経営をしていた場合は2,370万円となり、居住用として使っている場合より少なくなります。

このように相続する土地に建つ建物は、居住用としてではなく、賃貸経営をしていた場合に相続税評価額が低くなるケースがあります。

ただし、この事例はその他の控除や、被相続人の数などを考慮していない単純な計算式となっています。実際に税計算をする際は税理士に相談しつつ、慎重に検討しましょう。

4-2.建物を相続する場合の相続税評価額の計算方法

次に建物の相続税評価額を計算してみましょう。建物も土地と同じように使用していた建物の目的で計算方法が異なります。

居住用として使用していた場合

自宅として使っていた場合の相続税評価額の計算式は以下のようになります。

固定資産税評価額×1.0

例えば、仮に固定資産税評価額が1,500万円とした場合の相続税評価額は以下のようになります。

相続税評価額=1,500万円×1.0=1,500万円

この場合の相続税評価額は1,500万円です。

賃貸経営をしていた場合

賃貸経営をしていた場合の建物の相続税評価額は以下のように計算します。

固定資産税評価額×(1-借家権割合30%)

*借家権割合が30%の場合

例えば固定資産税評価額が1,500万円の場合の相続税評価額は以下のようになります。

相続税評価額=1,500万円×(1-0.3)=1,050万円

この場合の相続税評価額は1,050万円となります。

このように土地建物とも賃貸経営をしていた際に、相続税評価額が低くなるケースがあると確認できます。

しかし、土地の計算と同じく実際の相続不動産の税計算では、他の控除や条件の違いによって事例通りの数値にならないケースがあります。賃貸経営をすれば必ず税額が低くなる、ということではないため、税理士に相談し、慎重に検討するようにしましょう。

5.賃貸経営などの不動産活用をはじめる方法

ここまで、賃貸経営をはじめた場合の相続税について解説してきました。しかし、相続不動産が古くなっていたり、建物の立っていない土地だけの場合にはそのまま賃貸経営への転用が難しいケースもあります。

また、賃貸経営の経験のない方の場合、これまで居住用として所有していた不動産を転用するにあたり、何から始めたら良いのかわからずお困りの方も多いのではないでしょうか。

そこで、不動産の活用方法について効率的に情報収集・検討できるのが、複数社から提案が受けられる「HOME4Uの土地活用サービス」です。

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不動産の活用方法について様々な提案が受けられるため、これから賃貸経営を始める初心者の方でも比較検討しやすいサービスとなっています。それぞれの提案の初期費用や収益性を比較しながら、どのような活用方法があるのか見てみると良いでしょう。

まとめ

相続する際に居住用として使っている場合と賃営をしている場合の相続税評価額の違いについて確認してみました。土地建物とも賃貸経営をしている場合の方が居住用として使っているより、相続税評価額が低くなるケースがあります。

ただし、実際の相続税の計算ではその他の資産状況や受けられる控除、被相続人の数などで計算が異なります。不動産の相続税対策を行う場合には、税理士へ相談し、慎重に検討するようにしましょう。

また、相続税対策で賃貸経営を始めても、思うような収益が得られない可能性もあります。転用前には様々なリスクも考慮し、総合的な判断をするように心がけておきましょう。

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西宮光夏

西宮光夏

不動産業界を含め、金融業界に20年以上携わっていました。不動産 会社では投資用不動産の販売や土地の仕入れ、営業推進、金融機関と の折衝などの実務を担当しました。
自己所有不動産はアパートと区分マンション、戸建て、土地を山3つ と畑や田くらいです。その経験を活かしHEDGEGUIDEでは不動産投資 コラムと、新しくその他のカテゴリーも担当させて頂いています。直近 ではAI導入後の不動産市況の動向に注目しています。