区分マンション投資は、管理会社に委託すればほぼ手放しで運用できる点が、本業を持つサラリーマン投資家には大きなメリットになります。また、マンション投資では普段の家賃収入だけでなく、売却をして大きな利益を得ることもできます。
管理会社に委託すれば普段の運用は任せることができますが、売却活動も手放しで進めることはできるのでしょうか?この記事では、サラリーマンが売却活動を効率よく進めていくためのコツをご紹介します。
目次
- 大事な判断は手放しにはできない
- 査定を効率的に行う方法
2-1.査定を一括査定サイトに依頼し実務を減らす
2-2.簡易査定と訪問査定を複数の不動産会社に依頼する - 不動産売却の方法は2種類ある
3-1.買取ではすぐに現金化できる
3-2.仲介では不動産会社が広告を出し応募を待つ
3-3.問い合わせが入らない場合の手間 - 売買契約の方法を決めて待つ
4-1.契約の仕方や依頼する会社は3ヶ月ごとに変更する
4-2.応募者の内覧は立ち会った方が良い?
4-3.軽微な値引き交渉は不動産会社に一任する - 売買契約は自分で締結しなければならない
- 売却後に注意すること
6-1.所得税の支払い
6-2.瑕疵担保責任がある場合 - まとめ
1.大事な判断は手放しにはできない
マンション投資は会社員でも無理なく取り組めると言われますが、全く何もしなくても良いというわけではありません。例えば設備の修理が必要になった際の修理費の予算や、空室になった際に募集をかけるための費用、家賃設定といったお金に関することなど、運用に関する重要なことはオーナーが判断します。
マンション投資をする際に、管理会社に委託できることとできないことがあり、中でも重要な判断は手放しにせずオーナーがしなければいけません。
ただし、そのような判断が必要な場面は頻繁に発生するものではありません。オーナーは、修理業者に修理を依頼する業務や、賃借人を募集するために広告を出す業務などを管理会社に依頼することができますが、費用や条件などはオーナーが決める必要があります。
売却においても同様で、頻繁に発生するものではありませんが判断が必要な場面は存在します。その場面は、どの不動産会社に依頼をするのか、売却価格をいくらにするか、値引きをいつ・いくらするのか、といった点になります。売買契約に関わることは判断が必要となるということを念頭に置いておくと良いでしょう。
2.査定を効率的に行う方法
では、売却の際はどのような点を管理会社に依頼できるのでしょうか。売却の手順に従って、手放しで売却活動をするためのコツを見てみましょう。まずは価格査定を効率的に行う方法をご紹介します。
2-1.査定は一括査定サイトに依頼し実務を減らす
マンションを売却する際には、まず不動産会社に査定を依頼します。依頼する会社が1社だけの場合、査定価格が本来の物件の適正価格と相違する可能性が大きくなるため、複数の不動産会社に依頼するのがセオリーです。
複数の不動産会社に依頼するためには、物件の資料を依頼する社数分準備して、アポイントを入れて訪問するか、担当者に来てもらわなければいけません。そのため、1日では終わらない可能性が高くなります。そのような手間暇をかけないために、不動産一括査定サイトを利用するといいでしょう。
不動産一括査定サイトでは、一度不動産の情報などを入力すれば、複数の不動産会社がその情報をもとに査定価格を提示してくれる仕組みになっています。複数の査定価格を見ることで、おおよその相場が想定できますし、最高値や最安値を確認できるメリットもあります。
この段階でのポイントは、複数の不動産会社に査定依頼するのが面倒だからといって、1社だけで済ませてしまわないことです。査定価格が本来の物件の価格と相違している場合、売却しても本来得られたはずの利益が得られなかったり、高すぎて売却できなかったりする可能性があります。
また、不動産会社の中には手数料目当てで、相場より低い価格ですぐに売却をしようとする会社もあります。そのようなことを防止するためにも、査定の際は不動産一括査定サイトを使って、手間暇をかけずに複数の不動産会社に依頼するようにしましょう。
2-2.簡易査定と訪問査定を複数の不動産会社に依頼する
査定は簡易査定と訪問査定の2回行われますので、1回目の査定価格を見て、どの不動産会社と売却活動を継続するかを判断しなければいけません。しかし、ここでも査定の実務は全て不動産会社が行いますので、オーナーは不動産会社を選ぶ作業のみを行います。
不動産会社の中には1回目の査定で不当に高く見積もり、2回目には大きく価格を下げる会社もありますので、そういったリスクをヘッジする意味でも、できれば訪問査定が終わるまでは1社に絞らずに複数残した方が良いでしょう。
3.売却の方法は2種類ある
2回目の査定が終わったらどの価格で売却するかを決めます。売却の方法には仲介と買取がありますので、それぞれの依頼の仕方を見てみましょう。
3-1.買取ではすぐに現金化できる
買取は不動産会社がマンションを買い取り、リフォームなどを行って再販する仕組みになっています。売主はリフォームをせず売却できる上に、1週間もかからずに買取を完了する業者もありますので、現金化を急いでいる場合はメリットがあります。そのため、買取は手放しで売却できる最も早い方法と言えます。
しかし、買取の場合の売却価格は仲介と比較すると2割から3割くらいは低くなりますので、金額的には仲介の方がメリットは大きくなります。
3-2.仲介では不動産会社が広告を出し応募を待つ
仲介は不動産会社が広告を出し、買主の応募を待つ仕組みになっています。募集広告の作成は不動産会社が行いますし、募集自体も不動産会社が不動産会社のネットワークや、ポータルサイト上で行います。仲介の場合も広告内容や価格帯の判断さえ行えば、募集の実務は不動産会社が行ってくれます。
募集をして買主から問い合わせが入ると、不動産会社は内覧の案内を行い、買主が購入を希望する場合には条件を詰めて契約の段取りを行います。内覧は直接買主との交渉に備えるために同席をした方が良いですし、契約はオーナーが締結をしなければいけませんので、この段階になるとオーナーも実際に足を運ぶことになります。
しかし、それまではオーナーは大事なことを判断する業務がほとんどとなり、実務を行うことなく手放しで売却活動を完了させることができます。
3-3.問い合わせが入らない場合の手間
もしオーナーに手間がかかるとすれば、募集広告を出しても問い合わせが入らない場合です。その場合は不動産会社から価格や今後の予定のことで連絡が入り、一旦打ち合わせが必要になる可能性もあります。
できるだけ手放しで売却を終えるステップを踏むなら、そのようなことを事前に想定して、あらかじめ売買の戦略や流れなどを決めておくと良いでしょう。その点については次の章で触れていきます。
4.売買契約の方法を決めて待つ
買主がなかなか見つからない際にスムーズに売却の手順を進めていくには、最初に売却がスムーズに進まないことを想定して段取りを組んでおく必要があります。どのようにすれば良いか見てみましょう。
4-1.契約の仕方や依頼する会社は3ヶ月ごとに変更する
募集を出しても応募が入らない場合は、価格を変えたり広告の内容を見なおししたりするために、打ち合わせの時間や広告の内容を検討する作業が発生します。極力その作業を無くすためには、不動産会社とあらかじめ応募が入らない時の対応について決めておくことが大切です。対応の一つとして、仲介の契約の仕方を変える方法があります。
仲介の際の不動産会社との契約方法には、一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。一般的にどの契約も契約期間は3ヵ月以内となっています。応募が入らない際に、不動産会社との対応に時間を取られないようにするには、募集をする前に契約の手順を決めておくと良いでしょう。
最初に不動産会社と専任媒介・専属専任媒介契約を締結した場合には、担当者とよく話し合って広告戦略を改善していき、それでも購入希望が無ければ一般媒介契約に切り替え、その他複数の不動産会社にも仲介を依頼する、といったことをあらかじめ考えておきましょう。
こういった作業は一見、手間暇がかかるように思えますが、後で対応しようとすると話を巻き戻してやり直さなければいけなかったり、冷静に判断できなかったりする可能性があり、余計に時間がかかることが考えられます。
その点、事前に計画を立てる分には、それほど多くの時間を取られることはありません。先に準備して不動産会社に依頼することで、後で時間を割く必要が無くなりますので、手放しで売却活動を進めるには必要な作業だと言えます。
4-2.応募者の内覧は立ち会った方が良い?
応募が入り、買主が内覧をする際には、なるべく立ち会うようにしましょう。立ち会う理由の一つは、値下げ交渉をされた際に、その場で売主が回答することで即購入を決める可能性があるからです。
売主が立ち会っていない場合、不動産会社の担当者が一旦持ち帰ることになり、その間に買主の気持ちが変わらないとは言えません。少しでも即決の可能性を広げるためにも値下げ交渉には即答することが大切です。
また、買主の中には売主の雰囲気などを見て購入を決める人もいます。これは逆のことも言えます。売主も買主の身なりなどを見て、この人には売りたくないと感じたり、値下げをしてでもこの人に購入してほしいと思ったりする可能性があります。
このようなことから、買主とは直接会った方がプラスになりますので、内覧には立ち会うことをおすすめします。
4-3.軽微な値引き額の交渉は不動産会社に任せる
値引き交渉は売主がその場で返事をした方が良いことに触れましたが、軽微な値引き額であれば、不動産会社の担当者にもある程度の権利を与えておくことも大切です。値引き交渉は現場だけではなく、不動産会社と買主との電話などでも行われることがあるからです。
また、不動産会社の担当者は値引き交渉などには慣れていますので、権利を与えることでうまく話をまとめてくれる可能性があります。そのような点から、ある程度軽微な値引き額の権利は不動産会社に与えておくと良いでしょう。
5.売買契約は売主が締結しなければならない
売買契約の締結は所有者の意思確認や印鑑証明書の提示など、売主にしかできない作業がありますので、不動産会社に代行を依頼することはできません。しかし、契約に関する準備物や段取りは不動産会社の担当者が提示してくれますので、難しいことはありません。
また、契約の現場には不動産会社の担当者が立ち会いますので、初めて不動産を売却する場合でも安心して取り組むことができます。わからないことがあれば事前に確認しておくことが大切です。
6.売却後に注意すること
契約締結から数週間後に引き渡しが行われ、売却手続きが完了します。しかし、これで不動産売却の全ての作業が完了するわけではありません。売却後に発生する項目について見てみましょう。
6-1.所得税の支払い
売却で利益が出た場合、所得税の支払いが発生します。後で発生する支払ですので、忘れないことが大切です。ここでは所得税の試算法については触れませんので、売却の際に専門家に確認するようにしましょう。
6-2.瑕疵担保責任がある場合
不動産を売却した際には、原則として売主に瑕疵担保責任が発生します。瑕疵担保責任とは、売買の際には気が付かなかった損傷などが後で見つかった場合、売主が修理費用などの負担をしなければいけないというものです。
瑕疵担保責任については、責任を負わないことを契約書に記載し、免除することもできますので、不動産会社と相談して決めておくようにしましょう。
まとめ
マンション投資において、売却活動を手放しで行う方法について解説いたしました。売却をする際は、不動産会社と準備と打ち合わせをしっかりした上で実務を依頼することで、売却活動もほとんど手放しで進めることができます。
スムーズに進めるためには、不動産会社の担当者と様々な条件設定が共有できていることが条件になります。しっかりコミュニケーションを取って、売却活動を成功させましょう。
西宮光夏
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